表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠の約束 永遠の旅 -とわのやくそく とわのたび-  作者: 風翔 響
第1部:エレメンタニア
32/109

3-5

 予想外な光景に美遊達は急いで周一達の元へと駆け寄った。


「な、何があったの!?アイリス!!?」


 クーラは一部始終を見ていたはずのアイリスに問いただす。


「え・・・あ、うん。私もよく解らないや・・・ははは・・・」


 アイリスも予想外の出来事だったのか反応が上の空だ。


「解らないって・・・」


 クーラは次に状況を解っていそうなライネスの勇者達を見る。だが彼等もまたアイリスと似た表情や反応をしていた。


『ああっ!ますたーのHPゲージがっ!!』


 イリスが表示しているであろう周一の頭上にあるゲージ。緑、黄色、赤とみるみる減っていく。その周一はまるで漫画に出てくる威勢のいい雑魚が一発でやられた時の様な姿で倒れていた。


『死なないでっ!!ますたあああああああああああ!!!』

「で、これはどういう事なの?」


 冷静な美遊はイリスに事情を聞く。


『・・・ん?どういう事も何も、あの2人の攻撃をくらってこうなっただけだよ?』

「・・・はっ!いやいや、イリス。だってシュウイチさんはちゃんと魔力障壁を出してんだよっ!?」

『そう言われてもねぇ~。私も情報不足だから説明できないよ。ますたーが起きたら聞いてみたら?』

「な、なぁ?これは俺達の勝ち・・・で、いいんだよな?」


 話に入って来るヴォルグ。戦いを了承した側ですらあれほど大口を叩いていた男が一発で倒れたとあればさすがに戸惑いを隠せ無くなる。


『ん?ますたーはまだ負けて無いよ?だって普通に意識あるし、ダメージも実際このくらいだし』


 と、ヴォルグの問いに応えるイリス。先程周一の頭上に表示していたHPゲージも赤だったものがすぐさま緑色に変わり、ゲージの20分の1程しか減っていない物をヴォルグに見せる。


(・・・なあ、ウィング?)

【ねぇ~。なんとなくだけどわかったでしょ~?】

(・・・いや。出来れば実戦でやりたくは無かったんだが)

【そうなったのは空気だけ集めた君が悪いと思うけどね~】


 空気だけ、そう言う事か。

 その言葉を聞けた事でウィングの言っている事はなんとなく解った。

 俺が出した魔力障壁の盾。そしてウィングの力を組み合わせたエア・シールド。俺は空気の塊を盾状に形成したものをイメージしてそれを出現させた。だが結果はあのニンジャとステルス女の攻撃は俺の作った盾をすり抜けて俺の顔面と腹に命中した。その攻撃事態は防衛本能と言う奴なのだろう、あのリザードマンがやろうとしていた様な体中に魔力を纏う状態。どうやらこれをする事で身体強化ができ、ダメージを最小限に抑える事が出来た様だ。

 だが問題はそこでは無い。盾を作ったのにそれが意味を成さなかった事に問題があった。普通、いや本来普通では無いだろう。ゲームでも漫画でも、盾と言う物は大概どんなものでも攻撃を防ぐための物に扱われる。それが成功・失敗の有無に関わらずだ。つまり逆に言えば、盾を出せば何でも防げてしまうと言う概念。盾の構造、本質、材質、使用者、状況、環境。そう言った使用に至っての本来必要な情報を全てすっ飛ばしている。簡単に言ってしまうならその全ての事柄に対して力の影響が出る[元]がある。

 フライの魔法を使った時もそうだった。魔法を唱えて羽を出せば空を自由に飛べる。と言う訳ではない。空を飛ぶための元となる羽の動作を意識して、初めて飛ぶと言う行動が行える。さっきの盾で置き換えるならこうだ。エア・シールド、空気の盾で身を守るためには魔力で空気を集めて盾を作る、では無かった。魔力で盾を作り、その盾を風船やタイヤの様に空気を入れて密封しなければ盾としての力を発揮する事が出来なかった訳だ。それなら盾をすり抜けた事にも納得がいく。なぜなら空気を固めた盾じゃなく、ウィングの言っていた通り盾状の形に空気を集めただけだから。空気だけでは物理的な物を防げるわけが無いのだ。

 そんな当たり前な事にも気付かないなんてな。次から魔法を使う時は[元]に注意しなければ。


(まあなんつーか、そういった魔法をなんとなくで出来ちまう奴らが羨ましいねぇ)

【そこは才能ってやつだよぉ~】


 要は理想を現実にするための必要な条件をイメージするって事か。才能と一言で言ってしまえば終わりだが、才能ある者だからこそ「なんとなく」としか説明出来ないってか。俺最強ハーレム物語のイケメン主人公ならこんな話を聞かなくても簡単に出来ちまうんだろうな。ああ・・・イケメンなんて滅びればいい。


【あ、あとさっきのは君の力だけで作った障壁なら余裕だったよぉ~】

(・・・・・・)


 だったら実戦でやらせんな。魔力のおかげとはいえ、痛い事に変わりないんだからな。


「・・・よっと」

『あっ、起きた。それでますたー。そうなった理由は?』

「イメージに不備があった」

『不備?』

「俺はどうやら空気の盾じゃ無くて、盾状の空気を作っていたみたいだ」

『あ~。だからすり抜けたんだね』

「イリス。どういう事?」

『えっとね~』


 アイリスの問いにイリスは例の如く別ウィンドウを出す。そこには勿論イリスのデフォルメが説明役として映し出されている。そして俺が考えていた理論をアニメーション映像にしてアイリス達に伝えた。


『・・・って事なんだよ』

「つまりシューイチは馬鹿だった?」

「馬鹿で悪かったな」


 そうなるのは当たり前だろ?みたいな感じで言うなイケメンジャージ。というかお前等いつから居たんだ?


「あはは。魔法って色々難しい所もあるからね。出来ない事があってもしょうがないよ」

「私も修練をしていた頃は失敗ばかりしていましたね」


 やだっ。この姫と女王。もしかして天使!?


「あー・・・そろそろいいか?こっちは時間が無いんだからよ」

「ん?ああ。イリス」

『うん。ますたー。準備はすぐに出来るからあとは壁さえ作ってくれればいつでも終わらせられるよ』

「だそうだ。アイリス達には悪いけど・・・って戦闘には関わら無いから問題ないか。悪いがこの辺一帯の建物に魔力障壁張っといてくれないか?出来るなら風に・・・ってそういや俺達のは属性が無いんだったな」


 その周一の頼みに一同が疑問を浮かべるがイリスが地図上に『高さのある壁をこんな感じでお願い』と障壁を張って欲しい場所を線を表示する。その線は広場にある建物の前と広場への通路を塞ぎ、この線の通りに高い壁を作れば即席の塔の様な形が出来る構図だ。


「その程度なら私達2人でも十分出来ますが・・・」


 クーラはイリスの地図を確認した後、ヴァンと目を合わせて首を縦に振って相槌をしあった。


「シューイチ。そうすればこの事態解決出来るのですか?」

「ああ。協力してくれるなら、後はその障壁の強度しだいでこの辺の被害率が変わる。特にあの建物は重点的に頼む。あんたの民に守ってくれって依頼されたからな」

「・・・そう、ですか。解りました」


 周一の言葉にクーラはアイリスを見た後少しクスリと笑い、それを了承した。


「んじゃ、頼む」

「はい。ヴァン」

「ああ」


 クーラとヴァンは共に右手を前に出すと、周一達の前に大きな緑色の障壁が出来る。そして順に建物を守るように次々と障壁を作り出す。そして5秒程で広場の建物を守りながらヴォルグ達を閉じ込める、まるで魔法障壁の塔とでも呼べる物が出来上がった。その光景にヴォルグ達は動揺する。


「では。あとはお願いしますね」

「任せとけ。イリス」

『あいあいさぁ!』


 その掛け声と共にヴォルグ達全員を覆う程の白い魔法陣が足元に現れた。


「おいおい・・・これは一体何のつもりだ?」

「見ての通りだが?」

「見ての通りだと?すぐに発動しないあたり設置型の魔法だろうが、お前は馬鹿なのか?こんな物はいくらでも対策はある」

「そうなのか?悪いな。俺は此処に来て間もないからな。魔法での実戦には疎くてな」

「ぷっ。確かにそうね」


 ローブの女性、ヴィオラがさっきの事を思い出したのか不意に笑う。


「まあでも。そんな俺から忠告な。全員死にたくなかったら1人もその足を動かすなよ」

「・・・言っただろ。対策はあるって。ただありがとな。条件を教えてくれて、よぉ!!」


 そう言いながらヴォルグは足を動かさないように気を配りながら持っていた斧で足元の魔法陣を叩きつける。


「設置型ってのは魔法陣の描いた環境が大きく変わっちまうと消えちまうん・・・だぁ?」


 斧を叩きつけた地面から出た砂埃が晴れる。するとその光景にヴォルグ達は動揺を隠せなかった。何故なら本来消滅しているはずの魔法陣が再度現れたからだ。


「何故だ・・・何故消えて無い!!?」

「いや、消えたならまた出せばいいだけの話だろ。環境に影響するなら尚更な」

「っ!?」

(・・・こう言った準備だけでも魔力を使うってのは辛いな。もし消えるまで消そうとするような馬鹿だったらヤバかったな)


 消せばいい。それが通用するのは傍に術者がいなければの話だ。傍にいる場合でもゲームで言うMPマジックポイントがどれだけあるかの問題だけだ。俺の魔力、あのもやもやは体に巡っているエネルギーとでも考えてみると、先程の体感から推測してざっと20回ぐらいなら体に害も無く出せるだろう。

 と言ってもすぐに再展開させてるのは俺じゃなくてイリスなんだが。


「で、お次はどうすんの。生きて帰りたいならおとなしく帰る事を誓ってくれれば」

「あまり舐めないで欲しいわね」


 その言葉に緑髪のステルス女が口を出す。


「私の能力がただ消えるだけど思ったら大間違いよっ!」


 そう宣言するとステルス女は姿を消し始める。その姿にヴォルグ達はまた余裕を取り戻した。

 が、その中の1人。大盾の茶髪青年カイツがその行動に対する周一の呆れた顔を見て悪寒を感じて声を荒げた。


「ま、待って下さい!!」


 カイツの声が広場に響き渡ると同時に広場中に激しい風が発生し、それが少し弱まるとヴォルグ達の姿は広場から居なくなっていた。



「へ?」



 ステルス女は虚を突かれた様に変な声が思わず出てしまう。何故なら能力によって姿を消し、一歩踏みしめた次の瞬間。凄い風圧と共に空へと打ち上げられ、気付けば空中に居たからだ。そしてそれはステルス女だけでは無い。ヴィオラもカイツもニンジャも。鎧も含め、見た目でかなりの重さがあると解るヴォルグでさえ。全員が広場上空へと投げ出されていた。


「な、何が起こりやがったっ!!?」

「あの人の魔法が発動したんですよ!!」

「なっ!?」

「どうしてっ!?あなたの能力なら平気なはずでしょっ!?」

「そんなの私にだって解らないわよ!!」


 クーラとヴァンの障壁の塔が崩壊しなかった事によって周一のエアブラストは拡散する事無くまるで大砲の様にヴォルグ達をより高く打ち上げた。その証拠に近場にあった雲に広場の形状をした穴が出来上がっていた。もし塔の先に島があったら同じ形の跡が出来上がっていたかも知れないがそこはイリスがしっかりと配慮していた。

 ヴォルグ達は何が起こったか理解出来ずにそんな揉め事をしながらも地上へとの距離が徐々に近づいて行く事に気付く。


「ああもうっ!そんな事より兎に角、今は対処よ!」


 ヴィオラがそう言いながら、緑のオーラ。風属性の魔力を纏いだすとニンジャとステルス女もその声に応える様に地上に地上に向けて両手を出し、同じ様に風属性の魔力を纏う。加減を間違えればそれなりの代償を得る事になるのは全員日頃の経験から言わずも察していた。

 だが地上に近付くにつれてヴォルグ達の目先、地上にいる周一は空に右手をかざしながらヴォルグ達を見つめていた。そしてその右手には白い魔法陣が出ていた。


「くっ!カイツっ!!」

「はいっ!!【ヘイトシールド】!!!」


 その姿を見たヴォルグはカイツに指示をするとカイツはスキル名を唱え、持っている大盾を周一に向けて構えると大盾に赤いオーラが纏い始めた。


「ん?」


 そして周一の体にも大盾と同じ赤いオーラが纏う。


「ま、いっか。イリス。この中に落とすならどれぐらいだ?」

『んー、さっきのやつの7ぐらい威力アップかな?』

「わかりずれぇな。けど了解だ」


 そんな異変を気にする事無く周一はヴォルグ達に向けて、正確にはヴォルグ達の更に上に白い魔法陣を出す。右手に出していた魔法陣は注意を逸らすためのフェイクだ。


「んじゃ、宣言通りに殺すとしますか」

「なっ!?まさか本気でっ!!?」


 周一の笑みから出た発言にクーラが驚く。

 クーラは周一の根は優しい人だと思っていた。民の願いを聞いて行動してくれる事を聞いた時にアイリスの顔を見て、そう確信していた。だがらあの時の黒幕に対する脅しの発言もあの刺客達をも上手くやり過ごす策があっての事だと思った。だが現実は本気で殺す気だと、その笑みから悟れる程だった。


「本気も何も、最初っからそう言ってただろ?刺客は全員死ぬって。そして美遊達にも言ったが俺は冗談以外は嘘をつかない」


 クーラの問いに答え、補足するかのようにイリスが美遊達に言った事を再度本人の口から真実だと言う事を伝える。


「だから殺さない、なんて選択は俺達には無い」

「だ、だめ・・・。ヴォルグさん!!上えええええええええ!!!」


 本気で殺す気だと本能で感じた美遊は無意識でヴォルグ達の注意を促すために叫んだ。


「なにっ!!?カイツ!!!」

「はいっ!!」


 その声にヴォルグは体の向きを変えて上を見るとそこに周一が出した本命の魔法陣を目にするとカイツを呼び、対処させる事を決める。他の3人もつられる様に見ようとするが着地に専念するためすぐに地上へと視線を戻す。それはまるでカイツに対する絶対の信頼があるからこその判断なのだろう。


「はぁ・・・」


 周一はため息を吐くと、フェイクの魔法陣を消して本命の魔法陣から【エアブラスト】を発動する。魔力を纏った空気の塊はその見た目の大きさ、威力からヴォルグ達を地上へと押し潰すのに十分な物だった。

 だが、その空気の塊はある一点に集束して襲いかかった。


「ぐっ!?」


 その先は大盾を持っていたカイツ。まるで大盾に吸い込まれ行くかの様にエアブラストが衝突する。


「ぐわああああああああああああああ!!!?」

「「「「カイツ!!!」」」」


 カイツはエアブラストを盾で受け止めると落下速度がエアブラストの威力によって急激に加速し、そのまま地面へと誰よりも早く落下する。その速度が余程の物だったのか、辺りに砂埃が舞う程の風圧と衝撃音が聞こえた。あとから落下して来たヴォルグ、その後3人は風魔法によって落下速度を和らげられたため上手く着地に成功し。だがカイツは3人の風魔法で和らげる余裕すら無かったため、背中から思いっきり打ちつけられ地面に少し凹み、そしてその姿は盾に隠されている状態になっていた。


「おいっ!生きて・・・っ!!?」


 ヴォルグが声をかけながら仲間達と共にカイツへと駆け寄るとカイツを覆っている盾の隙間から土に血が滲み始める。


「カイツ!!!」


 ヴォルグはその光景に叫び、すぐさまカイツの大盾を退かす。そしてヴォルグ達は息を飲む物も居れば口元を押さえ、目を逸らす物もいた。


「がっ・・・あがっ・・・」

「まだ息があるのか。普通なら即死なんだけどな」


 鼻や口から大量の血を流しながら痙攣しているカイツ。見た所、全身打撲に内臓損傷だろう。そんなカイツを見ながら平然とした態度でクーラとヴァンの障壁を消させた後にヴォルグ達に近付いてくる周一。


「コノヤロウッ!!!」


 怒り任せに周一に斧を振るうヴォルグ。だが、周一の突如出現させたあの青い剣に受け流される。


「あぶねえな。そもそもキレる相手を間違って無いか?」

「あ゛!?」


 お前意外に誰がいるとでも言いたそうな顔だ。他の連中もその様だ。


「お前等がとった行動の結果だろ?ちゃんと俺は言ったんだがな」

「!?」


 全員死にたくなかったら1人もその足を動かすなよ。と、確かに周一はそう言っていた。だがヴォルグ達は納得がいかないのか表情に疑念と怒りが混じっている。


「ああ、そういや。お前等があいつを助けたかったら好きにしてくれ」

「っ!!?アイリス!テルフィア!!」

「ヴァン!私達も!」

「ああ!」


 周一の言葉に美遊は咄嗟にアイリスとテルフィアに呼びかけながらカイツの元へと駆け寄る。それに継いでアイリス、テルフィア。クーラにヴァンと。周一の傍にいた者達が全員駆け寄り治癒魔法を行う。


「にしても本当に異世界って感じだな。普通の人間ならとっくにトマトみたいになってるはずなのにな」

『でもパニック状態にはなってるみたいだけど?あれって治るの?』

「さあな。魔法が万能なら治るんじゃね?」


 不謹慎発言を連発する周一達に怒りを覚える者達。


「なんで・・・私の能力ならあなたの魔法なんかに感知されるはずないのに!!」


 カイツの治療の最中、ステルス女が周一に向けて声を荒げた。


「ああ。だから動いたのか。でもそこの死にかけは気付いたぞ。その声に反応出来なかった・・・って言うか気付かなかったお前が、ああなった一番の原因だとは思うが?」

「話をすり替えるなっ!元はと言えばあなたでしょっ!!」

『はぁ・・・。すり替えてるのはそっちでしょ~。ますたーは動けば死ぬってちゃんと伝えたはずでしょ?なのに動いてさぁ。それでますたーを悪く言うのはどうかと思うんだけど?』

「うるさいっ!!気色悪い板切れは黙っ!?」

『ますたー』


 イリスに対する悪口を言おうとしたステルス女は最後まで言いきることが出来なかった。何故なら周一の青い剣が自身の首の傍で止まっていたからだった。


『私、そんなので怒んないよ』

「そっか。・・・良かったな」

「あ・・・ああああ・・・」


 あの顔をしていた周一の青い剣を首傍から離され、青い剣が消えて無くなるとステルス女は腰を抜かしたようにペタンと座り込む。その光景を傍目で見てたアイリス以外の他の者はその姿に。いや、その表情に恐怖した。特に美遊にとってはトラウマが蘇ったかのように体が極度に震えだす。


「んでアイリス。そいつは治りそうなのか?」


 アイリス以外は周一の行動により治癒魔法を止めてしまったため。未だに続けているアイリスに問いかける。


「うん。もう大丈夫。あとはゆっくり休ませてあげればその内目を覚ますはずだよ」

「だとさ。お前等良かったな。アイリス達と万能な魔法に感謝しとけよ」


 アイリスの言葉には安堵し、周一の言葉には葛藤が込み上げるが恐怖のあまり言い返す事も出来ずにただ黙りこむ。


「なあ・・・。お前、本当に人間か?」


 ヴォルグはそんな恐怖心を負いながらも周一に問いかけた。その問いに誰もが耳を傾ける。


「知りたいなら教えるが?」

「いや、いい。今のは忘れてくれ」


 答えを知りたいが聞き返してきた周一の言葉に聞きたく無いと言う本能が勝ったため、ヴォルグは聞くのを止めた。



「なら、私にその答えを聞かせて貰おうか」



 突如何処からか女性の声が広場に響き渡ると辺りが急に夜の様に暗くなり、その声の主が周一達の前に姿を現した。


「この、魔王ルシファーにな!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ