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銀河帝国皇帝アスカ様、悪虐帝と呼ばれ潔く死を遂げるも、森の精霊に転生したので、ちょっとはのんびりスローに生きてみたい  作者: MITT
第5章「決戦、アスカ星系の攻防」

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第七十一話「束の間の勝利」②

 しっかしまぁ……本格的なエネルギー生命体との交戦か。

 私は想定の範囲だったんだが、皆はそうでもないと言うことが解ってきた。


 AEDS装備についても、開発部の連中は生身の兵士が精霊と交戦する可能性はほぼゼロとか言い切ってたんだが、私はゼロどころか100%だと思ってた。


 それに艦隊の編成にしても、数的主力は鈍重かつ、戦略機動力に劣るジャスティスグレイ級が主力。


 まぁ、ある程度これは仕方がないんだが……。

 私としては、むしろ戦略機動性に優れたフェンリル級やウォルフ級巡航艦辺りが欲しかったし、索敵空母も十隻くらいは欲しい。

 実際、フェンリル級は縦横無尽に駆けずり回ってるんだが、恐らく真っ先に疲弊するのもこいつらで確定。


 なんと言うか……艦隊編成の時点でダメダメな感じがしてる。


 いかんせん、想定していた敵と様相が違う敵との激突を余儀なくされているから……だよなぁ。

 まだ幸いなのは、帝国軍が機動力偏重ドクトリンだったおかげで、これでもかなりマシ。


 ちなみに、本来帝国軍の宇宙戦闘における仮想敵ってのは、旧時代のSFムービーよろしく、超巨大な宇宙要塞やら、山盛りの宇宙戦艦とかそう言うのを想定してたんだわ。


 だからこそ、とにかく数で押せって発想にもなるんだが。

 そもそも、帝国軍は星系規模での侵略戦争についても想定外でもあるんだ……。


 第三航路って言う16万光年をショートカットする航路を手に入れた事で、むしろ、この前代未聞の長駆遠征が可能になったんだが。

 防衛戦闘を主目的とする帝国宇宙軍のドクトリンとは明らかに異なっている。

 

 そして、今のこの現状……。

 未知のエネルギー生命体文明との決戦は……どうにも、こちらの戦略と向こうの戦略が、上手く噛み合っていないような気がしてならない。

 

 そして、敵は着々と自らの戦略を変えていくことで、こちらの上を行こうとしている。


 確かに、分厚い後方支援と10万隻規模の大艦隊の組み合わせなら、どんな相手だろうが、ちょっとやそっとじゃ負ける気がしないんだが。


 エネルギー生命体と言う明らかに異質な相手は、そこまでイージーじゃない。


 実際は、派手な艦隊物量戦と言うよりも、ものすごく地味な局地戦を至るところで挑まれているのが実情だったし、10m程度の小型兵器がkm級の宇宙空母を沈めかけるほどの脅威となるなんて、誰も想像すらしてなかった。


 まだまだ敵も様子見で、要はお互いジャブの応酬……試行錯誤の段階なんだが。


 先程の交戦で、エネルギー生命体へのこちらの対抗手段が限られていることを敵も理解したはずだった。


 こうなってくると、こっちの重厚長大路線が仇になる可能性も出てきた。

 それに対抗手段と言っても、一見楽勝のように見えたが、恐らくタイミング的にあそこがギリギリのラインだった。


 なにせ、マイゼン達の現着時点で、あれは加速度的に成長し、大型化していっていたんだからな。

 最終データでは、その質量は推定10万立方メートルにも達していた。


 ちなみに、収束プラズマグレネード単体の危害半径は半径10m程度……。

 それをまとめて起爆させたから、連鎖反応を起こして半径数百mもの大規模プラズマストームが発生していたようだったが、アレは大きさに比例して吸えるエネルギー総量も増大する……そう考えていいだろう。


 幸い収束プラズマグレネードの一斉起爆時の危害範囲が炎の精霊を丸ごと巻き込むほどの規模になっていたから、消し飛ばすことが出来たんだが……もしも、あれよりも大きくなっていたら?

 

 ……恐らく、手に負えなかっただろう。

 今更ながらに、恐るべき敵を相手取っていると嫌が応にも知らしめられる。


「くくくくっ! はーっはっは!」


 いかん、思わず笑ってしまった。

 ゲーニッツや、オペ子ちゃん達も何事とばかりにこっち見てる。


「……ロ、ロズウェル中将?」


「いやはや、思わず笑ってしまったよ。さぁて、そろそろ麗しき戦場もリハーサル終了、いよいよ本番開始ってとこだ! まったく、なんとも楽しくなってきたじゃあないか……ゲーニッツ大佐っ!」


 そう呼びかけると、ゲーニッツもポカーンと大きく口を空けると、唐突に大笑いを始める。


「はっはっは! 楽しくなってきた……そうですなぁ。ええ、確かにそうです! 仮にも人類未到の地……マゼランですからな! この程度の歓迎は序の口……パーティはこれからって事ですなっ! おい、野郎ども! ロズウェル中将は、この勝利は単なる前座に過ぎんとの事だ。こんなちっぽけな勝利で浮かれてる場合じゃないぞ! 全員、気を引き締めろっ!」


「ははっ! そう言うことだ……山で言えば、まだまだ一合目ってとこだ。総員、気を抜くんじゃないぞ!」


 司令部の面々も困ったような顔をするのだが、トップのワンツーが揃って馬鹿笑いしているのだから、むしろ余裕と受け止めて欲しい。


「ああ、ゲーニッツ大佐、人類未踏と言うのは間違いだぞ。なにせ、ここにはアスカ様と言う立派な先達がいらっしゃるのだからな! まったく、こんなところでグズグズしてる暇なんぞないな!」


 人類最遠到達者にして、我が帝国の最遠領土たる惑星アスカを統べるもの。

 それが我らがアスカ陛下であり、我らが盟主なのだ。


「確かに! まったく、アスカ陛下とお会い出来るのが楽しみでいけませんな」


「現状、Big・ファイアに動きがないのが気になるが……。向こうも混乱しているようだから、この隙に惑星アスカにも助太刀の救援艦隊を差し向ける事を考えるべきかもしれないな。どうだ? アスカ様との通信回線はまだ確保できないのか」


 宇宙の戦場の鉄則。

 早め早めの対応が肝心。

 

 一手二手どころか、十手二十手先を読んで、常に先手を打って動き、先回りでの対応を心がける。

 宇宙では、何をするのもどこに行くのにもいちいち時間がかかる……それが現実だ。


 だからこそ、宇宙の戦場では後手後手に回って、受け身になると碌な事にならない。

 とにかく、積極的に動いて、戦場のイニシアチブを取り続けること……それが宇宙の戦争の勝利の鍵なのだ。


「はっ! 我々もなんとか、アスカ陛下とコンタクトが取れないかと思い。先程から全周波数帯での広域通信で呼びかけるように各部署にも命じているんですが……最前線の艦隊からも応答無しとの報告です。もっとも、ユーリィ卿からは返信ありのようで、連携も上手く行きそうです。まったく、さすが……派手にやっとるようですなぁ」


 なるほど、先回りで対応済みだったって事か。

 てか、電波通信で送っても、向こうに通信機や帝国の暗号デコーダーとかないんじゃないか?

 もうちょっとシンプルにやった方が良いような気がしないでもない。


 大和三号とユーリィ卿とは、すでにコンタクト済み……一応、それも知ってた。

 もっとも、二人の位置的には、むしろ内惑星圏で、こちらが全然手を出せてないところなんで、もう任せるしか無いんだわ。

 

 もっとも、勝手に暴れて、敵戦力を派手に引っ張っていってくれてるから、頃合いを見て必死に追い上げる敵艦隊を後ろからぶん殴って、シレッと合流する手筈だった。


 ……もっとも、この調子だとそれも終盤戦あたりになりそうだ。

 なんせ、そこまで進出する頃には惑星アスカも確保済みで、状況的にはBigファイアとの決戦が秒読みとか……まぁ、そう言う段階だろうからな。

 

 3D星系俯瞰図を見ると、大和三号とユーリィ卿は、もう縦横無尽の暴れぶりで、単艦ですでに100隻以上は沈めているようだった。

 

 現時点では、アスカ星系の中心部……恒星方向へと進軍中で第二惑星軌道を通過中……。

 なんというか、思った以上に動きが早い。


 まぁ、ユーリィが付いてる時点で、拙速も拙速って感じだろうからな。

 

 もっとも、恒星へ向かって突っ込んで行くとか無茶なコースではなく、恒星をかすめるようにしなから、まっすぐ加速するスイングバイ……重力カタパルト軌道を取るようだった。


 おそらく、このままスイングバイ加速で一気に勢いをつけて、亜光速領域まで持っていって、恒星周囲をUターンしてから敵の要衝……テンプラーのBigファイアへ向かうと見ていいだろう。

 

 もっとも、現時点では敵のもう一つの重要拠点……ビッグ・マザーに突っ込むコースで突撃中なので、敵も迎撃に本腰を入れているようで、すでに50隻単位の小規模艦隊が6個艦隊も追撃をかけていて、周囲からの合流も繰り返しているようなので、最終的に総計500隻規模の艦隊が大和追撃を行うと見ている。


 もっとも、敵の集結予定ポイントも特定出来たので、こちらも星系の端から端まで届く全長200mもある特大ステルス超長距離亜光速機動爆雷を投げ込んで、まとめてぶっ飛ばすつもりで、すでに全弾撃ち込み済み……。


 10隻ほど配備されていて、全艦に一斉射撃するよう命令を下したので、都合20発……。

 たった20発分の援護射撃とか、少ないように思えるんだが、この超長射程亜光速起動爆雷は、これまでのモノと違って、弾着直前に30%亜光速まで加速してから、起爆するとのことで、その危害範囲についても一発分だけで軽く50万キロ位の範囲が巻き込まれるらしい。


 ちなみに、宇宙の50万キロって言うと、割とどってことない距離なんだが。

 月のと地球の距離が38万キロと言うと、その途方もない距離がよく分かるだろう。


 なお、撒き散らされる弾体のサイズは1mm程度らしいんだが、そんなもんが30%亜光速で突っ込んでくるとなると、重戦艦ですら一発で蒸発する。

 

 さすがに、試作型で運用も専用艦で行い、たった2発撃っただけで、打ち止めとか酷い代物なんだが……。


 まぁ、地球連合も似たようなコンセプトで長射程核融合ミサイル艦とか作ってたから、時代は繰り返す……なんだよな。

 

 ちなみに、射程距離は星系の端から端まで届くように設計したとかで、軽く100天文単位にも及ぶ。

 なお、最大射程で撃って、10%亜光速まで加速した場合、弾着まで百三十八時間くらいかかるらしい。

 

 ホントに、どんな状況を想定してたんだか、そこはさっぱり解らんのだが、戦場……特に宇宙の戦場では、射程ってのは長いにしたことはない。

 

 ずっと最大速度で進めるわけがないので、発射から着弾まで一週間近くかかるとかそんな調子だとは思うが……敵の手が届かないところから、一方的に撃ち込めるって時点で上出来だし、コレも言ってみれば、ユーリィたちへの援護射撃のようなものだ。

 

 しっかし……どんな局面で使うのかとか、まるで度外視でとにかく遠くまで飛んでいけとか、そんなコンセプトなんだと思うが……こう言うイカれた兵器を真面目に開発してたとか、実にイイよな。

 

 余談ながら、アスカ陛下も就任当初は、軍事なんて無駄とか言って、予算削りまくったりしてたんだが。


 ロズウェルと軍上層部が結託して、三日三晩にも及ぶ軍事説明会を開いた結果、アスカ陛下もすっかり洗脳……もとい、改心してくれて、軍事……特に宇宙軍予算を惜しみなく投入してくれるようになって、研究開発についても、軍事国家の第一帝国に勝るとも劣らない程度には、派手に予算をぶち込んで、先進的な技術を数多く開発していたんだよな。

 

 特に、省力化の分野については、元々第三帝国は軍人の割合が少ないと言う人口特性があり、そんな環境で出来るだけ多くの戦力をってやってたから、当然のように省力化技術が発展した。

 

 実際、無人戦闘艦艇やら無人ナイトボーダーなんかについては、他の追従を許さないほどには進歩してたからな。

 まぁ、エーテル空間の軍備については、第一帝国の顔を立てたり、銀河連合諸国にうるさく言われないように意図的に小規模戦力しか持たないようにしてたんだが……。


 宇宙の防衛戦略については、エーテル空間経由で援軍を送ると言っても簡単ではなかった為、それぞれの帝国は通常宇宙空間は自力でなんとかしろって方針だったから、割と遠慮なく拡充していた。

 

 その結果がこの第一陣のアルヴェール駐留宇宙艦隊ではあるんだがな。

 まぁ、客観的に見てもいい仕事をしてるのは間違いないし、装備も優秀、人員も精鋭揃いといいとこ揃いだった。


 さって! 我々の戦いはこれからだっ!

 まぁ、打ち切りエンドみたいなセリフだけど、宇宙の戦いなんて月単位余裕なんだから、仕方ないだろ……。

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新連載始めました!! アスカ様の前日譚! 「銀河帝国皇帝アスカ様 零 -ZERO- 〜たまたま拾った名無しの地味子を皇帝に推したら、大化けした件について〜」 https://ncode.syosetu.com/n1802iq/
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