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銀河帝国皇帝アスカ様、悪虐帝と呼ばれ潔く死を遂げるも、森の精霊に転生したので、ちょっとはのんびりスローに生きてみたい  作者: MITT
第5章「決戦、アスカ星系の攻防」

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第七十三話「電子戦勃発!」③

 ところが、敵は律儀にその無秩序な動きに対応しようとして、こちらにつられるように揃って、グダグダになってしまっている。

 

 何が原因かと言うと……事前のシミュレーションを台無しにしてくれたアスカ様の先手の一手……なんだよなぁ。

 一応、それなりの時間はあったから、再シミュレーションはしたし、陣形や指揮系統の見直しもしてたんだが、先陣艦隊は結局、寄せ集めのアンバランスな艦隊になってしまったし、何もかも予定通りに行ってない。


 現場対応で、修正、修正のオンパレード。

 だが結果的に、こちらが効率最低な下手くその見本みたいな攻め方をしてるせいで、向こうもいちいち対応しようとすることで、自然と受け身の戦いを強いられることになっている上に、やっぱり下手くそな対応ばかりしている。


 要は、下手くそ同士でお互い噛み合ってない不毛な殴り合い……この戦いの状況を一言で言い表すとすれば、その一言に尽きる。 

 そうなってくると、この状況を作り出した張本人と言える現地のアスカ陛下の判断も伺ってみたい……。


 本人は、囮役上等……とか思っているようだが。

 大軍の運用の困難さは、アスカ陛下も良く解っているだろうし、直前での作戦の事前想定の変更がどの程度の影響を与えるかくらいは、解っているはずだった。

 

 もともと、アスカ陛下は宇宙一の実戦経験を持つであろうロズウェルの直弟子で、その戦略的判断力はロズウェル……つまり、私よりも上だと本人も認めているし、何よりもあの……銀河守護艦隊殲滅の道筋を描いたのは、他ならぬアスカ陛下なのだ。


 実際、ハルカ・アマカゼの対帝国戦略は、かなりいい線いっていたし、あの時点でスターシスターズは文字通り銀河最強レベルの猛者揃いだった。 

 そして、帝国相手の戦場では、ほとんど全戦全勝……それもまた事実だった。


 いや……ロズウェル率いる特殊戦隊は例外だったな。

 ロズウェルは、スターシスターズの弱点もハルカ・アマカゼの戦術思考も熟知してたから、スターシスターズの非殺要項を付くような戦術を多用することで、散々っぱらかき回してくれた……と言うよりも実質、自分自身を敵に回したようなもので、相性最悪の相手だった……。


 今なら、相性も最悪だった事もよく分かる。

 もっとも、ロズウェルの特殊戦隊と言っても、所詮は歩兵の集団に過ぎず、大勢を変えるには至らなかったんだがね……。

 

 いずれにせよ、ハルカ・アマカゼは帝国相手に善戦していた。

 善戦していたんだが……あの決戦のたった一度の敗北で、ハルカ・アマカゼ率いる銀河守護艦隊は完膚なきまでに負けた。


 そして、全てはアスカ陛下の描いた戦略の元……だった。

 これは、ゼロ陛下も素直に認めていて、結局ゼロ陛下もアスカ陛下があらかじめ敷いていたレールに乗って、それをいくらか大規模化しただけで、時間の問題で確実に銀河守護艦隊を殲滅する筋書きは出来ていた……そう言うことだった。


 その戦略的手腕は間違いなく、ゼロ陛下はもちろん、この私……天風遥をも上回っている。

 はっきり言って、脱帽……その一言に尽きる。


 そして、正直言って、現状はかなり良くない……。

 目に見える損害と言う形ではないのだが、勝ってるのか負けてるのかすら、私も含めて誰も解っていない。

 

 戦場の最前線では、自分達が勝ってるのか負けてるのかなんてのは、まるで見えない……そんなものではあるのだが。

 この戦場を統括すべく艦隊司令官である私にすら、そこは良く解らないと言うのが実情であり、その時点でありえないと言って良いんだが……。


 なにぶん、敵の戦い方があまりにも未知数……実際、キルレシオはこちらが圧倒的に上で、確保領域も時間と共に増大中……普通に考えれば、優勢と思うべきなんだが……。

 

 そんなキルレシオの優勢だの陣地を広げた事に一喜一憂していられる状況だとはとても思えないのだ。

 こちらの常識が通じない相手と言うのは、思った以上の難敵……。


 何よりも先の見えない戦いに、士気も怪しくなってきているのは皆の様子を見ていれば明らか。

 戦況については、最前線の一兵士に至るまで包み隠さず共有しているんだが……。


 こちらが後方と思い込んでいるような宙域で、唐突にイフリートが湧いてきて、損害を出す……そんな事が何度も起きている。


 この戦場に後方も最前線もないのではないか? 実のところ、我々は負けこんでいるのではないか?

 あちこちから、指示を乞う旨の連絡が悲鳴のように飛び交っていて、司令部の負荷も限界を迎えそうな勢いだった。


 だからこそ、ここは素直にアスカ陛下に頼りたい……特に、元第三帝国の者達はその気持ちが強いのだから、なおさらだった。

 

 ……確かに、私もそれがベストと言う気がしてきた。


 アスカ陛下も客観的に、この戦いをモニターしているはずで、なにか思うところがあるのは間違いない。

 ひょっとしたら、起死回生の一手を思いついているかもしれない。

 

 連絡手段も時間はかかるものの光でのモールス信号送信ならば、アスカ陛下の方で受け取って、何らかのリアクションくらいはあるだろう。

 

 そもそも、迷った時は……ホウレンソウが基本! やってみる価値はありそうだった。


「……いいだろう。私もそろそろ、陛下のお声の一つも聞きたいと思っていたからな。もっとも、惑星アスカまでは、なかなかの距離だから、返信は半日後くらいか……気長に待つ事になるな。内容は……『親愛なる我らがアスカ陛下。御身の御無事を我ら臣下一同心より歓喜の涙と共に喜び申し上げ奉る。何なりと如何様にも御命令されたし、我ら一同陛下のよりの命を心待ちとしている』……こんなもんでどうだい?」


 なんとも時代がかった電文だが、アスカ陛下なら笑って済ませてくれるだろう。


「なんと言うか、古風ですけど、洒落が効いてますね。確かにアスカ陛下はもっと気楽に肩の力を抜けって、良く言ってましたからね」


 割と古参という話のオペレーターが感慨深げに呟く。


「そして、すべての責任は私が負う故に……と続けるのが常だったな。まぁ、あのお方はそう言うお方だ」

 

 そして、そう言って、10億人の虐殺トリガーを自分で引く……そんな事を平然と実行したのだからな。

 ……さすがにそれは、私どころかハルカ・アマカゼですら躊躇する程なんだがな。


 さて、ゲート前に陣取ったアルデバラン級重戦艦より、強烈なフラッシュライトによる信号灯によるモールス信号による電文送信を開始する……。

 

 まぁ、宇宙で一番確実な通信方法でもあるので、各艦艇には標準装備でもあるからな。

 

 ただし、こいつを使うと時間の問題で位置バレする。

 宇宙で目立つ上に動けないともなると、戦場では時間の問題で死ぬ。


 だから、本来は遭難したときとかの最後の手段ではあるんだが……。

 もちろん、旗艦からビカビカやって、旗艦の所在を星系全体に知らしめるとか馬鹿なことはやらない。


 ゲートの位置は動かせないし、もう敵にもバレバレだろうから、ここは敢えてゲート付近に配置している無駄にバカでかい重戦艦を光源にしてみた……コイツなら、集中砲火を食らってもそれなりに持ちこたえるだろうから、囮や盾役にはもってこいだ。


 SFアニメだったら、決戦兵器扱いされるような威容を誇る船なんだが……なんだか、雑用にしか使ってないよな。

 

 なんと言うか、こんな光を明滅させる光通信なんて、軽く1000年以上は時代を逆行しているんだが、この宇宙で光より早いものは存在しないのだから、本来ならば一番てっとり早く通信する手段なんだよな。


 もっとも、電文送信直後に別のオペレーターが立ち上がると、呆然としつつ報告を始めた。


「ほ、報告です! 驚くべきことに、即時で今の光通信に対して通常電波通信での返信が来ました! よ、読み上げます……『ワレ、銀河帝国皇帝アスカ未ダ健在ナリ。我ガ臣下達ヨ、ハルバルマゼランニヨウコソマイラレタ、盛大ナル出迎エ誠ニ御苦労デアル。卿ラノ忠義シカト見サセテイタダイタ。マズハ見事ト褒メ称エヨウ。シカシナガラ、コノ宇宙ハ少々騒ガシイユエニ、卿ラノ元ニ伺イ直接挨拶スルトシヨウ。シバシ待ツガヨイ 大マゼラン=銀河帝国皇帝クスノキ・アスカ』い、以上ですっ!」


 おいおいおいっ! 何事だよ! いくらなんでもあまりにも早すぎだ。

 いくら光通信でも40天文単位だぞ? 返信なんてどんなに早くても軽く12時間後くらいに届く計算になる。


 それがどう見ても、一分もかかってない……おまけに、こんな強烈な電波ジャミングの真っ只中で……となると……。

 

 もっとも、ブリッジはアスカ陛下直々の無事を知らせた上での激励のお言葉に誰もが熱狂的になって、わぁッと歓声が上がり、全員でアスカ陛下の名を連呼中。

 

 どうどう、ちょっと落ち着け。

 もっとも、他の有人艦艇にもこの電文は届いていたらしく、近距離通信回線トラフィックが爆発的に増大中で、周辺へ展開中の各艦からも次々と問い合わせコールが殺到中。


 まさか、このタイミングでの呼びかけを予想して、先回りで電文を送っていた?

 いや、それにしてはタイミングが良すぎる……。

 

 それに、各艦のメッセージ受信時刻を追っていくと、発信源は……このBigジュノー付近だと推測された。

 つまり、すぐ近くに中継装置かそれに準ずるものがあるって事だ。


「……ジュノー、艦体全面スキャン!」


 ……まったく、アスカ陛下もやってくれるな!

 周辺監視モニターを総当りするんだが、周囲には、それらしきものが見えない。

 だが……灯台下暗し。


 この手の大型艦ってのは、艦体表層部は意外と死角なのだ。

 つまり、いつのまにかこの旗艦Bigジュノーに仕込みを済ませてた……その可能性が高い。


『ああっ! 本艦……ジュノーの司令ブロックの側面部に小さな木が生えてます! で、電波発信源もそこです!』


 ジュノーの送ってきた映像を見ると、宇宙空間にも関わらず、青々と葉を茂らせた1m程度の小さな木が司令ブロックの側面にニョッキリと生えていた。

 布張り装甲だからか、がっつり根も張ってて、どうも随分前からそこにあった……そんな風にも見える。


『き、緊急報告……艦内、それも司令ブロック内部に未知の有機生命体が侵入中……凄まじい速度で増殖し、内部を侵食していっています! これは、しょ、植物?! 防衛システム、及び隔壁閉鎖……間に合いません! ま、まもなく司令室に到達します! か、各員最大限の警戒を!』


 ジュノーの警告を聞いて、ゲーニッツが慌ててレイガンを抜いて身構えてるんだが、手を向けて抑える。


「なるほどなぁ……ここで、陛下直々のご挨拶と来たか……。総員! うろたえるなっ! 我らが盟主……アスカ陛下のご来臨であるぞ! 総員、最敬礼にて出迎えろっ!」


 そう言って、真っ先に立ち上がり、腰を折っての最敬礼。

 本来なら、宇宙空間で未知の植物の侵入とか緊急事態なんだが……私には確信があった。


 その直後にブリッジのど真ん中に、複雑に絡み合った植物の根のようなものが突き出してきて、それがやがて人型を象ると、ザワザワと葉っぱのようなものに覆われていき、やがてそれは緑色の衣装を着た緑色の肌の小さな少女の姿になる。


 ご丁寧に玉座のようなものまで、セットで形成されて、当然のようにその緑色の少女は足を組んで腰掛けるとニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「……我らの! 偉大なる皇帝アスカ陛下の為に! 総員、最敬礼ッ! 続けッ!」


 誰もが無言で、一斉に綺麗に揃った最敬礼を捧げた。

 まさに、待ちに待っていた瞬間が訪れようとしていた……。


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新連載始めました!! アスカ様の前日譚! 「銀河帝国皇帝アスカ様 零 -ZERO- 〜たまたま拾った名無しの地味子を皇帝に推したら、大化けした件について〜」 https://ncode.syosetu.com/n1802iq/
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