表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は物語に支配された世界を、文明で解放する  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/87

第77話 三者対面

グレイウッド。


中央広場。


人の流れが止まる。


完全ではない。


だが。


中心だけ。


空間が空く。


自然に。


誰も指示していないのに。


円ができる。


その中。


四人。


レオナ。


リリア。


セラ。


そして。


勇者。


対面。


距離は数歩。


近い。


だが。


遠い。


沈黙。


長い。


誰も動かない。


風の音だけが通る。


勇者は立っている。


手は剣から離れている。


だが。


完全に無防備ではない。


いつでも動ける距離。


訓練された立ち方。


レオナは動かない。


いつも通り。


観測している。


相手を。


情報として。


リリアは少し後ろ。


だが。


逃げない。


視線は勇者へ。


そして。


時々。


レオナへ。


セラは横。


全体を見る位置。


バランスを取る。


沈黙が続く。


勇者が先に動く。


わずかに息を吐く。


そして。


口を開く。


「……まず確認させてほしい」


慎重に。


言葉を選ぶ。


戦いにならないように。


「あなたがレオナで、間違いない?」


確認。


レオナは頷く。


「ええ」


短い。


それだけ。


勇者は次に視線を動かす。


リリア。


聖女。


「……あなたが聖女」


リリアは少しだけ躊躇う。


だが。


頷く。


「……そう」


完全な自信はない。


だが。


否定もしない。


勇者は小さく息を吐く。


整理する。


情報は一致。


だが。


状況は一致しない。


目の前の空気。


敵対ではない。


むしろ。


落ち着いている。


おかしい。


王国で聞いた話と。


全然違う。


勇者はレオナを見る。


まっすぐに。


そして。


言う。


「……あなたが“悪役”だと聞いた」


言葉を出す。


だが。


自分でも。


違和感がある。


レオナは一瞬だけ目を細める。


反応。


だが。


すぐに戻る。


「そう言われたのね」


淡々と。


否定も肯定もしない。


ただ。


事実として受け取る。


勇者は続ける。


「でも……」


言葉が詰まる。


視線が周囲に流れる。


人々。


笑っている。


働いている。


普通に生活している。


「……そうは見えない」


正直な感想。


そのまま出る。


場の空気が少しだけ緩む。


セラがわずかに口元を緩める。


リリアも同じ。


レオナは変わらない。


ただ。


一つだけ。


確認するように言う。


「あなたはどう判断するの?」


問い。


シンプル。


勇者は一瞬止まる。


考える。


そして。


答える。


「……まだ分からない」


正直に。


逃げずに。


断言しない。


それが。


この勇者の性質。


セラがその言葉を聞いて。


小さく頷く。


予想通り。


極端ではない。


思考するタイプ。


レオナも同じように判断する。


「合理的ね」


短く評価。


勇者が少し驚く。


敵意がない。


それどころか。


会話が成立している。


完全に。


想定外。


リリアが口を開く。


少しだけ前に出る。


「……神は、あなたに命令したの?」


問い。


核心。


勇者は頷く。


「“悪役を討て”って」


そのまま言う。


隠さない。


レオナがわずかに視線を動かす。


情報追加。


セラが息を吐く。


予想通り。


だが。


やはりおかしい。


リリアが拳を握る。


小さく。


震える。


「……やっぱり」


確信に近づく。


神の命令。


それは。


絶対ではない。


勇者がリリアを見る。


少し戸惑いながら。


「あなたは……その命令に従ってない」


事実。


リリアは頷く。


「……従えなかった」


正確に。


勇者は目を細める。


違和感がさらに大きくなる。


神。


絶対の存在。


その命令が。


通用していない。


しかも。


二人に。


レオナと。


リリア。


共通点。


何かがある。


だが。


まだ見えない。


沈黙が落ちる。


再び。


だが。


さっきとは違う。


緊張はある。


だが。


敵対ではない。


探り合い。


理解しようとしている空気。


勇者がゆっくりと言う。


「……戦うべきかどうかも、分からない」


本音。


そのまま。


レオナは即答する。


「なら、戦う必要はないわ」


シンプル。


無駄を排除。


理由がないなら。


やらない。


それだけ。


勇者が少し驚く。


こんなにもあっさり。


戦闘を否定されるとは思っていなかった。


セラが続ける。


「まずは状況整理、ですね」


補足。


現実的な判断。


リリアも頷く。


「……話した方がいい」


同意。


三人の意見が揃う。


勇者はそれを見る。


そして。


ゆっくりと頷く。


「……そうだな」


受け入れる。


この状況。


戦う意味がない。


それが分かる。


だから。


選ぶ。


対話を。


その瞬間。


空気が変わる。


緊張が。


一段落ちる。


完全ではない。


だが。


戦闘の可能性は消えた。


少なくとも今は。


レオナが一歩動く。


「来なさい」


短く。


案内するように。


目的地は決まっている。


情報がある場所。


答えがある可能性のある場所。


勇者がそれに続く。


迷いながら。


だが。


止まらない。


リリアも。


セラも。


四人が歩き出す。


並んで。


同じ方向へ。


戦うためではない。


知るために。


その選択が。


世界を変える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ