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化物に食わせるB級グルメ①

 水の神達との食事を終え、マリは後片付けを協力してくれた三人と、キャンプカーで休憩している。

 公爵はちょうど王都から辿り着いたモイスに状況を報告すべく、水の神殿に行ってしまったが、代わりにアリアが居る。


「モイス氏はロック鳥の襲撃を受けなかったんですかね? アレックスさんはだいぶ苦労されたんでしたっけ?」


 四人分のホットココアを運んで来たセバスちゃんは、プリマ・マテリアのモイスの事を気にする。


「んー。何か別ルートがあるんだってさ。時間はかかるけど、弱いモンスターしか居ないとかなんとか……。私達危険な道を来ちゃったんだよ」


「なんと!! 前もって教えてくれたら安全に来れたのにっ」


「……ロック鳥はそこまで脅威じゃないと思ったんじゃないかな」


 声を荒げたセバスちゃんに、グレンは静かに告げる。

 まぁ、ロック鳥は討伐に時間がかかりはしたが、変なワザを使わない分、楽だった印象だ。レアネーでガーゴイルの相手をしたマリは精神的に鍛えられているのだ。


「それよりも、マリさん。カリュブディスに食べさせる料理を何にするか決めた?」


「一応ねー」


 ため息混じりに答えると、三人の心配そうな視線が集中する。


「お嬢様、手伝える事があるなら、遠慮なくお申し付け下さい!」


「私も何でも手伝うわ!」


「二人とも有難う。グレンも手伝ってくれるんだったね」


「うん」


 一人で抱え込まずに済むのは有り難い。マリは自分の考えを伝えてみる事にした。


「やっぱあんなにデカいのに食べさせるってなると、投げるしかないのかなって思った。投げやすさを考えて、カレーマンにするつもり。カレーマンっていうのはさっきのスパイスカレーをパンみたいなので包んだ料理ね。それと、液体の物を何か作ろうかなって……。カレーマンだけだと、カリュブディスの口をキッチリ狙わなきゃならないけど、液体なら、目とかエラに入ってもいいと思うんだ! 成功率を上げるために二種類用意するよ!」


「いい考えだと思う……」


 グレンに賛同してもらい、少し自信が出てくる。


「液体の料理は、マリお嬢様が今日作ったサングリアはどうです? 凄い速さで作り上げてましたよね? 手軽なのがいいでしょう」


「うん。私も初めそれにしようかと考えたんだけど、肝心のワインとサイダーが足りないんだよ」


 ここでアリアが鼻息荒く立ち上がった。


「水の神殿の地下に、樽に入ったワインが大量にあるわよ! あれを使ったらいいわ!」


「いい情報! じゃあそれを使って、グリューワインを作っちゃおう!」


 サイダーはもう使い切ってしまったが、スパイスは大量にある。

 水の神殿からワインを提供してもらえば、かなりの量を作れそうだ。


「グリューワインって何……?」


 質問したのはグレンだが、他の二人もピンときてないようで、マリは三人に顔をジッと見つめられる。


「赤ワインにシナモンやクローブ、それに果物を入れて作るんだ。本当はホットの方がいいんだけど、熱々のまま飲ませるのは無理だろうな」


「美味しそうだわ! 果物が足りないのなら、神殿騎士に買って来てもらいましょうか?」


「あ、助かる! お願いしたい!」


「任せてちょうだい!」


「でも問題は、どうやってカリュブディスに飲ませるか、なんだよね。バケツでバシャーンってかけたらいい??」


 肝心の飲ませ方が思い浮かばず、マリは唸り声を上げた。

 しかし、斜め前から不適な含み笑いが……。セバスちゃんだ。何故笑うのか。


「私にいい考えがあります! エンジンポンプを使いましょう!」


「な、何それ……?」


 彼が提案してれた器具は初めて聞くものだ。


「大きめの容器にそのグリューワインを入れておき、そこにエンジンポンプを仕込めば、ホースを使って高く吹き上げられます」


「おおおお!!!」


 セバスちゃんらしいダイナミックな発想だ。マリはそれを気に入り、大きく頷く。


「いいね! 任せるよ。セバスちゃん!」


「上手くやりますよ!」


「流石セバス様だわ! 私も一つ提案があるのだけど、いいかしら?」


 顔を興奮で赤くしたアリアは、人差し指を一本立てた。アイディアマンばかりで、非常に助かる。


「さっきマリが言っていたカレーマンとやらは、私が投石器を使って投げましょう!」


「おお、お……。投石器とは、習得するのに長年を要するという、あの……」


 何を感動したのか、セバスちゃんは、目を輝かせた。

 マリはイマイチその『投石器』とやらは分からないが、それを使って投げて、カレーマンは果たして無事なのだろうか?

 皮を厚くして、途中でグチャグチャにならない様にしておくのが無難か。


「僕は、貴方達が上手いこと狙いを定められる様に、カリュブディスを誘導する」


 最後にグレンが一番リスキーな役割に立候補してくれた。

 心配ではあるが、彼以外には出来ないだろう。


「三人とも有難う! 何だか上手くやれそうな気がしてきたよ!! 皆で頑張ろう!」


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