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永遠の約束 永遠の旅 -とわのやくそく とわのたび-  作者: 風翔 響
第1部:エレメンタニア
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3-7

「・・・と言う訳です。これがあなた方がここに来られる前に彼と話した内容の要点です。なのであなた方にはこの国。いえ。4ヵ国のために協力をお願いしたいのです。勿論、無理強いは致しません。この事実を知ったままライネスに戻る選択をする事をなさっても私達はお止め致しません」


 カイツを客間のベットで寝かせた後、謁見の間にてクーラが先程のインテリングやスパイの可能性の話を簡潔に済ませるとヴォルグ達はその内容にどう口を出したらいいか戸惑っていた。クーラの話を信じ、協力を受諾すると言う事は召喚をした自国の敵になると、寝返ると言う事だからだ。


「ヴォルグさん」


 するとその反応を見かねた美遊が助言するかのように口を開く。この場に周一がいないおかげか、その姿にはもう先程の震えは無かった。


「正直、私も陛下のお話を聞かなかったら・・・あの人の、円道さんの話だけだったらとても信じられないです。平気で人を殺そうとする人の言葉を信じろと言う方が無理な話ですから。だから今の陛下の話を聞いてどうするかはヴォルグさん達にお任せします」

「といってもよぉ・・・」


 美遊の出した言葉はヴォルグ達を更に迷わせる。


「陛下。今の話については時間が欲しいです。協力するかはカイツが目を覚ましてから決めさせては貰えませんか?」


 ヴィオラがクーラにそう願った。


「構いません」

「それと、しばらく滞在する事を共に来た兵士達に連絡を取らせていただいても?」

「それについては既に私の兵にお願いしてありますから大丈夫ですよ」


「ああ。それならする必要も無いと思うぞ」


 その声の主、謁見の間の入り口に現れた周一がそう伝えた。その傍にはクーラがその連絡を頼んだ兵士、そしてアイリスとハレンチ魔王のルシファーも一緒だった。兵士はアイリスとルシファーに重圧を感じて少し距離をおいていた。


「あいつ等ならさっき船出してたからな」

「「「「なっ!!!?」」」」


 驚きを隠せないヴォルグ達。


「それは本当ですか?」

「い、いえっ!向かう途中、彼とアイリス様がそうおっしゃったので・・・」


 クーラに聞かれそう答えた兵士。どうやら港まで向かう途中に此処に向かっていた周一とアイリス、ルシファーと鉢合ってその事を聞いたのだろう。なので連絡をする必要が無くなったために周一達と同行して来たようだ。


『実はあの時隠れて偵察してた兵士が1人いたんだよね。言う必要も無いと思ってほっといたけど。だからあなた達が負けた事も知ってるから帰ったんだと思うよ。傍から見たらあなた達は捕虜になったって感じだろうし』

「・・・そうか。つまり俺達は信用されて無かったって訳か」


 その補足として周一の頭の上に乗っていた立体イリスが説明する。その説明にヴォルグは虚しそうにそう答えた。


「んで、クーラ。何処まで話は済ませたんだ?」

「簡潔にですが話は済みましたよ」

「そっか」

『あ~よかった。また私がしなきゃいけないかと思ってたとこなんだよ』

「ふふっ。でも、あるとすればシューイチ。そしてイリス。あなた達の事ですね」

「ん、俺?」

『私も?』

「ええ。結局うやむやにされてしまったままですもの」


 まあ確かに。うやむやにしたかったんだが。面倒臭いし。そんなのアニメみたいにテキトーに回想でも挿んで終わらせて欲しい。というか自分の事を語るのがどんだけ恥ずかしい事か解ってんのか、この女王様は?


『どーする?ますたー?私の事はアイリス達には言ってるから簡単にでも話せばいいんだろうけど。ますたーの事はますたーが言いたくなかったら言わなければいいと思うけど・・・』

「そうだな・・・一応聞いとくか。クーラ。それと他も。俺の事を見て、どう思った?」


 周一の質問に一同が思考を止まらせた。先程のヴォルグ達の件を知らない兵士達がざわめくのも無理は無い。だが知っている者達はあの出来事が一瞬にして脳裏を過ぎった。


「・・・どう、とは?」


 クーラが唾を飲み込んだ後に聞き返す。


「そのまんまの意味だが・・・まあ俺を見てどう感じたかって事だ」

「・・・」


 人として、生物としてなどとは聞かず、周一を見て、どう感じ、どう思ったか。その答えはクーラ達もヴォルグ達も答えは同じだった。だがその言葉を口には出来ない。何故ならその答えによっては・・・。


「ああ。別にそれはどんな感想でもいいけど、その答えで俺が話すか話さないかを決めるだけだから。深く考えなくていい。それこそ直感ってやつで構わない」

『でも素直に答えて欲しいかな。じゃないと後悔するのはあなた達の方だから』

「・・・それはさっきの色んな呼び名も関係してるの?」


 周一の口から聞いた周一の呼び名の数々。それが周一が自分の事を話したがらない事に繋がっていると思ったアイリス。その質問に誰もが疑問を持った。


「してる。と言うか俺がして来た事がそのままそう呼ばれるきっかけになっただけだしな。・・・ちなみにアイリスは俺の事どう思った?」


 アイリス個人に問いかける周一。だが予想外にもアイリスは迷いも無く笑顔で即答した。


「やさしい人」


 その回答に誰もが、イリスもそして聞いた周一本人も驚いていた。


「・・・は?今の聞いて何でそうなる?」

「直感でいいんだよね?だったら私の答えはこれだけだよ」

「優しいって・・・こんな奴の何処が!!?」

「そうでござる!!姫はカイツにした事を忘れたのか!!」

「うん。ちゃんと覚えてるよ。でもそれを含めても私はそう思えるから」


 ステルス女とニンジャモドキの方を向き、顔を見てしっかり答えたアイリスに2人は戸惑ってしまう。


「・・・おかしいよ」


 だがもう1人、言わずにはいられなかった美遊が口を出した。


「どうしてっ!!?どうしてアイリスはそんな事が言えるの!!?この人は人を殺そうと・・・ううん。私達がいなかったらカイツさんは殺されてたんだよ!!」

「・・・そうだね」

「っ!?だったら!!」

「でもシュウイチさんが負けたら私はライネスに行く事になってたんだよ?」

「それはっ!?そんなの・・・あれだけの力があって!!アイリスと同等の強さの魔物をチュートリアル扱いして!!そんな人があんなやり方をしなくてもヴォルグさん達を楽にやり過ごせたでしょっ!!?」

「え、英雄姫と同等の魔物?一体なんの話をしているの?」


 ヴィオラが美遊の発言に困惑する。英雄姫と呼ばれる程の知名度のあるアイリス。きっとその強さはこの世界で知れ渡っていてもおかしくは無いだろう。ヴォルグ達の傍にカルドが近付いて補足説明をしているようだったが少し距離があるため良く聞き取れなかった。・・・ってそういえば何であの役所でリアンと口論してたアンジュとか言う人まであそこで聞いてるんだ?あの人関係ないだろ?まだリアンとしょうも無い小競り合いしてるし。


「何を怒ってるかは解らんが、小娘」


 そこに割って入るように魔王ルシファーが発言する。


「この小僧はそこの邪魔者共を排除しようとした。ただそれだけの事であろうにガミガミと五月蠅いぞ」

「ただそれだけっ!?魔王のあなたには人の心なんて解らないんだから黙っててよ!!」

「ほう、小娘。それは我に対する挑発と取っていいのだろうな?」

「っ!!?」


 怒りに任せている美遊に対して禍々しい魔力を体から謁見の間全体に広がる程に開放して見せた魔王ルシファー。それだけで謁見の間にいた兵士達が次々と気絶して倒れて行き、入り口の方からも金属が落ちる音が聞こえた。きっと部屋の外にいた兵士が気絶したのだろう。


「・・・ルーちゃんやり過ぎ。約束したでしょ」


 アイリスがそう言うと、ルシファーはため息を吐いた後に魔力を自分の中へと戻す。


「わかってはおるがアレらは我のせいではないだろう。これでもこの小娘を基準にかなり加減したんだぞ?全力の1割も出しておらん。弱過ぎるアレらが悪いのだ」

「はぁ~・・・せめて兵士さん達を基準にしてよね。あ、ごめんねクーラ。兵士さん達にもあとで謝らないと」

「え、いいっていいって。アイリスがした訳じゃないんだから。それに今度は今のを耐えられるぐらいには訓練の必要があるって解ったからむしろお礼を言いたいぐらいだよ。ねっ。ヴァン」

「あはは・・・そうだねぇ・・・」


 空笑いするヴァン。その目は倒れている兵士達を不憫に思っていた。


「して、小娘?あの程度で先程から震えておるが?」

「っ・・・・・・」

「まあ。まともに話せそうなのはアイリスと風の2人。そして小僧とちっこいのぐらいなものか」

『ちっこい!?』

「だが小僧。そのちっこいのは解らぬが、お主はレベルは23。あの小娘が堪えられなかったのに何故平気なのだ?」


 美遊よりレベルの低い周一が先程の魔力に耐えられる訳が無い。当然の疑問が浮かんだ魔王は周一に問いかける。


「さあ?肌にピリピリする感じはあったけど他には特に何も」

「っ!ほう。面白いな小僧。名は?」

「ん?周一。・・・ってかアイリスがそう呼んでただろ」

「すまんな。我は我より強い奴か同等か、あとは面白い奴しか名前を覚えない。現にここで名前を覚えているのはアイリス、そしてシューイチ。お主だけだ」

「さいですか。それでルーちゃん。あいつ等はほっといて平気なのかよ?」

「その名で呼ぶな!!それを許したのはアイリスだけっ・・・いや。アレらはほって置けばその内戻る」

「そっか。ならクーラ。もうお開きでいいか。こんな状況だし、疲れたから休憩にしたいんだけど」

「えっ。待って!まだあなたの事っ!」

「それは無しだ。理由はお前達を見て話したくないと思ったからだ」


 周一はクーラを背に謁見の間の扉へと向かう。


「何故っ!!?」

「そんなのお前達が一番解ってんだろ?」

「っ・・・」


 その言葉に言い返せず王座から立ち上がってまで周一を引き留めたクーラは、周一の一言の後、肩にヴァンの手を置かれて諦める様に再び王座にゆっくりと座る。


「シュウイチさん。今から何処に行くの?」

「夜まであと2時間くらいってあの家族が言ってたろ」

「・・・あ!あそこに行くんだね」

「ああ。報酬は貰いにいかねーとな」


 アイリス達と共に役所に着いた時、あの店を守って欲しいと言っていた親子が駆け寄って来てお礼を言ってきたのだ。その時、タダ飯を食わせてくれる事と店の準備があるから夜になったら来て欲しいとい事でそれまでの大体の時間を教えて貰っていた。


「でも、それだけ時間があるならここでお話してくれてもいいんだよ?」

「疲れたって言ったろ。そもそも俺この世界に来てまともに食事も水分も取ってねーんだ。今の空腹感だったら5人前ぐらい軽くいけるぞ」

『前の世界から何も食べて無いもんねー。今のますたーの体、結構デンジャーに近いし』


 周一の健康状態のウィンドウ画面を出してそれを眺めながら言うイリス。


「のお、シューイチ」

「ん?」

「我とアイリスはお前の事を聞いてもいいのか?」

「ああ。さっきので目を変えて無かったしな」

「なら別の場所で良いか?」

「それはいいが、飯の後にしてくれ。さすがに飲まず喰わずに話すのは辛い」

「わかっておる。アイリス。シューイチの飯が済んだらシルフィーの所まで連れて来るがよい」

「えっ。あっ!うん。わかった。でもルーちゃん。その前に」

「ああ。シルフィーには我から言っておく。アイリスは此処にいるやつらの介抱でもでもしておくがよい」

「うん。お願いね。ルーちゃん」


 そう告げるとルシファーはその場から姿を消した。


「んじゃ、そっちの事が済んだら来てくれ。俺はその辺をふらついてからあの店で飯食ってるから」

「うん。解った。あとで迎えに行くね」


 周一もそうアイリスに告げて、その場を去った。

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