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悪役令嬢は物語に支配された世界を、文明で解放する  作者: 南蛇井


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第72話 レオナ困惑

グレイウッド。


中央区画。


復旧作業は続いている。


人は動く。


都市は回る。


だが。


中心にいる者たちだけが。


止まっている。


レオナ。


セラ。


リリア。


三人は広場の端にいる。


簡易的に整えられた場所。


瓦礫はどかされている。


静かだ。


外の喧騒とは対照的に。


レオナは座っている。


椅子ではない。


木箱。


仮のもの。


だが。


関係ない。


視線は一点。


空ではない。


地面でもない。


“思考の中”。


沈黙。


長い。


セラが落ち着かない様子で立っている。


普段なら。


もう結論が出ている時間。


だが。


今回は違う。


レオナが。


何も言わない。


それが異常。


リリアも黙っている。


神の声。


あの命令。


頭から離れない。


だが。


今はそれ以上に。


気になることがある。


目の前の少女。


レオナ。


この状況で。


結論を出せていない。


それが。


怖い。


ようやく。


レオナが口を開く。


「……不明」


短い。


だが。


重い。


セラが反応する。


「何がですか?」


問い。


レオナは視線を動かさない。


そのまま答える。


「“悪役”の定義」


静かに。


だが。


明確に。


セラが息を止める。


予想していた。


だが。


実際に聞くと。


重い。


レオナは続ける。


「過去の事例と一致しない」


分析。


冷静に。


これまでの世界。


善悪の基準。


社会構造。


それらすべてと照合している。


だが。


一致しない。


ズレている。


「行動、結果、影響……どれも該当しない」


一つずつ。


切り分ける。


自分の行動。


都市の結果。


周囲への影響。


すべて。


“悪”にはならない。


むしろ。


逆。


改善。


発展。


安定。


なのに。


神は言った。


『悪役を討て』


その対象が。


自分。


矛盾。


完全な。


レオナの指がわずかに動く。


思考の癖。


整理している。


だが。


止まる。


珍しく。


途中で。


結論に至らない。


「……前提が壊れてる」


ぽつりと。


呟く。


それが。


答え。


セラが目を見開く。


レオナが。


前提を否定する。


それは。


かなりの異常事態。


「前提……?」


確認するように。


レオナは頷く。


「“悪役”という概念そのものが、既存の定義と一致しない」


淡々と。


説明する。


つまり。


言葉は同じ。


だが。

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