表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/129

5/5 信頼関係


喉元過ぎれば熱さを忘れると言う諺は、人間の喉の耐久力への信頼が有ってこそだと思うが、こと信頼性という面で言えばIPhone 15の防水性能もまた同様の強さを持っている。


実家に帰ってきて、あまりの時間の進まなさに白目を剥き、夜。


旅行カバンにスマホの防水カバーを忘れてきたことに気づいたのは、すでに風呂を沸かし終え、脱衣所で服を脱いだ後だった。


人はこの段階になると、取りに戻るという選択肢を急速に失う。


私は重度のスマホ依存症なので、風呂の間にスマホを触らないというのは、歯磨きをせずに寝る、あるいは傘を持たずに梅雨を迎える、そういった類の不安を伴う行為である。


少し考えて、まぁ大丈夫やろと思った。


この思考が、だいたい良くない方向への助走であることは知っている。


私はスマホを連れて浴室に入った。湯船に浸かり、いつも通りXを開いた。

ちょうど、ぬいが茹でられているポストが流れてきて、世の中にはいろいろな趣味があるものだと他人事のように思っていた。


その瞬間、手からスマホが抜けた。

音もなく、抵抗もなく、当然のように彼は湯船の底へ沈んでいった。ぬいの次はお前か、と心の中で呟いた気がする。


慌てて拾い上げたが、意外にも画面は消えていなかった。

何事もなかったかのように、タイムラインは更新され続けている。私はその様子を見て、スマホの耐久性というものを、少しだけ過信してもいいのではないかと思った。


現に今、彼はきっと熱さを忘れ、元気に稼働している。


そして私もまた、さっきまでの焦りを忘れ、何事もなかったように湯船に浸かり直している。


熱さへの適応は信頼関係のもと成り立っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ