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永遠の約束 永遠の旅 -とわのやくそく とわのたび-  作者: 風翔 響
第1部:エレメンタニア
35/109

3-8

 アイリス達と別れた後に城内を軽く探索し、城の入り口まで来ると先程転移をしてきた魔法陣が見えた。


「そういや、他にも転移の魔法陣があったな」


 先程港区とここを転移出来る魔法陣は使ったが、他にも魔法陣は幾つか視界に入ってはいた。そうなると転移先は別だと考えるべきなのだろうが。色は全て同じ緑色。違いを示すものと言えば魔法陣の傍にある看板ぐらいだろう。


『そうだね~。でも用があるのは港区でしょ?』


 頭の上のちっこい俺の相棒が目的地の再確認をする。


「まあな。それに港区で見た時に幾つか島が浮いてたって事はこの城もその島の中のどれか1つって事だろうな」

『つまり、ここはラ〇ュタ!?』

「ラ〇ュタだな」

『すぅ~・・・ばるすっ!!』

「・・・崩れないし落ちないな」

『この城もどこかのサーバーもしっかりしてるって事だねっ!かんしんっかんしんっ!』


 そんな茶番を城門の見張り兵2人にじっと見られながらも魔法陣の傍にある看板をを1つずつ調べていく。右から居住区、港区、商業区、の3つ。港区で見た島の数とは合わないがこの城にとって主なのがこの3ヵ所なのだろう。


『それでますたー。何処に行くの?』

「んー、カルド達が言ってたギルドを探して行くってのも良いが用も無しに行くのはちょっとな。商業はフトコロ事情的に行ってもなぁ・・・」

『ますたー!』

「ん?」

『RPGではストーリーに関係無い場所を漁るのは基本だよっ!』

「いや、あの自称主人公兼、呼称勇者様御一行共は平然と犯罪行為を所有者に有無も言わせずやってるだけだからな。あんなのと一緒にすんなよ」

『あははっ。だよね~』


 ゲームの主人公の謎権力。【俺が見つけた人の私物は、使えるなら俺の物】と言うどこかのガキ大将でもやらない行為。例え人前だろうが馬糞を押し売ろうが通報も激昂もされない未だ解明されていないゲーム界随一の謎。それは家や店の前にある樽や壺。まして店のカウンター内側。店主傍に陳列されている宝箱ですらお構いなしに開けていくあいつ等。何故そんな行為を間近にされて、その行為後にその場で話しかけられて、何故通常営業が出来るのか。現実では到底理解できない。


『って事は無難に居住区って事だね』

「いや、飛んで観光する」

『えっ?なんで?』


 そんなもの決まっている。


「居住区なんてサブイベントやクエストが発生しそうな場所に俺が行きたいと思うか?」

『あ~たしかにぃ。・・・あっ、でも。美遊が空を飛んでくのはダメみたいな事言って無かったけ?詳細は聞いて無かったけどみんなも珍しい事だって言ってたし』

「あー、確かに言ってたな」

『って事は飛ぶ姿を見られたら色々面倒事が・・・』

「さすがは俺の相棒。良く気付いてくれた。・・・って事は」


 選択肢が消去法で消えていき、最後に残った物。


『「港区しか無いじゃん」』


 カルド達が言っていたギルドに今の所は用は無い。商業には金が無いからなし。居住区には面倒事の発生率大。空の観光は飛んでる姿を見られたら面倒事がほぼ確定。つまり元から食事をタダ食いさせて貰うために行く港区しか行き先が無かった。


「・・・行くか。港区」

『れ、れっつごーなんだよ』


 少しだけでも異世界観光が出来ると思っていた2人だったが面倒事を避けて出た結果にしょんぼりしながらも港区の転移陣に乗る。


「しかし、何も起こらなかった」

『ますたー。そう言うのは私がもうテロップで出してるから言う必要は無いんだよ』


 さすが相棒。俺の思いついたしょーもないボケすらも対応済みだったか。って言ってもそれは誰に向けてのテロップなんだ?


「アイリス達と一緒の時は普通に使えたのにな。何か必要な条件があるのか?」

『あっ!きっとアレだよますたー!』

「アレ?アレってゲーム定番のアレか?」

『そうだよ!アレしかないよますたー!』


 アイリス達はそんな事して無かった気がするがイリスが言うならやってみる価値はある。

 転移の魔法陣に必要な事。それはあの簡単な工程、ただ1つだけだ。


┌────────────────┐

|  【港区に転移しますか?】  |

|                |

|  ≪はい≫ / ≪いいえ≫    |

|                |

└────────────────┘


『「はいっ!」』


 そのウィンドウの≪はい≫の部分に右手の人差し指を当てる。そしてその3秒後。


┌────────────────┐

| しかし、なにもおこらなかった |

└────────────────┘


 このウィンドウだけが表示され、このウィンドウすらも後に消えた。


『「・・・・・・・・」』


 周一はゆっくりと膝と手を魔法陣へと付ける。イリスは周一の頭からゆっくりと降りてから周一と同じ体勢をとる。


『「詰んだ・・・」』


 転移陣の使い方が解らず、フリープレイ開始早々に移動制限をかけられる2人。

 アイリス達にああ言って別れた後に、「転移の仕方が解らなかったから戻って来ちゃった。テヘペロッ☆」なんて言えたもんじゃない。そんな事するぐらいなら・・・。


「どうかなされましたか!?」


 周一の異変に気付いたのか駆け寄って来る城門の見張り兵の1人。これは、色んな意味でピンチなのでは!?


「もしかして、転移の・・・・・・。それなら魔力を・・・・・・」


 何かを言っているがあまりに恥ずかしく、顔を上げられない周一とイリス。イリスは恥ずかしさのあまりにミニイリスちゃんモード(イリス命名)を消して表に出て来なくなる始末。つまりは隠れたと言うより逃げた。


「くっ!」


 咄嗟に周一は兵士から逃げる様に転移陣の周りにあった落下防止用の柵を勢いよく飛び越えた。


「え・・・えええええええええええええええええええええええっっ!!!?」



 晒し物にされて恥辱に塗れるぐらいならここから飛び降りて海に落ちる可能性に賭けた方がマシだ!



 何故俺達は使い慣れているであろう兵士達に使い方を聞かなかったのだろうと後々後悔した。

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