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「い、いったいこれはどういう状況なのかな?」
アイリスが、周一が約束していたという店に入ると理解不能な状況に陥っていた。
「勇者の兄ちゃん!そのチャーハンってやつを頼む!」
「兄ちゃん!!こっちが先だ!!」
「ふざけんなっ!!俺の食う分が無くなっちまうだろうが!!お前は嫁の飯でも食ってやがれ!!」
「なんだとっ!!」
店の中は今にも一触触発と言った状況になりかけていた。
「あ、いらっしゃいませ~。ごめんなさい。今空いてる席が無くて・・・ってアイリス様っ!?申し訳ございません!!今すぐに席を御作り致しますので」
あの時の店の娘がアイリスに気付き、慌てふためく。
「あっ。んーん。迎えに来ただけだから気にしないで。シュウイチさんはいるかな?」
「あ、えっと、はいっ!。シューイチさん!アイリス様がお呼びですよーっ!」
その声に周りで騒いでいた客が一斉に静まった。
そして店の娘が声をかけた先、厨房で大きいフライパンを握り、米を炒めている周一の姿があった。
「・・・ん?おう。アイリス・・なんだその恰好?ってまあ、来たって事はそっちの準備が終わったって事か?」
『さっきぶりだねっ。わぁ~綺麗なドレス。似合ってるよアイリス』
店に来たアイリスは先程の白と水色とは違う格好。大量のフリルをあしらえた緑色のミニスカドレス。まさに姫と呼ぶに相応しいと思える格好だ。
「うん。ありがとねイリス。・・・でもシュウイチさん。なんで此処に食べに来たシュウイチさんが料理してみんなに振るまってるのかな?それに転移陣を使わないで飛び降りたって聞いたんだけど・・・あっ、いい匂い」
「・・・あー。それにはとてつもない、壮大な物語があってだな・・・ホイ、ホイ、チャーハン。さっきの注文分だ。迎えが来たからこれ以降追加無しな」
「はーい」
アイリスの問いに答えながらも周一は客に注文されたチャーハンを3皿に盛り、カウンターの上に置くとそれを店の娘が先程注文していた客の所へと持って行った。
『壮大では無いけどね~。気になるんだったらここにアクセスっ!続きはWEBで!だよっ!』
そう言いながらアイリスに対してイリスはWEBアドレスを別ウィンドウに表示した。
「・・・アクセス?うぇぶ?」
だがインターネットの事を知りもしないアイリスにとっては未知の用語。理解出来る訳が無かった。
「気にすんな。イリス。ほどほどにしとけよ」
『えっへへ~。でもますたーはちゃんと反応してくれるから私は心置きなくやってるんだよ!』
「ったく・・・アイリス。気になるなら向かう間に簡単に話すが?」
厨房から出てくる周一がそう言いながら出てくる。
「う、うん」
「あっ、勇者様!お金を!」
「あーそうだったな」
店の出口に向かっていた周一を引き留められ、駆け寄ってきた店主の奥さんからお金の入った袋を受け取った。
「じゃあな。旦那の飯、うまかったぜ」
「色々ありがとうございます」
「シューイチさん、お店守ってくれてありがとうっ!」
店の主達からお礼を言われながら店を後にする周一達。店の主人は何も言わなかったが軽く手を振っていた。
「・・・なんでお給料まで貰ってるのかな?」
「あー、それな」
『色々あったんだよぉ~』
店を出た後、周一とイリスはアイリスに経緯を話す事になった。
「・・・成り行きはは解ったけど、そもそも転移陣の使い方が解らないなら聞けばよかったんじゃないのかな?」
「そりゃそうなんだけど・・・なぁ?」
『うんうん。物語の主人公はどんな初見で未知な物でも、まるで始めてじゃないって思ってしまうくらい簡単に理解して扱えちゃうんだよ。アニメで言うと30秒もあれば余裕だね』
「よ、よく解らないけど・・・シュウイチさんはその真似をしたかったって事?それで失敗して恥ずかしくて飛び降りたって事かな?」
「・・・ああ。でもそこを確認しないでくれないか?余計恥ずかしい」
「あっ、ごめんなさいっ!」
経緯を話している間、目的の場所へとアイリスに案内をされているがその移動手段はまさかの空。正確には飛翔しての移動だ。それにしてもまあまあな時間が経ったがまだ目的の場所には着かない。
「んで、話し終わったが。まだなのか?」
「もう少し、と言うかもう側まで来てるんだけどね。ちょっと待ってて」
「ああ」
そう言って、周一をその場に待たせたアイリスは左手でスカートのお尻部分を左手で押さえるながら少し先を飛んで右手を何も無い所に突き出した。
『あーあ。ますたーが余計な事するからアイリスがガード固くしちゃったんだよ』
「俺の所為か?空を飛ぶ美少女、スカート。と来たら後はパンツしか無いだろ?」
「っ!?」
パンツと言うワードが聞こえたのか左手の抑える力が少し強くなったアイリス。だが周一達はその事に気付いていなかった。
『そうだけどぉ~。女の子的にはそう言うのは優しく言ってあげるべきだと思うんだよ。更にそこであえて目を逸らして。顔赤くして。いかにも僕は見ちゃったけどちょっとしか見ていませんよ~みたいなピュアなアピールをすると点数アップなんだよ』
「何の点数だよ」
『乙女のキュンキュンポイント。略して、乙キュンP』
いやマジで何そのポイント。
「でも美少女のパンツは男としては目に焼き付けるべきだろ?」
『それだと評価はガタ落ちだよ!見るにしてもチラ見までだよ!」
「いやいや。だったらラッキースケベしてる主人公は何なんだよ?胸触ろうが股に顔突っ込もうが好感度上がってるじゃねーかっ!」
『それはラキスケだからだよ!!』
「何でだよっ!!」
『事前のイケメンアピール&好感度アップをしておけば乙キュンPは減らないんだよ!!』
「畜生っ!じゃあ先にパンツ見ちまった俺には無理じゃねーかっ!!!おのれラキスケ主人公めっ!!」
「2人ともっ!!!」
その声に振り向くと空間が歪んだような輪っかの中から顔を赤くしながら今度は前を押さえたアイリスの姿。というかいつの間にかあんな人が通れそうな程の大きさの謎の輪っかが空中に出来ていたんだ?
「『あ、ごめんっ!』」
謝った2人はすぐさまアイリスの傍に寄り、輪っかの中に入ると輪っかは徐々に小さくなって消えていった。
「まったくもうっ!それとさっき見た事は忘れてね!シュウイチさん!」
「お、俺だけ?」
『そりゃ私は女の子ですしぃ』
ドヤ顔で言うイリス。相槌をする様にアイリスは首を縦に振る。
「くっ!?これが男女差別って奴かっ!」
「普通に常識だよっ!!」
普通に怒られた。そうか・・・これがパンツを見てしまった代償か。
アイリスに怒られた後、アイリスに並走?並飛行して輪っかをくぐった先に見えていた島に向かって飛んで行く途中で周一は何かにはっと閃く。
「・・・なぁ。イリス」
その場に止まってイリスに声をかける。それに合わせ、アイリスもその場に止まる。
『ん?どうしたのますたー?悟りでも開いた様な顔して』
「確かに美少女パンツの代償は高いな」
「っ!?まだ続けるのっ!?」
アイリスが周一が懲りていない事にさすがに引いている。
『そうだよますたぁ~。まして履いてるのと履いて無いのではまた価値が違うんだよぉ~』
「そこで俺はいい事を思いついた。これは男として生を受けた者達にも吉報だと言えるだろう」
『えっ?パンツを見ても罪にならない方法って事?』
「違うぞイリス。そもそもそんな方法は無い。パンツを見た事がバレてしまった時点でアウトだ。もっと根本から方法を変えればいい」
『ん?どういう事?』
イリスの知能を持ってしても予想が付かない様だ。当然だ。これは真のエロスを極めた者でしか辿りつけない領域の一端だ。
「パンツを見たらダメなら、パンツを見なければいいんだ」
「『・・・・・はい????』」
まるで2人の時が止まったのかの様に固まった。
『それって、当たり前なんじゃ無いの?』
「うんうん」
「解らないか?ふっ。無理もあるまい」
『んーん。ますたー。ますたーがおかしくなったって事が十分に解ったよ。大丈夫?どこかで頭ぶつけた?痛いならアイリスに治して貰おうよ』
「うん。任せてイリス。シュウイチさん。着いたら、とびっっっきりの回復魔法で主に頭を治してあげるからもう少し我慢してね」
2人してヤバい奴を見る目で心配してきた。
「あのなぁ。俺がそんな当たり前な事を言うと思うか?」
「出来れば、というかそうであって欲しいかな?」
『ダメだよアイリス。そしたらますたーが普通の程良いスタイルの主人公ッぽくなっちゃうから。今ですらもう自由に飛行出来ちゃってるんだからっ!』
それについては触れてはいけないと思うんだ。他の主人公だってきっとそうだと思うんだ。してしまって気付ける事もあるんだよ、相棒?
「えっ?それってダメなのかな?」
『私の知ってるますたーがそんなんになったら私は今すぐにでも号泣し続けられるよ』
「お前らなぁ・・・まぁ兎に角。パンツなど見る必要は無い」
その場で仁王立ちのポーズを取り、高らかに宣言した。
「そもそも美少女と言う存在だけで男は興奮できるんだ!なら直接パンツ等のエロ要素を目に焼き付ける必要は無い。脳内であらゆる自分好みのシチュエーションを創造し、可視化すればいいのだからな。つまりは今ここにいるアイリスを様々な格好、果ては全裸に到るまで視覚化する事が可能だ!!だがこれはあくまで脳が見せている幻想だ。つまり見られている本人にとってはただ見られているだけ。これなら本人の不快度はそこまでな・・・ん、どうしたアイリス?」
アイリスは体をプルプルさせながらいつの間にか熱弁していた周一の前にいた。そしてアイリスは魔力を込めた右手を大きく振り上げる。
「気持ち悪いっっっ!!!!!」
「うぼぁっっ!!?」
そして、おもいっっっきり平手を頬にフルスイングされた。
※イリスちゃんからのお願い※
今のますたーの発言、及びそれに伴う行動は狂気的なストーカー行為に発展しかねます。女性をとてつもなく不快な気分にさせ、場合によっては犯罪として訴えられかねません。イリスちゃんもますたーも責任は負えないので良い子も悪い子もえっちな事が大好きな子も絶対にしないでね☆




