第31話 If ED 交錯する悲劇の結末
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくおねがいします。
新年早々小説を書いていたのですが間に合わなくて二日になってしましました。
これでいったんの終わりです。
新年早々ですが終わりです。
本当にifかどうかは作者にもわかりません。
「姉さん、どうして、そっち側にいるの?」
「……決まっているでしょう? あなたをとめるため……よ」
「くっ。……くくっ。くくくくうっ」
レグスは姉の言葉を受け笑い出す。
「姉さんは、いや、フィーアも僕たちの敵なんだね? 分かった。それじゃあ、こいつの餌食に、糧になるといいよ!」
「レぐスっ!」
姉の悲痛な叫びも彼には届かない。
そこにいたのは、もうただの怪物が二体だった。
俺は問う。
「お前たち姉弟は、カインズさんに恨みがあるのか?」
「もちろんあるに決まっているだろう!」
「……っ!」
「お前に面白いことを教えてやろう。そこのフィーアと僕は人じゃないんだよ!」
「っ! どういうことだ」
「簡単な話だろ。作られたんだよ。あいつらになぁ!」
すぐに話が飲み込めない。
作られた?
誰に? 何を? レグスとフィーアが?
あいつらっていうことはカインズさんたちにか?
俺たちが混乱していることなど気にも留めずにレグスは独白する。
「高い知能とエルフに匹敵する魔法力。それを与えられて作られたのが僕たちだ!最初は違いなんてなかった。僕たちは、すごく喜ばれた。大事に大事に育てられた。実験の成功だと言ってね。それでも、僕たちは彼らのことが好きだった。きっと親だとでも思ってしまったんだろう。紛い物の癖に人間みたいだろう? くくく。そして、ある時彼らは気付いた。僕らの欠陥に。なんだかわかるか?」
欠陥? 何が欠陥だって言うんだ?
フィーネなんて、学園祭とは言えかわいいランキング一番だぞ?
こんなにファンが多いことが何よりの証拠だろうに。
「僕たちはエルフとは寿命の長さが違ったんだよ。たったそんなことだけで、僕たちは失敗の烙印を押され扱われた。今までのことがまるで嘘だったように! 違うな。全て嘘だった。本当のことなんて何一つなかったんだ。この世界には愛も、平和も、幸福も、すべてが、何もかもが虚構なんだ! だから僕は復讐することにした。僕たちを生み出した奴等を、その関係者も含めてみんな不幸にしてやるってね!」
それはよくないっ!
考えるより先に声が出ていた。
「よくないッ!」
「先輩……」
「確かに、寿命のことで失敗の烙印を押されたのはおかしい。でも、お前のやってることは人として間違っている。俺のかわいい後輩たちを悲しませて、それはダメだろ。考えればわかるだろ? 人を作り出すのは倫理的に良くないだろう。なぜ、倫理的に良くないかと言えば、まず、道徳心について考える必要があって、道徳心は人の良心に恥じないようにしようってことじゃん? ということはお前のしでかしてしまったことも良心に恥じるよね。ということはよくない。お前の考え方は間違っている!」
「……? えーと、僕の両親に恥じることはない。僕は、僕は謝って欲しかっただけなんだよ。ただ、それだけでよかったんだ。もう遅い。何もかももう遅いんだ。くくっ」
「待て待て。まだ遅くない。だってさ、謝って済むなら警察いらないじゃん? 俺にはわかるけど、カインズさんはきっと行動で返そうとしてたんだよ。絶対そうなんだよ。だから、レグスがもう少し辛抱強く待ってたら、謝るなりなんなり、誠意を持った対応をしてくれるはずだよ? だって、カインズさんはしっかりとした大人だから、過ちを、罪を犯してしまったんなら謝るだけじゃダメだってちゃんとわかってる。だから、カインズさんは必ずどうにかしてくれるはずだった」
「じゃあ、僕にどうしろっていうんだよ!」
「だから―――
「もういいッ!僕は世界をリセットするんだ!この腐った世界を!」
レグスは、止める間もなく怪物と一体になり、怪物はさらなる高みへと至る。
もうやるしかない。
ここで退くことはできない。
あれは、あの怪物は、世界の脅威だ。
ここで止めなければならない。
「フィーア、いいか?」
「……うん」
フィーアに確認するのは仕方ない。
返事がどうであってもやるしかないのだが聞かないよりはましだろう。
「ナナ、フィーアいこうぜ!」
「はい、先輩」
「うん!」
ナナが苦しそうに、フィーアは無理して、声を出す。
戦闘開始だ。
俺は一心不乱にバイオリンを弾く。
思いのままに。
ハイポジのみで奏でる。
バイオリンにはポジションがある。
右手で弓を持ち、左手で弦を押さえる。
倍音なら聞いたことがあるだろうか?
倍音とは、物理的に言えば、基本振動数の整数倍の節の部分を押さえる。
このように押さえる位置によって出す音を調節しているのだが押さえる位置の間隔が短くなっていく。ほんの少しずらすだけでも音が変わってしまう部分、それをハイポジと呼ぶ。
そのハイポジを駆使して、魔法を奏でていく。
魔法が完成するまでの間は二人が時間を稼いでくれてる。
確実に、着実に、ダメージを蓄積させていく。
怪物が咆哮する。
痛みのためか、もしかしたら、心の痛みか。
怪物も反撃はしているが、大振りで二人を捉えることはできない。
フィーアは撹乱しつつ攻撃。
そのフィーアを狙ってできた隙をナナが魔法で攻撃といった具合だ。
初めてコンビを組んだとは思えないような華麗な動きで怪物を翻弄している。
さすがに二人とも、もともとのポテンシャルが高いだけはある。
俺の魔法が完成し、それを解き放つ。
いつもの属性魔法ではない。
黒い塊のような。
ブラックホールのような魔法。
全てを飲み込み、無に帰す。
「ナナ、フィーア!」
その声に反応し、絶妙なタイミングで、俺と怪物の間に一直線の道ができる。
それを逃すことなく、怪物に向けて叩き込む。
怪物に直撃し、怪物は地に伏す。
今までの俺の魔法の中で最大級の一撃。
これなら、あの炎龍でも一撃で倒せるはずだ。
この魔法は、曲は俺が作ったものだ。
愛のことを経て、強くならければならないと切実に思った。
そして、マギアでの学園生活。
魔法に対しても、音楽に対しても今まで以上に造詣を深めることができた。
そんな俺の今の最高の一撃。
さすがにもう。
怪物がぴくっとする。
それに反応するが動く様子はない。
気のせいだろうか。
いや、こういう時は……
怪物が突然動き、地に手らしきものをたたきつける。
そうすると、何ということか。
地面が割れた。
ヒビが入っただけだろうか。
そこは見えない。
落ちたら確実に死ぬだろうということだけは確信できる。
そんな。
言葉を失う。
ナナは茫然とし、フィーアは苦々しい顔をしている。
俺は奥の手を使うことを決意する。
歌うのだ。
二人に声を掛けてから歌い始める。
「ナナ、フィーネ!」
それだけで意図を察してくれた二人は、俺の望みどおりに動いてくれる。
ナナは俺と一緒に歌い、フィーネは注意を引いて気をそらしてくれている。
一発でも食らえば命はない。
そんな絶望的な状況の中での一縷の希望。
そんな時。
声が聞こえた。
気のせいか。
そんなことはないか。
愛の声が。
「右手に宿りしは、強者の証。弱きものの尊厳を踏みつけ、わが身の糧とする」
世界が黒に塗りつぶされる。
「ヤミ!」
「マスター」
「色々聞きたいことはあるけどそれは後回しだ。助けてくれ!」
「そうですね、このままではあの世界は非常に危険な状態にあります。あの作られた少女の秘宝を使ってください、マイマスター。それで、最愛の彼女を」
「ちょっと待て、どういうことだ」
「時間がありません。三人で、先ほどの魔法を放つことができれば」
その次の瞬間には、再び世界が元に戻る。
とにかく急がなければ!
「フィーア、秘宝!」
「え? はいっ!」
フィーアは投げてよこした秘宝を使う。
使い方はなぜか分かった。
そして、ついに、彼女が。
「あい!」
「かなんせんぱい?」
「あい、手伝ってくれ!」
だが、再会を惜しんでいる時間はない。
歌うことに全力を注ぐ。
三人の声が密接に絡み合い、溶け合い、組み合わさり、先ほどの一撃を超える一撃が放たれる。
撃力。
そう表すのがふさわしような威力の一撃。
怪物を消し飛ばす。
最期に怪物が言った気がした。
世界を救ってくれて、止めてくれてありがとう、と。
それは一体だれの言葉だったか。
真実は闇の中だ。
このあとは、英雄になった俺は愛と幸せに暮らすのだがその話はまた今度。
新しい小説も少しずつ書き溜めているので(プロローグ+4話しか書いていない)大分、間は空いてしまますがそちらともども、読んでいただけるとありがたいです。
投稿は四月ごろ予定です。
あくまで予定です。




