3-11
「本当に祭壇しか無いな。んであそこで祀ってる玉がライネスの王様が欲しがってる宝玉って訳か」
神殿の中にすぐに観えたのはシルフィーの言っていた通り広々とした空間にある奥の祭壇のみ。そこに祀られている緑色に輝いている宝玉。あとはこの神殿を支える3人ぐらいは平気で隠れられそうな大きな柱が幾つかと言ったところ。他に繋がってる通路もあるが別に探索する必要も無いだろう。
「さて話をする前に、椅子が欲しいな」
「すまないな。此処にあるのは儀式用の、王女と勇者用の物だけでな。我慢して貰えるか?」
「そっか。んじゃ・・・」
「シュウイチさん!?」
幾つかある大きな柱の1つに向かって行くとまるで慌てた様子で呼びかけたアイリス。だが周一は足を止めずに柱の傍へと近づくと柱に背を向けて背中を預ける様にして腰掛ける。
「ん?どうした?そっちの2人は浮いてるから問題ないだろうけどアイリスはこっち来て座ったらどうだ?ずっと立ってたら疲れるだろう?」
『そうだよアイリス。こっちに来た方がは・な・し。しやすいでしょ?』
「そ、そうだけど・・・」
イリスが解っててそう言っている。と言う事はもちろん周一もだ。それはわざとにしてもたちが悪い。そう思いながらもアイリスはその事に触れずに周一の傍へと寄って同じ柱に腰をかける。まるで誰かの姿を気にしながら。
「・・・まあ。何処で話そうがお前の自由だがな」
「そこで、本当に良いのか?」
「ああ。んでイリス、いざ話すって言ってもどう話したらいいんだろうな?」
『そうだねぇ・・・話の内容次第では私の映像データで見せられる物もあるけど、どうするますたー?』
「まあ全員の意見からして、最初から話さなきゃいけないんだよなー・・・イリスが」
『ますたーの事なんだからますたーが話しなよ』
言い切る前に阻止された。
「ケチッ」
『ケチじゃないです~』
「ったくわかったよ。んじゃ。一応言っとくが、どこぞの誰かに知られようが問題無い話だが話を止める様な事はしないでくれよな。一々再開させるのが面倒だからな」
その注意に誰もが無言だった。
「・・・さて。そうだな。俺の生まれはごく一般とでも言っとくべきかな。凡も凡。物語の主人公みたいな両親がお偉いさんで金持ちって訳じゃない。個人で経営してるちっぽけな料理店の親を持った1人の元人間の話だ」




