第9話 手掛かり
感想とか指摘をいただけるとうれしいです。作者はチキンハートなので、ぜひ何かしらのコメントをいただけると嬉しいです。
少女は酷く衰弱しているようだった。ボソボソと何か言っている。龍?龍がどうこうって言っている?だが、それ以上は聞き取ることができない。
体力を回復できるものがいるな。俺は回復魔法使えないし。
確かラウンジで売っているって言っていたな。
行くか。
「少し出かけてくるから、安静にしていてくれ」
聞えてないだろうが、奴隷の少女に一声掛けて行く。
急いでラウンジに向かう。
「体力を回復できるものがいる。あるか?」
「500ヴェルで薬草、1500ヴェルで栄養剤、3000ヴェルで漢方薬です。あとは1億ヴェルで万能薬があるんですけど切らしていて…」
1億ヴェル?
もしかして、セーゴはこのために貸してくれたのか?
まぁ、大丈夫だろう。
「雷魔法をくらった少女に使いたいのだが、どれがいいだろうか?」
「…レベルは?」
「1だと思う」
「それでしたら、栄養剤をハチミツと合わせて飲ませることをお勧めします。そして、すぐに万能薬の材料を取りに行くべきです。非常に危険な状態にあると思われます。もって三日が限度でしょう」
「そんな…」
「お気持ちお察しします。今から万能薬の材料収集のクエストを発行しますので、急ぎ向かって下さい。急げば帰って三日以内に戻って来られるはずです。詳細は記載するので、そちらをお読みください」
「ハチミツと栄養剤も用意してもらえるか?」
「わかりました、少々お待ちください」
クエストの発行を待っていると声をかけられる。
「かなーん先輩、こんにちは!クエスト行くの?一緒に行く?」
「…ナナ、頼まれてくれないか?」
「な、何を?」
「奴隷の少女が俺の巻き添えで魔法をくらって重症なんだ。俺は、万能薬の材料を採りに行かなきゃいけない。だから、ナナに看病してやって欲しいんだ」
「むー。まぁ、いいよ。頼まれてあげる。そのかわり、今度美味しいものご馳走、ね?」
「わ、わかった」
「その子は、どこにいるの?」
「俺の寮の部屋にいる。あ、ドアの魔法をあける鍵を渡さないとな」
「部屋に呼ばれ…」
鍵を渡す時に目が合うと顔を逸らされる。
心なしか顔が赤い。
なにかブツブツと不穏なことを言っているような気がするが、気にしない方向でいこう。
ナナと話している内にクエストが発行されたようだ。
ナナに後を任せて、材料の採集に向かう。
必要な素材は二つ。
麒麟の角と、エルフのティア・ドロップだ。
最初の目的地は、ライハの洞窟というところらしい。
ボスモンスターの麒麟が低確率でドロップするようだ。
ライハの洞窟には一時間ほどで着いた。
中に入るとすぐに鵺に襲われた。
伝説上の怪物にこうも簡単に出会えると異世界だなぁと実感する。
鵺は、雷獣といった感じだった。
常に雷をまとっていて、普通ならば倒すのが難しそうだった。
俺は、荒れ狂う火を、炎を思い浮かべる。
それに合わせて、ラテンやジャズ的なソロパートを弾くイメージでバイオリンを奏でる。
遅めから始めて、だんだんと速くしていく。
速く、速く。
テンポに乗せてリズミカルに。
情熱的な踊りで相手を誘うように、燃え上がらせるように。
恋い焦がれさせるように。
鵺もただ聞いているわけではなかった。
雷を放つ。
しかし、これは無意味だった。
なぜなら、雷電のマントをまとっていたため、全てが防がれていた。
そして、聞いている内にバイオリンの音を聞き入り、動かなくなっていた。
そして、気付いた時には身体中が燃え上がっていた。
そのまま、体力がつき消滅する。
俺はそのあとも鵺を狩った。
同じ要領で倒していった。
数えていなかったのでわからないが10匹ほど倒したと思う。
そして、ボス部屋を発見する。王城の門にでもついていそうな巨大な扉がある。
この奥におそらく麒麟がいるのだろう。
意を決して扉を開く。
中には、大広間のような空間があった。
そこにたたずむようにしているモンスターが一体。
幻獣や霊獣と呼ばれるだけはあって、神秘的なたたずまいだった。
もしもモンスターをテイムすることが可能だったら、間違いなくこのモンスターをテイムしていただろう。
白馬のような見た目で額に一本角を生やしている。
これで翼がついていたらペガサスではないかと思ってしまう。
麒麟俺が仕掛ける前に動いた。
開戦を宣言するかのように鳴き声をあげる。
その声に呼応するかのように俺に雷が降ってきた。
しかし、効果はない。
俺は、バイオリンを構え、演奏-魔法を発動させる。
今回思い浮かべるのは雷。
鵺の、麒麟の、龍の放った雷。
それをイメージしてバイオリンを弾く。
メロディーを響かせる。
劇的に。
雷に引き裂かれる大地を見て、自分が病魔に侵された天才を感じて、悲劇的に。
なぜ?と問うように。
怒りを激しくぶつける。
相手が元凶であるかのように。
雷魔法は正しく発動した。
させることができた。
しかし、奇怪な現象が起きた。
麒麟はダメージをうけていない。
正確には違う。
体の部分に触れる前にかき消される。
まるで、護られているかのようだ。
「そうこなくちゃな」
俺はつぶやき、青銅の剣を取り出し、構える。
剣を構えると、刹那、理解した。
次の一撃で決まるだろうと。
守りが固い分体力が少ないことを直感的にわかった。
動かない。
どちらも、相手の一瞬の気の緩みを狙っている。
仕方なく、俺が先に切りかかる。
麒麟も動く。
体制を低くして、角を突き出すように近づいてくる麒麟の角と青銅の剣がぶつかり、火花をあげる。強い。
思っていたよりも力が強い。
抑え込まれる。
このままだと押し切られる。
ふと、死の予感が頭をよぎる。
なぜか、冷静だった。
思い出が走馬灯のように駆け巡る。
そこで、愛の顔が浮かんだ。
そこで、俺の中で何かが切れた。
リミッターが外れるような感覚。
一気に巻き返す。
麒麟の顔が驚愕に歪む。
そのまま一閃する。
ザッと何かが地面に突きき刺さるような音がして、麒麟の体が崩れ落ちた。
倒せたようだ。
全身が重い。
麒麟の体が消えてなくなる。
すると麒麟の一本角が折れて残っている。
ドロップアイテム幻獣の角だ。
これが必要だったんだ。
万能薬のための素材の一つ。
ステータスを確認しよう。動くのだるいし。
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名前:かなん Lv.2 学生
HP:3/42
MP:8/184
精神安定度 :E
魔法適正値 :C+
聴音可能度 :S+
音楽理論初 :C
楽器技巧力 :B+
物理防御力 :F+
属性耐性 総合評価 D-
火:6 水:10 風:8 光:5 闇:20
アビリティ
《剣術(上)》《魔法-火・水・風・陰》《分析(中)》《言語処理(大)》《適応力》《幸運》
《合体魔法》
EXアビリティ
【処理速度向上+1】
装飾品付与効果
雷無効
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ん?
「【EXアビリティ:限定解除】を取得しますか?」Yesと。さっきの何かが切れる感覚はこれだろうか?
まだ、このEXアビリティについては、ほとんどわかっていることがない。
まあ、そのうちわかるだろう。
疲労のためか思考が投げやりだった。
俺は疲れていたのでボス部屋で10分ほど眠ることにした。
ボス部屋には、倒したものが洞窟を出るまでリポップしない。
そのため、今は一番安全地帯である。
本来ならこのまま今すぐにでも次の素材を取りに行きたいが、この体力では無理だろうと考えた。
得たアビリティは使い時を考えなくてはならないなと思いつつ、眠りに落ちるのだった。
EXアビリティはユニークスキルに近いと考えていただければ。




