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Ideal Crossing 異世界で後輩ハーレム!?~かなんさん今何してんの?後輩と世界平和してる~  作者: 伝説の黒猫
第1章 水の都アイシクル~深まる謎~
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第10話 アメージング・グレイス

有名な曲のほうのことではないです。お間違えの無きよう。

俺は、エルフのティア・ドロップを求めて、風の国の領土に来ていた。


エルフの国シルヴィア・アルフはアイシクルから北に行き、件(くだん)の竜人騎士と戦った橋を渡り、さらに北に行ったところにある。

領土の境目は、橋を渡った少し先にある平原の辺りかららしい。


言うまでもなく名前から推測できると思うが、エルフのティア・ドロップは、エルフの国にしかない特産品らしい。

そのため、エルフの国に行く必要がある。


ただし、ここで、問題になってくるのが迷いの森だ。

この森は風の国の領土の7割を占める。

国や村を囲うようになっている。

さらに厄介なのが森に生えている木の異常なまでの頑強さだ。

一昔前に火の国が攻めたそうなのだが、燃やして燃えず、Lv.5の火の国の王の攻撃すらものともしなかったという。

よほど運が良く、風の国に害意を持たない者のみがたまに通れるらしい。

幸運スキルがあるから大丈夫だろうと考えて来たが、大丈夫だろうか。

急に不安になってきた。


不安と戦っているとモンスターが遠くからやってくる。

オークだ。RPGでは、それなりに強いイメージがあるので、注意したほうがいいだろう。

2体いるしな。

何やら少年を引っ張っている。

よくない。

青銅の剣を取り出し、構える。


「おい、人間の男だ。どうする?」

「縛りあげてボスに報告するでゲス」


オークが言葉を交わす。

ていうか、えー!

ゲスゲス言ってる方が普通は下っ端じゃないの?

しかも、ボスとかめんどくさそうな集団さんの感じがすごいよ!

よし。早めに追い返そう。


ゲスオークの槍をいなして、もう一匹オークの銅の剣の芯に当てる。

すると、銅の剣は呆気なく折れた。


「えーーぇえー!僕の勇者の剣がー!」

「大丈夫でゲス。お前の分まで俺が戦うでゲス」

「さすが、ゲス兄貴!よっ、世界一!」


銅の剣で勇者って…

勇者の兄貴分が世界一って…

あ、わかった。

こいつらめんどうくさいだけでなく、アホの子だ。

早く終わらせて撤退しよう。


「俺の必殺技を食らうでゲス。ライトニングスプラッシュでゲス!!」


技名とともに雷が落ちて、ゲスオークの持っていた槍に吸収された。

そして、その雷槍を突き刺すように虚空に向かって振り抜く。

振り抜いた槍の先から、勢いよく雷が俺に向かって一直線に飛んでくる。

色々とアレなオークだが、技はいい。

今度練習してみよう。


俺はその雷に向かって走る。

雷電のマントで効かないと考えたからだ。

確かに雷は無効化された。

しかし、勢いよく放たれた雷は高圧電流となり、熱を持っていた。

熱い。

痛みを無視して、切りかかる。

槍を叩き折った。


「…まだやるか?」

「ゲ、ゲスー!」


ふぅ。

何とか追っ払えたようだ。

少年に声をかける。


「だいじょうぶ…かはっ」


俺は背後から何者かに刺された。

おかしい。

音は全くしなかった…の…に。

そこで意識を失った。


目覚めるとベッドに寝かされていた。

起き上がろうとするが、体が重い。

周りを見ると横に少女がいることに気付く。

何やら慌てふためいている。

とりあえず、落ち着かせようと頭を撫でる。

ん?耳がとんがっている。

こ、これはエルフさんじゃないですか。

異世界に来て、始めて違う種族を見た。

なぜかアイシクルには人間しか見かけないんだよね。

ついでに耳も撫でる。

ふにふにしてて気持ちいい!

ふにふにふにふに。

や、やばい、これは虜になる。

猫を撫でるのといい勝負かもしれない。

エルフの子の顔が赤くなり惚けている。

名残惜しいと思いつつ、もう一度頭を撫でていると部屋に誰かが入ってくる。


「まぁ!気付かれましたか!」

「あの、あなたは?」

「そうですね。自己紹介しなくては。すみません。随分と久しぶりなものですから。私は、このアメージング・グレイスの管理を任されているフルールというものです。この度は私の息子を救っていただき、感謝してもしきれません。ぜひ、ゆっくりしていってくださいね。」

「もしかして、エルフですか?」

「…っ。いえ、なぜでしょう?」

「エルフのティア・ドロップというアイテムが必要なのですが、もし、エルフだったら知っているかなと思って」

「ティア・ドロップですか。そうですね、すみません。この村にはございません。……ピアニャも懐いていることですし、お話ししましょう。この村のことを」


フルールさんは近くにあった椅子に座り、ピアニャと呼ばれた少女は、ベッドに腰掛けさせた。

決してふにふにしたかったわけじゃない、決して。

ふにふに。


「私はエルフではありません。ハーフエルフなのです。エルフの里を飛び出した母が冒険者だった人間の父と出会い結ばれて、できた子が私です。このアメージング・グレイスに住む者は、全員ハーフなのです」

「へぇ、そうなんですか。」

「あの方と同じ反応を為さるのですね。ハーフは忌み嫌われます。純潔種に比べて、能力が半分になることが多いからです。劣等種と呼ばれることもあります。そんな中そういうもの達が寄り添いあい助け合って暮らしているのがここです」

「あの方っていうのは?」

「賢者ショーゴ様です。Lv.6だと言っていたので、それなりに有名なのではないでしょうか」


賢者ショーゴが王達のレベルを超えているというのか?

賢者は一体何を目的に動いているんだ。

湧水の洞窟といい、この村といい…。


「ショーゴ様は本当に優しくて、私たちをこの場所まで連れてきて、『ここに村を作るといい。結界を張っておくから』と。それと、この村のアメージング・グレイスも驚くべき恩寵という意味で、グレースは優美や優雅の意味もあるから君たちのいる村にぴったりだろうと仰って」

「そうだったんですか。他に何かショーゴは言っていませんでしたか?」

「ふむ。あ!私はハーフエルフなのに初めて優しくしてもらって、綺麗だねって言ってもらえて…少し不安になったんです。いつか、私たちを助けたことを後悔するんじゃないかって。だから聞いたんです。そしたら、『俺は、後悔しないようにいつも決断してるんだ。後悔なんて、するわけないだろ?』って言っていました。本当に嬉しかった」


おいおい、それは間違いなく、将吾(しょうご)だろ。

だってよくそんなこと言っては、「さすがに賢者プレイですわ。草生える」って言われていたし!

賢者語録作られてたし。


なんかどんどん賢者のことがわからなくなってきたな。

賢者が将吾(しょうご)だったとして、本当にこの世界のことを知っているのだろうか。

それとも、よく似た別人なのだろうか。


「いけない、いけない。話がそれてしまいましたね。ティア・ドロップですが、もしかしたら、あるかもしれません」

「え!どこですか」

「迷いの森近くにエルフの子にずっと求婚しているオーがキングがいて、通りかかった商人を襲っているようなので、ティア・ドロップも持っているかもしれません。ただし、そこらのモンスターとはレベルが違います。レベル3の方が二人でようやく倒せるといったところだと思います」

「情報ありがとうございます。行ってみます」

「これはお願いなのですが、この村のことは秘密にしていただけないでしょうか?ハーフの村がこんなところにあるとわかったときには…」

「わかりました。こちらも助けていただきましたし、みなさんがむざむざ酷い目に遭わされるのをみたくはありませんから」

「ありがとうございます」

「それで、この子、ピアニャは?」

「その子は昔オークに親を殺されたらしいのです。その時に声も失ってしまったようで…きっとオークを倒したことを英雄のように感じているのでしょう。あ。それと、エルフの耳を撫でるときは気を付けてくださいね。求婚の意味がありますから」


体中に稲妻が走った。

龍の雷よりも強力なやつが。

俺、まだ17歳です。

結婚できません。

というかまだ、その、あれが、初めてとか…勘弁してください。

ごめんなさい。


フルールさんがすごくいい笑顔で微笑んでいる。

うっ、ダメージが大きい。


とりあえず、オークキングを早く倒そう。

ティア・ドロップを急いで持って帰らないと。

ピアニャのことどうしよう。

よし。

フルールさんになんとかしてもらおう。


すみません。作者の都合にて次話の投稿は、9月17日とさせていただきます。楽しみにされているかたには本当に申し訳ありません。

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