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銀河帝国皇帝アスカ様、悪虐帝と呼ばれ潔く死を遂げるも、森の精霊に転生したので、ちょっとはのんびりスローに生きてみたい  作者: MITT
第5章「決戦、アスカ星系の攻防」

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第七十三話「電子戦勃発!」②

 ……悩みどころだが、あれこれ考えた所でどうせ答えは出ない。

 今は解っていることから逐一対策を取っていく……そう言うやり方で行くしかなかった。


「……現時点で、この広域電波ジャミングは敵の攻勢の一環であると断ずる! 急ぎ、後方へもその旨報告し、直ちに支援要請を行え。それと、現時点より前線の通信システムは指向性レーザー通信をプライマリとする……。そして、可能な限り艦隊も密集させ、工作艦に超空間通信ノードを曳航させる事で移動通信拠点とし、こちらの超光速通信網を再構築することを最優先目標として制定する」


 帝国は、随分昔に超空間通信の使用制限を取っ払っている関係で、帝国の傘下星系でも超空間通信装置を搭載している艦艇や拠点が近くにあるなら、どこでもほぼリアルタイムでの通信が可能になっている。

 

 それ故に、誰もが通信なんて、宇宙空間だろうが、リアルタイムで繋がってるのが当たり前と言う認識なので、分どころか時間単位のラグが出る上に、不安定さに定評のあるレーザー通信の仕様に、戸惑いを隠せなくなっている。


 そもそも、対策についても完全に後手後手に回っている。

 なによりも、まだまだ制宙権確保宙域は、星系全域の一割にも届いていない……ぶっちゃけパーセンテージ換算だと、2%程度……。

 

 解っちゃいたが、やっぱり星系単位での全域確保なんて、10万隻どころか100万隻を動員しても無理がある……。

 

 出来ることなら、敵の防衛体制が整う前に、電撃速攻でBigファイアに進撃して、一気にケリを付けたいところなんだが。

 現状足場を築きながら、せっせと地図を書き込んでいるような状況で、それはまだまだ先の話だった。


 それに何よりも、最前線からは次々と炎の精霊との交戦報告が届き始めていた。

 さすがに、ソレイル108のように艦内に侵入されかけた事例はまだ無いようだが。

 

 100m級の大型個体も出現しているようで、当然ながら亜光速機動爆雷もまるで効果無く、目視レンジでのプラズマ・キャノンの拡散モードでの集中砲撃でようやっと消し飛ばせたと言う交戦事例や、ナイトボーダーによる近接戦でプラズマブレードの暴走モードで一刀両断にしただの、ナイトボーダー用の大型のプラグレを集中投下して殲滅したなどなど……。


 炎の精霊の大型個体についても、予想はしていたんだが、すでに交戦事例も発生しているようで思ったより早かったと言うのが正直なところだった。

 

 先程のマイゼン達の交戦事例はすでに、データベース登録して全軍に共有しているから、皆、対処方法も解っているようで、今のところなんとか対応できているようだったが……敵の進化速度が尋常ではないと嫌が応にでも知らしめつつあった。


 プラズマ兵器の枯渇で撤退する艦艇も少なからず出ていて、いつのまにか、楽勝ムードとは言い難い状況になりつつあるようだった。


「……どうしたものかな? 敵の対応が早い上になかなかに巧妙だ……おまけにあの炎の精霊も明らかに現在進行系で進化している。となると、このまま力押しで勝てる気がしないな」


 プラズマ兵器ってのは、実のところ……実弾兵器と変わらんからな。

 

 電力さえあれば、撃ち放題のレーザー兵器とかとは、ワケが違う……要するに、弾薬枯渇と言う問題がつきまとう。

 しかも、あくまでサブウェポンと言う位置づけだったから、前線ストックも正直心もとない。


 幸いハイコストには程遠い安物兵器ではあるので、コスパ的には問題ないんだが。

 だからと言って、直ちに大量生産して現地へ補給といっても、限度ってもんがある。

 サプライチューンってのは、そんなもんなんだわ。


「確かにそうですな……。今のところはなんとか対抗出来てますが……。奴ら、突然どこからとも無く湧き出すように出現しているようで、おまけに明らかに巨大化傾向にあって、前線では対応に苦労しているようです」


 先程のソレイル108もだったが、やはり奴らは何も無いところから、湧いてきていると言うのが最終的な結論だった。

 その兆候も現状、ほとんど解っていない……気がついたら、10000やら20000と言った至近距離に湧いてくると言った調子ながらも、いきなり艦内に湧いてくる事はないようで、索敵や周辺警戒をきっちりやっていれば、対応は出来なくも無いようだった。


 思考するエネルギー体……「炎の精霊」

 これまで人類が相手にしてきた敵とは明らかに異質な敵だった。


「だが、このまま手をこまねいている訳にはいかんだろ。……せっかくだから、皆の意見も聞いてみたい。誰か、何かいい案はないか?」


 そう言って、立ち上がってブリッジを見渡す。

 もっとも、だからと言って「名案があります!」とか「こんな事もあろうかと思って」……なんて、都合のいい展開になったりはしない……だろうな。


 ……いかんせん、帝国軍人の欠点として割と他力本願ってのがあるんだよなぁ。

 

 イザとなったら、皇帝陛下が何とかしてくれる……誰もがそんな考えが根底にある。


 しかも、無自覚なんだから、結構タチが悪い。

 まぁ、帝国ってのはそう言う国だから、致し方ないんだが……。


 実際、誰もがそう言われてもって感じで、キョロキョロしてるばかりで、意見が出るような様子もなかった。


 まぁ、こんなもんなんだよなぁ……。

 こう言う上が困ってる時に下に意見を求めると、大抵こんな風に誰もが偉い人……なんとかしてよ! ってなりがち。

 実際、百人以上いるエリートオペレーターや優秀な作戦参謀達も途方に暮れたように、私に視線を向けるだけだった。


 だが、ここで意見も出さないことを非難する気にはなれなかった。

 実際、私も途方に暮れかけているのだから……ホント、どうしたものか……だよなぁ。

 

「あ、あの……意見具申なんですが。アスカ陛下へ……光フラッシュ通信で、安否確認の電文を送信しては如何でしょうか? わ、我々もですが、皆……アスカ陛下の安否が気がかりなようでして……同じような意見が多数届いております」


 ……末席メガネオペ子からの遠慮がちな意見具申。

 けれど、この場にいる多くのものが同感だと言いたげに、一斉に頷くとこちらへ視線を送っていた。

 

 ……ここで、アスカ陛下へ安否確認の連絡か。

 それどころじゃないと言いたいところなんだが……。


 確かに、状況はあまりよろしくない。

 思ったように星系攻略が進んでいないのは、誰の目にも明らかで……。

 敵は非実体化状態で、こちらの隙を探りながら、何か決定的な策を仕掛けてくる様子がビンビンに見える。


 そして、対する歴戦の艦隊司令の私ですら、途方に暮れかけている……。


 誰も口には出してはいないが……今回のマゼラン侵攻では、アスカ陛下の救援が最優先だと思ってるのは、もはや聞くまでもないし、アスカ陛下ならきっとなんとかしてくれる……そんな無条件の信頼を誰もが抱いているのが、私にも解ってしまった。

 

 アスカ陛下なら臣下に頼られて、突き放すような事は絶対にしないだろうし、今も蚊帳の外にありながらも、勝利のための道筋を懸命に考えている……昔からアスカ陛下はそう言うお方だ。

 

 それに……アスカ様のバックになっている神樹様の助言や、協力も欲しいところだった。

 なんせ、神樹様は……こんな得体のしれない奴らの根城に単身殴り込んで、惑星を占拠して、気の遠くなるような年月を戦い抜いて、今の今まで悉く返り討ちにしてきたんだからな。

 

 何よりも宇宙の星間文明としては、銀河人類と比較して遥か先を征く大先輩だという事は、私ですら理解している。

 ヴィルゼットの話だと、地球人類の上位文明の可能性もあるとか言ってたが、いずれにせよ、我々よりもエネルギー生命体に関しては、詳しいはずだった。


 あれやこれやと欲張るのは危険な状況なんだが。

 さすがに、そうも言ってられないか。


 幸い敵は光通信の妨害までは出来ていない……。

 ここでアスカ陛下にメッセージの一つでも送ってみるのは、悪くはないだろう。

 

 もっとも、光速の光通信ですら、星系規模の連絡手段としては、クソ遅い……の一言なんだがね。

 なんせ、宇宙の基本単位となっている地球と太陽間の距離……一天文単位は、光でも8.3分……8分と18秒かかる距離なのだ。

 

 10天文単位も離れると、往復で166分……要するに、送った通信の返事が返ってくるまで、最速でも2時間半以上かかるし、見えている映像すらも83分も前の映像という事になる。

 

 こんなもん、やってられない……。

 これが、我軍がせいぜい一天文単位程度の範囲しか、制宙権を確保できていない最大の理由でもある。

 もちろん、これは予想はしていたのだが……様々な問題の発生で、この距離の問題や通信ラグが致命的な問題になりつつあった。

 

 その上、スターシスターズの共鳴通信が死んでるとなると、戦場の時間感覚も第一次世界大戦どころか、ナポレオン戦争時代並にまで後退する事になる……。

 これは、かなり不味い……。


 アスカ陛下への連絡手段については、オペ子ちゃんの提案通り光フラッシュ通信を使う。

 これは、シンプルに強烈な閃光を無作為にパシャパシャと明滅させるだけなんだが、単純なだけに星系単位でもしっかり情報は届く。

 

 光通信の妨害手段となると、煙幕だの障害物の設置……要するに、目に見えて解る手段しか無い。

 ……敵の出方を探る為にも、レーザー通信なんて高度な方法は使わずに、シンプルにピカピカフラッシュを炊くフラッシュ通信でアスカ陛下に安否確認連絡をする。

 

 ……これで行こう。

 まさに一石二鳥……アスカ陛下と連絡が取れれば、少なくとも士気だけは持ち直すだろう。

 

 それに、おそらく敵はこちらの戦略目標を判断しかねている……。

 そこは間違いなくこちらの強みで、根拠もちゃんとある。


 実際、敵艦隊の行動はこちらの艦隊の動きを見て、それに対応する形で推移している。

 要は後追いで対応しようとしているのが見え見えなのだ。

 

 こちらとしては、惑星テンプラー自体の破壊も視野に入れたBigファイアの殲滅が最終戦略目標なんだが……。

 そう悟らせないように、敢えてあちこち攻めるフリを艦隊規模で行っている。


 なお、意図してやった訳じゃない……味方もそろそろ不備が目立ちだしてるし、通信系統の混乱から傍目にもかなーりグダグダしてる。

 なんでまぁ、もはや迷走してるように見えるくらいは、グッダグダになってる……。


 要するに、お世辞にも上手く行ってるなんて言えない。

 どこを見ても、効率も何もなく、加えて突然湧いてくるイフリートに振り回されて、陣形も崩壊している艦隊がいくつも出ている……。

 

 例えるなら、一斉にボール目掛けて集まる小学生サッカーでも見てるような気分だ……まさにカオス、無秩序そのものだ。


 演習でこんな体たらくだったら、観戦武官はブチ切れるだろうし、指揮官もこんなもんやってられるかって、サジを投げたくなるだろう……その程度には、酷い有様だった。

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新連載始めました!! アスカ様の前日譚! 「銀河帝国皇帝アスカ様 零 -ZERO- 〜たまたま拾った名無しの地味子を皇帝に推したら、大化けした件について〜」 https://ncode.syosetu.com/n1802iq/
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