第29話:初雪、特別な場所
月白: サエキ、ちょっと座って休もう……。思ったより目が回るね、ソリ……。
サエキ: あ、そうだな。あそこに座りながら、周りで他に何ができるか探してみようぜ。
(そうして二人がベンチに座っていると、頭上から雪が降り始める)
(月白とサエキが同時に上を見上げて)
月白: 雪……雪だよ、サエキ。
サエキ: おう……雪だな。今年の初雪だ。
月白: 私、嬉しいな。初雪をサエキと一緒に見られて。
(サエキがキョトンとした表情で月白を見つめ、ふっと優しく笑いながら)
サエキ: こんな初雪のタイミングで告白するべきだったな……。惜しいことした。
月白: え? あ……そうだね……あはは……。
(サエキが、静かに座っている月白の手をそっと握る)
(月白の顔がカッと赤くなり、サエキを見つめる)
サエキ: ありがとな、ツキシロ。俺と一緒に初雪を見てくれて。それから、俺と付き合ってくれて。
(その言葉を聞いた月白が、どうしていいか分からずに視線を地面へと落とし)
(月白がゆっくりと、隣にいるサエキの肩に頭を預ける)
(サエキの顔が少し赤くなり、じっと身をまかせる)
月白: 私の方こそ……ありがと……。こんな私を受け入れてくれて……
(その時、月白が前方に立っている一人の女子生徒に気づく)
(月白が驚いて勢いよく起き上がり、声をかける)
月白: あ……アイ……!?
中村: ハル……? サエキ……? 二人って……。
サエキ: あ……いや……その、これは……。
中村: ――そっか、そういうことね〜。分かった、邪魔しないで帰るよ。
(サエキの顔が真っ赤になる)
月白: ち、違うよ……! そんなんじゃないってば!
中村: 違わないでしょ? 肩に頭乗せて寄り添ってたじゃん。
月白: 眠くて……ちょっとふらついただけだよ……。
(中村がニヤニヤとした笑みを浮かべて)
中村: はいはい、分かったから〜。
月白: それより、アイはここで何してるの?
中村: 私も友達と遊びに来たんだよ。ハルのことも誘おうと思ったんだけど、電話に出ないからさ……。まぁ、通りかかったら偶然見かけたから声かけただけ。
サエキ(M): そういう時は、気づかないフリして通り過ぎてくれよ……。
中村: あ、あんたたち、今日のこのイベント、夜に何があるか知ってて来たわけ?
(サエキと月白が全く知らないという表情をして)
サエキ: あ……いや、知らないけど。ツキシロは?
月白: 私も……。今夜、何かあるの?
(中村がやれやれといった風に、手のひらで頭を押さえながら)
中村: デートに来たっていうのに、そんなことも調べてこなかったの? 今夜、フィナーレに花火が上がるんだよ!
月白: そ……そうなの……?
中村: うん! それから、これはあんたたちだけに教えてあげる。私、このお祭りに何度も来てるから知ってるんだけどさ。
(中村が、少し離れた反対側の丘の上にあるベンチを指差して)
中村: あそこのベンチ、花火が上がってる時でも全然人が行かない穴場なんだよね。
月白: え……?
中村: どういう意味か、言わなくても分かるよね? それじゃあ頑張ってね、お二人さん。私はもう行くから。
(ツキシロとサエキが、去っていく中村の後ろ姿を見送るながら)
月白: 良い情報教えてもらっちゃったね……。
サエキ: こうなった以上……今夜、あそこから花火見ていかないか?
(月白がサエキを真っ直ぐ見つめて)
月白: うん! 見たい!
(月白が嬉しそうな笑みを浮かべて)
月白(M): ありがと、アイ……! あんたは私の最高の親友だよ……!
サエキ(M): めちゃくちゃ嬉しそうだな。
(場面が変わり、中村の友達グループ)
友人1: どうしたの中村? なんでそんなニヤニヤしながら戻ってくるの?
友人2: 何か良いことでもあった? イケメンに逆ナンでもして連絡先ゲットしたとか?
中村: ふふっ……それよりもっと面白い光景を見てきたの。もう、言葉じゃ表現できないくらいのね……。
友人1・2: なにそれーー! 教えなさいよー!
中村: 秘密! これだけは絶対に教えられないな〜。
友人1・2: ケチーー!
中村(M): ハルも、やっと心から笑えるようになったんだね……。私まで嬉しくなってきちゃうな。
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