第28話:しっかりと繋いだ、二人の手
(そうして二人がイベント会場の中へと入っていく)
(サエキが驚きに目を見張る)
サエキ(M): 人、めちゃくちゃ多いな……。予想はしてたけど。
(月白とサエキがさらに人混みの奥へと進む中、月白が近くを通った人と肩がぶつかって転びそうになる)
月白: ひゃうっ!?
(サエキが咄嗟に、転びそうになった月白の背中を片手でガシッと支え、倒れないように受け止める)
(倒れかけた状態の月白が、顔を真っ赤にしながら、自分を支えてくれているサエキの顔を真下から見つめる)
通行人: す……すみません……!
サエキ: あ……いえ。これからは気をつけてください。
(通行人が去っていき、サエキが月白を優しく起こしてあげる)
サエキ: 大丈夫か、ツキシロ?
(月白の顔がカッと赤くなったままで、サエキの顔を真っ直ぐ見られずに)
月白: う……うん、大丈夫。ありがと……。
サエキ: そうか? なら良かった。じゃあ行こうぜ。
(月白がサエキに向かって、そっと小さな手を差し出す)
月白: 安全のために……手……繋いで?
(サエキの顔が少し赤くなる)
サエキ: ――おう、分かった。
(二人は手を繋ぎ、前を向いて歩き出す)
サエキ(M): 告白された時に繋いだ感覚とはまた違う……。なんだか、前よりずっと……温かい気がする。
月白(M): 手を繋げたのは最高に嬉しい……。だけど、本当にラブコメ漫画みたいなシチュエーションになっちゃうなんて……思わなかった。でも、すっごく幸せ……。
サエキ: 何かやりたいことあるか、ツキシロ?
月白: ん? ええと……。
(その時、月白の目にひとつのアトラクションが飛び込んでくる)
月白: 私、あれやりたい!
(月白が二人乗りのソリ滑りコースを指差す)
(サエキが少し冷や汗を流す)
サエキ(M): あ、あれ……結構怖そうだけど……。ツキシロが滑りたいって言うなら滑るしかないよな。せっかくここまで来たんだし、このくらいは付き合ってやらないと。
サエキ: おう、滑りに行こうぜ。
(そうして、ソリを滑るために少し小高くなっている丘の上へと登っていく)
係員: はい、お二人は二人乗り用のソリになりますね〜。
(月白とサエキがひとつのソリに縦に並んで座る)
(月白が後ろに座り、サエキが前に座る)
係員: はーい、それじゃあ出発しますよ〜。しっかり捕まってね、スタート!
(ソリが勢いよく出発した瞬間、月白が後ろからサエキの腰をギュッと力いっぱい抱きしめる)
(サエキの顔が一瞬でカッと赤くなり、後ろをチラリと振り返ると、同じように少し顔を赤くした月白とバッチリ目が合う)
(サエキが慌てて、もの凄い勢いで顔を前方へと戻す)
(ソリはあっという間にゴールへと到着した)
係員: はーい、お疲れ様でした〜。順番に降りてくださいね〜。
(月白とサエキがソリ滑り場を出て歩き出す)
サエキ(M): なんだよ、思ったより大したことなかったな……。っていうか、それより……ツキシロが後ろから抱きついてきた……。
(サエキが嬉しそうな笑みを浮かべ、後ろからついてくる月白を振り返る)
サエキ: ツキシロ、楽しかったか? 俺は……って、あれ?
(サエキが、目が回ってふらふらしている月白の様子を見て、思わずふふっと笑う)
サエキ: 何だよツキシロ、目が回ってんのか?
(するとその瞬間、月白が足元をよろめかせながら、サエキの胸へと再びギュッと抱きついてきた)
(サエキの顔が再び真っ赤に染まる)
サエキ: ツ……ツキシロ? そんなに目が回ってんのか……?
(月白がハッと我に返り、大慌てでサエキの懐から飛び退いて、パニックになりながら上ずった声で弁明する)
月白: え……っ!? あ、違う、違うの! 全然目が回ってなんかいないよ! すっごく楽しかったんだから!
サエキ: 本当かよ?
月白: ほ……ほんのちょっとだけ、クラッとしただけ!
(そんな月白の様子を、サエキが愛おしそうにフフッと笑い、釣られるように月白も嬉しそうに微笑み合うのだった)
最後まで読んでいただきありがとうございました! 次回も楽しみにしていてください!




