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21.簡単に見える道が一番険しいそんな時だってある

「あー……」


 コーヒーを入れる。


 濃い目のコーヒーの上に、本日投入するのは大きめのマシュマロである。


 プカリと浮かぶマシュマロは熱で徐々に溶け、それだけで甘く蕩けることだろう。


 しかし私はあえて一石を投じる。


 取り出したのはガスバーナーである。


 キャンプなどで重宝する高火力なアレで、表面を炙る。


 この時距離は大げさなほど遠くから私は行く。


 徐々に近づけ、最適な距離を模索せねば、素人の末路は黒焦げである。


 表面を炙り、きつね色の皮を作った。


 チョット黒が混じるのはやはりご愛敬だった。


「完成だ」


 出来たマシュマロコーヒーは、脳にしみいる甘い香りがした。


 一口飲む。


 カラメル風の香ばしさは、きっとひと手間のおかげに違いない。


「……あ~」


 温かさを取り戻した私はスプーンで溶けたマシュマロを舐めつつ、PCへ向かった。




「……これではいけない」


 困ると自爆に頼るのはいかがなものか?


 ゲーマーとして何か大切なものをすり減らしている気がする。


 それになにか変なフラグが立って、バッドエンドに向かわないか心配なところである。


 まぁそれはともかくクエストは一応クリア。


 しかしニンジャとはピックリした。


 リコちゃんは、いつもこだわりビルドを見せてくれる。


 まさかNPCのライバルキャラが和風縛りのコーディネートをしてくるとは、意表をつかれて逆に新鮮だった。


 私もこだわりのあるキャラを製作せねばならない。何体も盗賊作ってる場合じゃない。


 一刻も早く次のコミューンに行きたくなってきた私だったが、先ほどの戦いぶりではこのコミューンの支配者であるあのアイドルAペットに挑む気にはならなかった。


「手っ取り早くレベルが上げたい……」


 そこで私が目をつけたのがオンライン対戦だ。


 アニマペットでのフリー対戦は経験値を獲得できるようだ。


 自分のお気に入りのパーティを作って楽しくバトル!


 プレイヤーと戦うとガッツリ経験値がもらえて、勝っても負けてもよしと言うのだから時間の無駄にならなくていい。


 というかちょっとやってみたい、怖いもの見たさである。


 まぁ気楽にやろう気楽に!


 などと……この時の私は本当にお気楽にそう考えていた。



「というわけで今現在の我々の実力を見る。そんな目的で始めていきたいと思います。というか経験値大量にください」


 意気揚々とファンタジーコミューンのバトルスタジアムにやってきた私は熱が冷める前にフリーバトルにエントリー。


 スタジアムは観客の声援が鳴り響き、活気のある演出がなされていた。


 だがフリー対戦は実際観戦も出来るようだ。


 人気のあるプレイヤーはオンラインで実況したりもしているというから、そのうち是非やってみたい。


 お気に入りの動画配信者の子もこのゲームやってたはずである。


 では早速サーチ&デストロイ!


 オンライン対戦のルールはレベルを50に揃えて3対3で戦う。


 それはレベルが低くても通用するということだった。


 何も準備していないが、レベルが同じならば必ず負ける道理もあるまい!


 3体しかいないからそのまま行くが、本来なら5体の中から選んでバトルに投入する。


 しばらく待つとマッチングからの握手。


 シュピンと出てきた対戦相手を前に舌なめずりした私は、さあ知力の冴えを見せてやると初手パワースラッシュを命じた。




「……瞬殺だった」


 なーにあの人達、全てが見たこともない技で構成されてるんですけど?


 そんでウエポンスキルも意味わからないものが多すぎだった。


 3体全部一体にやられた。うん、勝てんねこれは。


 文字通り一瞬でやられてしまった。


 何が悪かったんだろうと思ってパラメーターを開いてみると、その原因は明らかだ。


 ああ、うん。パラメーターが違いすぎる。


 これは振り分けるポイントが全然足りてないね。


 どうりでどいつもこいつも、先行とられるし、全然攻撃効かないし。


 コテンパンにされて初めてわかる、1ポイントの大切さだった。


 いるなポイント振り。これはやらなきゃダメな奴だ。


 それでも不幸中の幸いで負けでも経験値が入るのはこのゲームの優しいところだろう。


 しかしそれをしたからと言って、まるで勝てる気がしないのはさっき当たった対戦者のせいだった。


「……いやでも。それだけじゃないな、やたら硬いと思ったら。色属性が全然違ったってこともあったっけ?」


 戦ったAペットは赤い服を着ていた。


 だから属性を合わせようとしたらやたら硬い。


 どうなってんだと確認したら、敵のAペットには秘密があった。


「まさかの背中だけ色違い……」


 背中だけ青にしてるなんてずるくない!? しかも背中の色の方が1パーセント多いから、背中の属性になるとか、見た目詐欺もいいところだ。


 まさかのハーフ&ハーフスタイルに、ゲームの深淵を目撃した気がしたよ。


 流石オンラインは使ってくる手段が違う。


 ましてキャラクリ前提のゲーム性で、一筋縄でいくわけがなかったのだ。


 まぁステータスにポイントはふるけどね、あるだけ全部。


 それに負けっぱなしもくやしいから、あと何回か挑戦してみよう。


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