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4話 ホラゲー配信

今日は花の金曜日。


土日は仕事の関係で、遥香が基本的にいない。俺は部活もしていないし、朝の配信も平日限定。つまり今日を乗り切れば2日間の自由が手に入るわけだ。


「つーわけで、今日こそはゲーム配信します!!」


・嘘乙

・絶対やらんやろ

・なんかテンション高くね?


「いや今日はマジでするから!!ちゃんとPC用のやつ買ったから!!」


・マジで?

・今日は雨降るぞ

・いや、槍かもしれん


え?酷くない?俺まだデビュー3日目だよ?俺がゲームするのってそんなに変なの?俺の信用なさすぎじゃない?まぁ、別にいいけど。


「先に言っておきますけど、今週は土日に配信ないんで」


・どしたん?

・なんかあったんか?

・大丈夫?


なんでこんな心配されるの?やっぱり、配信頻度高すぎたかな?別に体壊したりしてないんだけど……。


「先輩の初配信のアーカイブとか見たら、毎日配信とかしてなかったからってだけだから、別に心配せんでいいですよ」


・なーんだ

・よかった



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ねぇねぇ悠ちゃん。3年の米沢先輩って知ってる?」

「知らん。誰?」

「ほら、サッカー部のキャプテンの!」

「………?」


何か聞いたことがある気もするが、どこぞのゴリラ系アイドルのせいでまともな友人がいないからわからない。サッカー部のキャプテンってことは、校内では有名だったりするのかな?


「それで何?あの〜なんだっけ、米沢牛?それがどうしたん?」

「米沢先輩ね。それがさ、告白されちゃって………」

「はえ〜」

「興味無さそうだね」


クッソどうでもいい。てか、いつものことじゃね?いつもと違うところなんて、そいつが俺に関わってきてないことくらいだろ。


「告白なんて慣れてるだろ?んなことでいちいち話しかけんな」

「先輩がすっごくしつこいんだよ!」

「それを俺にどうしろと?」

「悠ちゃんが彼氏のフリしてくれたら諦めてくれるでしょ!」

「は?」


バカだろこいつ。日本のアイドル文化舐めんな。アイドルは恋愛禁止だろうが。男ができたら炎上するんだぞ。いや、推しの幸せを喜べないファンがおかしいのか?


「ね?いいでしょ?おねがい!」

「やだ」

「おねがい!」

「絶対にやだ。俺はまだ死にたくない」


遥香のファンは悪い意味で熱狂的な人が多い。本気で死を覚悟するような経験をしたこともある。マジで怖かった。もう二度とあんなことはごめんだ。


「適当に事務所が恋愛禁止とでも言っとけ」

「言っても諦めてくれないの!」


前から思ってたけど、遥香のどこがいいんだろ。遥香と付き合って得られるものなんて、知らん奴に付き纏われて、家のポストに変な手紙を入れられる恐怖体験くらいなのに。


「無視しろ無視。そういうのは無視が1番だろ」

「そうなの?」

「多分?なんかヤバい感じになったら事務所に相談しな。芸能事務所ならお抱えの弁護士くらいいるでしょ?知らんけど」

「わかった!ありがと!」


なんか面倒事になりそうな気もするが、まぁ俺には関係ないか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「いい?みんな、さっき言った通りにやるんだよ?」


・もちろん

・任せとけ

・やったるで


「は~いバ美肉DK春色皐月で〜す」


・ゲームは?

・ゲーム配信するって言ったよね?


「ん?ゲームならもう映ってるでしょ?ホラゲー」


・思ってたんとちゃう

・ゲーム配信って言ってホラゲーすることあんまないねん

・たしかにゲームだけど………


うんうん。この反応が見たくてホラゲーにしたまであるからな。満足満足。


「てか、サムネでわかってたでしょ」


・や め ろ

・それはそれ、これはこれ

・それは言わない約束だろ


「茶番はこれくらいにして、ぼちぼちゲームを始めようか」


俺が今からやるのは、警備員として深夜の会社内を見てまわるホラーゲーム。デビュー前に先輩のアーカイブ消化してたら見つけて、ずっとやってみたかったゲームだったりする。


「実は俺、ホラゲー初めてなんだよね。動画も見たことない」


・それマ?

・意外と怖がりとか?

・可愛いとこあるやんけ


ホラーゲームに関しては、実況動画とかを見ちゃうと、ストーリーがわかったり、びっくりポイントが事前にわかったりするから見ないようにしている。


「えーっと、攻撃ボタンどこ?」


・ないぞ

・あるわけないだろ

・己の無力さに絶望しろ

・ホラゲーは基本的に攻撃できないだろ


「え、でもあれだよ?警備員なんだよ?警備員なのに攻撃性能皆無なのヤバくない?」


・警備員に攻撃性能求めるなよww

・警備員に攻撃性能あんま要らないだろww

・防御性能は高いかもしれないだろww


「でも嫌じゃない?物理受けの警備員。自分の身しか守れなそうじゃん」


・物理受け警備員ww

・警備できてるじゃん

・1人なんだから自分の身を守れたら充分だろ


今のところ、目立ったホラーシーンというかびっくりポイントがない。このままではただの雑談配信になってしまう。


そう思った矢先、おそらく幽霊?に角待ちされていた。

最近のホラゲーって角待ちとかあるんだ。


「うお…ビクッた〜」


・全然こわがらんやんけ

・もっと怖がれよ

・怖がる女の子を見に来とんねんこっちは

・もうちょっと怖がる素振りを見せてもろて


「一人称でわかれ、俺は男だ。そんなに女の子が見たいならよそのリスナーになっちゃいなさい」


・俺っ娘定期

・本人が勝手に言ってるだけ定期

・公式設定では女の子定期


「え?マジで?俺って女の子だったの?」


・マジやで

・知らんかったんか?

・本人が知らんことある?

・公式サイト開くなよww


公式サイトを見てみると、たしかに女の子と記載されている。どうやら俺は本当に女の子だったらしい。男性であることを明言していいと言われていたから、男の娘設定になっていると思っていたが違ったのか……。


「俺って女の子だったんだ………」


・めちゃくちゃショック受けてて草

・ちゃんとゲームやれよww

・もっと幽霊に触れてやれよww

・幽霊さんが可哀想でしょ!ww

・ナチュラルに無視される幽霊さん草


一応ゲーム画面に戻ると、なんか略奪がどうこうとか話してた奴らが幽霊さん?に殺られたっぽい。ホラゲーってこんな昼ドラみたいな泥沼展開みたいなのあるんだ。てか、深夜のオフィスで何話してんだこいつら。


「みんなごめん、多分俺ホラー大丈夫だわ。先輩達みたいな可愛い反応出来ねぇわ」


・知 っ て た

・これでホラー無理って言われたほうが怖いわ

・見りゃわかる

・気にすんなって


「でも、ホラゲー怖くないの割と重大な欠陥じゃない?ホラゲー配信は推しが怖がってるのを見てニヤニヤするものでしょ?」


・そうだったのか……

・そうなの?

・知らん


「少なくとも俺はそう思いながら、先輩のホラゲー配信をスルーしてた」


・スルーしてんのかよ

・スルーすんなよ

・見てないやんけ


「だってさぁ、内容わかってるホラーほど面白くないもの無くない?どこで幽霊出てくるかわかってたら怖くないじゃん。だから、あえて見てないわけ」


・たし蟹

・なるほど

・プロ意識的な?


ゲーム自体は2時間ほどで終わった。後半はゲーム画面が完全に背景と化して、ただの雑談配信になってしまった。ホラーはあんまりやらないほうがいいかもしれない。


「多分あれだよね、俺がホラーやるなら隣にすっげぇビビリな人とかいないと雑談枠になっちゃうよね。身にしみてわかったわ」


・めちゃくちゃ怖がってる横ですっごいニコニコしてる光

 景が目に浮かぶわ

・急に大きい声出して驚かしてそう

・なんやかんやあって結局雑談枠になってそう


「まぁ、一緒にゲームする人いないんですけどね……」


・悲しいこと言うなよ

・大丈夫だって

・まだデビューしたてじゃん


「実際問題さ、男を自称してる俺が女性と絡むの怖くない?」


・あっ…(察し)

・怖いな


V界隈って推しが異性と絡むの嫌がる傾向あるよね。コラボもしてみたいけど、多分普通に叩かれると思う。俺はネットでの誹謗中傷にはどこぞのアイドル様のおかげで慣れてるからいいけど、相手方が嫌な思いする可能性があるのが難しいところだよな。


こればっかりは、白黒ラジオを経てなんとかなることを祈るしかない。


「そろそろ配信終わりますね。また月曜の朝に会いましょう」


・月曜?

・なんで?

・朝の配信は平日だけなんやで

・そうやったんか……

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