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5話 白黒ラジオ

デビューから2週間。


今日は白黒ラジオの日。そして推しの黒野先輩にドッキリを仕掛ける日でもある。ドッキリの内容は、白沢先輩と俺が喧嘩するというもの。喧嘩の内容に関しては、火種になりそうなお便りを適当に選ぶから俺から吹っ掛けろと言われた。適当すぎるだろあの人。


喧嘩ドッキリをする上で懸念点が1つ。ドッキリの途中でブラウザバックした人たちから不仲説が流れること。その予防策として、俺の枠で事前に告知することになった。先輩達のファンで俺に興味が無い人はこの枠を見ないだろうから完璧とは言えないが、全ての責任は白沢先輩がとるらしいから気ままにやるとしよう。ちなみに白沢先輩は今、黒野先輩がSNSを見ないようにわざわざオフで会いに行ってるらしい。


「というわけで、ラジオ前の雑談配信始めるよ〜。カラーズプロダクション所属のバ美肉DK春色皐月で〜す」


・ラジオ楽しみ

・本当にラジオ出るんだ

・ラジオに出ること言っていいの?


「いいんだよ、俺の配信中に誘ってきてんだから」


・あ、そっか

・切り抜き見たわ

・ほなええか


白黒ラジオのゲストは自分が出演することを当日まで内緒にしておくのが恒例となっているが、白沢先輩が俺の配信中に誘ってきているため、内緒にする意味がない。まさかこんなことがドッキリのリスクヘッジに役立つとは驚きだ。もしかして、配信にコメントした時点でここまで読んでいたのか?だとしたら凄いな。


「時間ないからパパっと本題に移るんだけどさ。俺、今日先輩と喧嘩するから」


・言ってることやばくね?

・喧 嘩 予 告


「ごめん、言い方が悪かったわ。白沢先輩と喧嘩するドッキリを黒野先輩に仕掛けるって話」


・なるほど

・それは言ってもいいやつ?

・姫にバレたりしない?


姫と言うのは黒野先輩の愛称だ。黒髪赤メッシュにパンクファッションというVのガワとは裏腹に、中の人は姫と言っても過言じゃないくらいの清楚系お嬢様であることから付いたんだとか。聞いた話によると、マジでいいとこのお嬢様らしい。なんでVやってんだろ。


「黒野先輩は今、白沢先輩とショッピングっていうてぇてぇイベントしてるから大丈夫」


・白黒てぇてぇじゃん

・てぇてぇ供給助かる

・皐月ちゃん?《白沢景》


「え?先輩?大丈夫なんですか?我らが姫は……」


・大丈夫大丈夫。アタシの隣でクレープ頬張ってるから

 《白沢景》

・てぇてぇの過剰摂取でヤバいことなりそう

・マジてぇてぇなこの2人


「ぜんっぜん大丈夫じゃないっすねぇ!?2人で出かけてるときにYoutube見出すとかマジでありえないっすよ!!」


・哀も見てるから大丈夫だって!《白沢景》

・こんにちは^_^《黒野哀》

・ほらね?《白沢景》


ウッソだろおい!?何してんの?この人。マジでDVR(配信を一次停止したり巻き戻したり出来る機能)無効にしといてよかった。まさか鳩ケアが先輩相手に役立つとは。やっぱり、かもしれない運転って大事だわ。


「あ、黒野先輩はじめまして、春色皐月と申します。本日はよろしくお願いいたします」


・めちゃくちゃ畏まってて草

・ガッチガチやんけ

・よろしくね!《黒野哀》


「お二人はお出かけなさってるんですよね。こんな矮小な末端Vなんて見ないでショッピングを楽しんで下さい」


・急に卑下しだすじゃん

・そういうのよくないよ《黒野哀》

・ホントよくない《白沢景》


普通に叱られた。こっちははよブラウザバックしてほしくて言っとるんじゃ。誰のせいでこうなったと思っとんねん誰のせいで。


春色皐月

何やってくれてんすかマジで!!


白沢景

ごめんごめんww


春色皐月

何笑ってるんですか

黒野先輩にはバレてないんですよね?


白沢景

バレてないよ

大丈夫



ディスコのチャット何時に送っても速攻で返ってくるんだよなこの人。いつ寝てるんだろ。てか、俺の配信終わった直後なのになんでこんなに返信出来るんだ?時間的にはまだ黒野先輩といてもおかしくないのに。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「皆さん、こんばんあい!カラーズプロダクション1期生!黒野哀です!」

「同じく白沢景で〜す」


・待ってました

・この温度差よ

・実家のような安心感


「皆さん、こんさつき!カラーズプロダクション何期生?バ美肉DK春色皐月です!」


・聞いたことない挨拶だな

・新人さん?声可愛いじゃん

・だが男だ

・嘘乙w男がこんな可愛いわけないやろww


デビューから2週間経つのに俺のこと知らない人いるんだ。自分で言うのもなんだけど、界隈では結構話題になってたんだけどな。ライト層なら切り抜きが大量に上がってたから知ってるだろうし、白黒先輩のガチ勢ってとこかな。


「えーっと、早速なんだけど何て呼べばいいのかな?」

「俺ですか?ちゃんかくんかって話ですよね。どっちでもいいですよ。皐月ちゃんでも皐月くんでもサ〇ケくんでも」


・公式設定では皐月ちゃんだな

・一人称に合わせるなら皐月くんだな

・心に大〇丸を宿すならサ〇ケくんだな


「ちなみに、俺のおすすめはサ〇ケくんですね」

「それ1番ダメなやつだよ!?」

「冗談です。公式設定だと女の子なんで皐月ちゃんでお願いします」


・やっぱり女の子やんけ!

・でも一人称俺だぞ

・俺っ娘なんだろ…


「じゃあ、お便りの方読んでいくね。ラジオネーム変態さんからのお便りです」

「とんでもねえ奴から届いてません!?」


    『

         処〇ですか?                   


           ラジオネーム 変態さん   』


待て待て待て待てマジで待て。ラジオネーム通りのとんでもねえお便りじゃん!?火種になりそうなお便りってこれか?これなのか?別の意味で火種になるぞ。それに、これでどうやって喧嘩吹っ掛けるんだ?「先輩たちは彼氏とヤりまくってますもんねw」とでも言えってか?無理だろムリムリ絶対むり。よし、見なかったことにしよう。うん、俺は何も見ていない。


「ということで、どうなんですかねぇ春色さん?」

「え?俺?回答者俺なんですか?」


・質問内容終わりすぎだろww

・なおその回答は新人にやらせる模様ww

・ 新手のパワハラか?ww


白沢先輩がVのガワでもわかるくらいニヤニヤしてる。嵌められた。マジでふざけやがってよぉ。ガワが清楚系美少女のくせに中身が酒カスヤニカスパチンカスのトリプル役満なせいで逆清楚とか逆ギャップ萌えとか言われてるくせによぉ。


「えーっと、回答……ですね。はい、その…童貞です……」


・なんか……ごめん……

・聞かなかったことにしとくわ……

・本当ごめんな……


「笑え!笑ってくれよ!マジで!頼むから!」

「ホント…ごめんね?」

「わたしも…ごめん…」


なんなの?どう回答すればよかったの?なんでこんな何とも言えない空気になっちゃうの?誰も得しないじゃんこのセクハラお便り。


「さっ!次のお便り行きましょ?セクハラはやめてくださいね!」

「あ、うん。ラジオネーム白黒てぇてぇさんからのお便りです」

「おっ!まともな名前じゃないっすか!」


    『

         何カップですか?


       ラジオネーム 白黒てぇてぇさん   』


セクハラじゃねぇか!!え?これあれだよね?胸部装甲のことだよね?好きなカップ(飲み物を入れる方)の種類はなんですか?とかじゃないよね?でも、これなら喧嘩吹っ掛ける理由にもなりそうじゃん。ネタっぽく喧嘩できるし。


「回答俺からでいいですか?これねぇ俺は公式設定でGなんすよ。みんないい?俺はGだからね?」

「ウッソだぁ。どう見てもAAAくらいでしょ!」

「和服着るときはさらしで潰すって知らないんですかぁ?あっ!潰すモンがありませんでしたね!すいませぇん」


・始まったな

・公式設定でGなんだ

・Gorillaカップ………ボソッ


「誰だGorillaカップつったやつ!!それ気にしてんだからやめろやぁ!!」

「初配信の日にバ美肉ゴリラがトレンド入りしてたもんねぇ!!」

「やめてぇ!!マジやめてぇ!!それだけは触れちゃいけないやつじゃん!!暗黙の了解じゃん!!」


・俺たちは何を見せられているんだ……

・AAAカップvsGorillaカップ

・AAA優位だな


後から知ったら話なのだが、初配信の日にバ美肉ゴリラがトレンドの下の方に入っていたらしい。リスナーの方からスクショ付きで送られてきたときは本当にびっくりした。俺としてはあまり嬉しくないというか、人生初のトレンド入りがバ美肉ゴリラなのはちょっと………ねぇ?


「さっきから俺のことゴリラとか言ってますけど、そっちこそ清楚(笑)でしょうが!!いつまで清楚名乗ってるつもりじゃ!!ク〇ちゃん先輩に明け渡せぇ!!」

「誰がク〇ちゃんじゃ!!アタシの同期にややこしいあだ名つけんなぁ!!」

「あ゛ぁん!?いいだろうがク〇ちゃん!!人気者になれそうだろうが!!」


・Gorillaが弱すぎる

・これは喧嘩……なのか?

・キャットファイトだろ

・女の子じゃん男じゃないじゃん


「2人とも、いい加減にしよっか……?」

「いや……あの…これ……ドッキリ………」

「ドッキリ?面白くないよ?」

「………すいません……」


空気が凍った。え、こわ。黒野先輩ってこんな冷たい声出せるんだ。全ての責任は白沢が取りますとか言える雰囲気じゃないよな。ドッキリ大失敗じゃん、どうしよ。


「ぷっ……!あっはははは!!!!」

「うふふっ……!!!」

「………え?」


・www

・www

・www


先輩達が笑い出した。それどころか、コメント欄も笑いに包まれている。どういうことだ?これ。もしかして、嵌められた……?


「えっ?え?どういうことですか?」

「せーのっ!」

「「ドッキリ!大成功!!」」


やっぱりあれか、逆ドッキリってやつか。よかった。マジで放送事故起きたかと思った。


「はぁ〜〜〜焦ったぁ〜。逆ドッキリってことっすよね」

「そうそう!面白かったぁ〜!」

「本当、楽しかったね!」


・ホントに面白かったww

・久々に笑ったわww

・反応可愛かったよww


「おいコメントォ!可愛い言うな!!」

「いや、ホントに可愛かったよ」

「凄い可愛かったね!」

「もぉなんなのこの人達ぃ!!」

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