3話 雑談配信
「皆さんこんばんは!現役バ美肉DK春色皐月です!」
・ゲーム配信は?
・あの…ゲーム画面が見当たらないのですが…
・ゲーム配信は…どこでしょうか…!?
「ゲームが…買えませんでした…」
・でも…役に立ったんですよね?
・直接ゲーム配信は行えなくても!
・やるゲームの目星をつけたとか!
・ゲーム配信の糧にはなったんですよね!?
「なんの成果も!!得られませんでした!!」
・そんな………
・うわああぁぁぁぁ!!!!
「ノリいいね君達」
地獄のカラオケのせいでゲームを買えなかった結果、雑談配信になった。
昨日の初配信でやって、今朝もやって、デビュー2日目にしてもう話のネタが完全に尽きてしまった。
「雑談のさ…ネタがないんだよね…」
・早くね?
・ネタってそんなにすぐ尽きるものだっけ?
「3連雑談配信はネタが尽きるんだよ!!スパンも短いしさぁ!!」
・そういえば
・今朝も配信してたな
・昨日の夜も配信してたし
・マジで短いスパンでやってんだな
「てことで、ネタください!!」
・無理
・雑談なんだから適当でいいだろ適当で
・自分で考えな
酷くないか?が、なるほど適当……か。まぁ、色々融通が聞くのが雑談配信のいいところだし、当たってくだけろだな。
「収益化通ったらやりたいことでも話す?」
・そういうのを待ってたんだよ
・こういうのでいいんだよ
・聞きたい
「俺が収益化通ってお金貰ったらやりたいこと!それは!!バケツプリン!!」
・なんか……ねぇ?
・思ってたんとちゃう
・収益化しなくてもできるだろ
「はぁ〜〜〜わかってないねぇ君達は!配信でやるのがいいんじゃん」
・顔出し配信者しかできないだろその配信
・圧倒的にVに向かない企画だろそれ
・そもそも、固める工程あるんだから生配信に向かないだろ
「あ」
・今気づいたのかよ……
・固めるの10時間くらいかかるらしいぞ
・食事シーンも映せないぞ
バケツプリンってそんなに時間かかるんだ………。固まるまで配信続けるとか絶対無理じゃん。いや、某3〇クッ〇ングみたいに「固めたものがこちらです!」ってすればいけるか?
それでも、食事シーンが映せないか。今の時代、ちゃんと食べてるシーンを映さないと裏で捨ててるとか言われるから、配信時間内に食べきらないといけないよな。そもそも、顔出さないと食べた証明出来ないし。バケツプリンって2kgとかだっけ?1人で一度に2kgとか無理に決まってる。なら複数人でオフコラボ………はボイチェンの関係で無理か。もしかしなくても、バケツプリンって今の俺に1番向いてない企画なのでは?
「ネタが尽きたんで初配信の没ネタやってもいいですか?」
・無理
・ダメ
・ええよ
・もう少し頑張れよ
「いいって言った人がいたねぇ!俺の目には都合のいいことしか写らないんで没ネタやりまぁす!」
・急にテンション高くなるじゃん
・いや、高くなったというより……
・勢いで乗り切ろうとしてるだけなんじゃ……
「こまけぇことはいいんだよ!てことで、凸待ちやります」
・急に落ち着くな
・凸待ち?
・初配信でやるつもりだったってマ?
元々はこの企画を初配信でやるつもりだったのだが、来なかった人が叩かれたりしそうで怖かったので直前で没になった。というか俺が日和った。
「あ、一応言っておくんですけど、今回の凸待ちは突発的に始めた上、俺もデビュー2日目と日が浅いので、人が来る方がおかしいです。だから、凸待ち0人でも不仲説とか流さないで下さいね。不仲になるほど関係築けてないんで」
凸待ちって基本的にお祝いしてもらうときとかにするから、初配信の日なら来る可能性があったけど、2日目でアポも取らずに始めても来るわけない。むしろ来るな。来たら逆に困る。
こういうことにも配慮しないといけないなんて、配信者は大変だな。
「要するに凸待ちという名の雑談配信ですね。凸待ち(笑)とでも思って下さい」
・結局雑談やんけ!!
・凸待ち(笑)やんけ!!
「これも一応なんですけど、鳩行為とかもやめてくださいね。俺の人間関係が始まる前に終わる可能性があるんで」
・わかっとるやで
・そんなことはせんよ
・気にしすぎじゃない?
・始まる前に終わる?
視聴者さん達は自意識過剰と思うかもしれないが、個人的に配信者は気にしすぎなくらいが丁度いいと思っている。
「俺さ、まだ事務所の先輩とチャット以外で話したことないのよ。だから、凸待ちならワンチャン会話できないかな〜って思ってたりする」
・なんか親近感湧いてきたぞ?
・ワイかな?
・ちょっと可哀想に思えてきた
「なんだ?同情か?同情するなら金をくれ!収益化通ってないがな!はーハッハッハ!」
♪〜
「は?」
ディスコの着信音が鳴った。確認すると画面に映ったのは、『白沢景』の文字。
・ファッ!?
・凸来たやんけ
・よかったな
白沢景先輩は事務所発足当初からいる最古参の方だ。そんな大先輩とお話するなんて畏れ多い。それに、人が来ない前提で始めたので話題に困る。
「どうしよう……」
だからといって、このまま無視するのも失礼だし、俺の良心も痛む。
どうするべきか……。
「よし………!」
俺は覚悟を決めて、拒否するボタンを押した。
・やりやがったぞこいつww
・草
・クソワロタ
「君達は何も見なかった。いいね?」
・はい
・OK
・全然よくないよ?《白沢景》
・見たかもしれねぇ……
・見たね
「おや、白沢先輩じゃないですか。何かご用ですか?」
・なかったことにしやがったぞこいつww
・どんなメンタルしてんだよww
・今月の白黒ラジオに出てくれない?《白沢景》
白黒ラジオというのは、白沢先輩が、同期の黒野哀先輩と2人で毎月行なっているラジオ企画だ。今月のゲストとして俺に来てほしいということなのだろうが、そういうのは裏で聞くものじゃないのか?
「いやぁ~それはちょっとあれっすねぇ……」
お誘いいただけるのは嬉しいが、デビューしたばかりだし、男性を自称しているのもあって、荒れそうなのでご遠慮させていただきたい。けど、これで断ったらそれはそれで荒れそうなんだよな……。既に先輩に失礼なこともしてるし。
・いいよね?《白沢景》
「はい!もちろん出演させていただきます!!ナマ言ってすんませんっした!!」
こうやって表立って誘われているなら、受けても流石に炎上しないだろう。………しないよね?
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配信終了後。
「あ゛ぁ〜〜つっかれた〜〜」
普通に配信するだけでも結構疲れた。こういうのはやっぱり慣れしかないのかな。
「やっぱ最初は有名なのがいいのかな?でもホラーもやりたいんだよなぁ〜」
俺が見ているのはPCゲーム用のプラットフォーム。今朝の配信の時にPC用のゲームを買えばいいと言われていたのを思い出したので、次の配信でする予定のゲームを探しているところだ。
「まずは流行り?いや、ここはあえてのバカゲーも………」
♪〜
「ん?」
ディスコの着信音が鳴った。画面に映し出されるのはまたしても『白沢景』の文字。やっぱりさっきの事で怒ってんのかな?
「もしもし、どうかしたんですか?」
「急にごめんね?さっきの事で話があるんだけど」
「そうですよね!ホンットに申し訳ないっす!二度としません!許して下さい!」
「許す?どういうこと?」
許す以前の問題ってこと?それとも本当に怒ってないとか?後者ならいいけど、前者ならマジでなんとかしないと配信で言った通りに人間関係が終わってしまう。
「さっきのって通話拒否した件ですよね?」
「それじゃなくて、白黒ラジオの方だね」
「あ〜なるほど」
よかった、俺の人間関係終わってなかった。いや、まだ話の内容がラジオに出るなの可能性があるかもしれない。
「それで、お話って何でしょうか?」
「哀にドッキリしない?」
「ドッキリですか?」
「そう、ドッキリ」
新人の俺が?大先輩で推しでもある黒野先輩にドッキリ?色々言われそうな気もするが、同じく大先輩の白沢先輩の提案なら断るわけにもいかないよね!うんうん、仕方ない。
「内容はどうします?」
「―――ってのはどうかな?」
「控えめに言って最高ですね」




