第26話:新しい始まり、まだ終わらない物語
ここまで楽しんで頂きありがとうございました!
(お互いに顔を真っ赤にしたまま、気まずそうに座っている)
(月白が完全に人生終了したというような絶望の表情を浮かべる)
月白(M): 完全に終わった……! サエキに本音を全部ぶっちゃけちゃったよ! しかも私が可愛いだなんて……私のどこが? さっきのサエキの言葉、ただその場の空気を合わせて言っただけなのかな……あー、もう分かんない! 最初からアルバムなんて見たいって言わなきゃよかったんだ……!
サエキ(M): これ、どうすりゃいいんだ……。なんか、さっきより状況が気まずくなってねぇか……?
(サエキが片手で湯呑みを持ち、もう片方の手は月白が座っている近くの床についた状態で、お茶をすする)
(その時、月白が床についていたサエキの手に、自分の手をそっと重ねる)
月白: ごめんなさい……! サエキ、さっきのことは本当に本気で……!
(不意を突かれたサエキの顔が一瞬でカッと真っ赤になり、月白とは反対方向に向かって、飲んでいたお茶を思いきり吹き出す)
(月白が驚いて、慌てて逆方向へと首をそらす)
月白(M): やっぱり、これは引かれたよね……。さすがに私、グイグイ行きすぎちゃったんだ……。
(サエキが激しく動揺した心を必死に落ち着かせ、口元を拭いながら声を絞り出す)
サエキ: あ……いや、違うんだ。まぁ、あんな子供の頃のアルバムを見られたくらい、別にどうってことねぇし……。それに、あのお節介な姉貴が見ようって言い出したんだろ。分かってるからさ。
月白: 本当……? どうして分かったの?
サエキ: あの姉貴のこれまでの行動を見てりゃ、そのくらい簡単に正解が導き出せるよ……。
月白: ありがとう……サエキ……。
(少しずつ空気が和らいできたその時、パ탄と部屋のドアが開く)
姉: これから夜ご飯にするんだけど、ハルちゃんも一緒に食べていかない?
月白: え? 夜ご飯、ですか……? 私も一緒に……。
姉: そうそう。時間ももう遅くなってきちゃったし、思ったよりご飯がたくさん炊けちゃったのよね。
月白: 私は全然構わないんですけど……サエキが迷惑じゃない、かな……?
サエキ: 俺は、ツキシロと一緒に食べられるなら嬉しいけど。
姉: 決まりね! じゃあリビングに来て一緒に食べましょ。
(サエキが先に部屋を出ていく後ろ姿を、月白がぽかんと呆気に取られたように見つめる)
月白: 嬉しい、って……?
サエキ: ツキシロ、食べるの嫌か?
(月白がハッと我に返り、慌てて立ち上がる)
月白: え? あ……ううん、行く、行く!
(月白が満面の笑みを浮かべて立ち上がる)
月白(M): ありがとうございます、お姉ちゃん……っ!
(そうして三人で食卓を囲み、並んだおかずをおいしそうに口に運ぶ)
月白: これ、すっごく美味しいですね! お姉ちゃんが作られたんですか?
(姉がこれ以上ないほど自信満々に胸を張る)
姉: そうよ! 私がぜーんぶ手作りしたんだから!
サエキ: 嘘つけ。全部そこらの惣菜屋で買ってきたやつと、親父たちが作り置きしていってくれたおかずだろ。
(姉がサエキの頭を容赦なくゴツンと小突く)
姉: そこは話を合わせなさいよ……。
(そうして楽しくご飯を食べ終え、月白が家に帰ろうとする)
サエキ: 街灯も少ないし、家まで送っていくよ、ツキシロ。いいだろ?
月白: え? あ……うん、嬉しい。
(サエキと月白が家を出て、いつもの薄暗い路地裏の通りを並んで歩く)
(月白の心臓が、耳元まで届きそうなほど激しくドクドクと波打つ)
(やがて、月白の家の前に到着する)
月白: お、送ってくれてありがとう……サエキ。
サエキ: おう、また明日な。
(踵を返して歩き出そうとするサエキの後ろ姿を、月白はじっと見つめ……そして、意を決して大声を張り上げる)
月白: サエキ……っ! ちょっとだけ、こっちに来てくれない……?
サエキ: ん? どうした?
(サエキが月白のすぐ目の前まで歩み寄る。月白は身体を小さく震わせながら、上ずった声で告げる)
月白: あの……私……私と、付き合ってくれませんか……?
(サエキと月白の顔が一瞬で真っ赤に染まり、二人は驚きに目を見開いてじっと見つめ合う)
(サエキは完全に脳内がフリーズしたように言葉を失い、顔を赤くしていく。そんなサエキの反応を見た月白が、拒絶されたと勘違いしてパニックになり、慌てて後ろを向いて逃げ出そうとする)
月白: あ、ご……ごめんなさい……っ! 私、つまんないこと言っちゃった……っ! もう家に入るね……っ!
(立ち去ろうとする月白の背中を、サエキがハッと我に返って見つめる)
月白(M): 終わった……私、なんてこと言っちゃったのよ……っ! このままサエキとギクシャクして、友達にすら戻れなくなったらどうしよう……っ!!
(そんな月白の手首を、サエキが後ろからガシッと力強く掴んで引き止める)
(月白の顔がさらに真っ赤になり、驚いてサエキを振り返る)
サエキ: ツキシロ、どこ行くんだよ。まだ……返事してないだろ。
(月白が恥ずかしさのあまり視線を下に落とし、小さく震える声で呟く)
月白: 手……。
(サエキがハッとして、慌てて掴んでいた手を離そうとする)
サエキ: あ……ご、ごめん、ツキシロ……。
(すると月白が、サエキの目を真っ直ぐに見つめ直して静かに言った)
月白: 手……繋いだまま、返事してほしいな。
(サエキが驚き、一瞬だけ緊張に表情を強張らせるが……次の瞬間、愛おしそうに優しく微笑みながら、月白の手を今度は優しくしっかりと握りしめて口を開く)
サエキ: ――うん。付き合おう、ツキシロ。
(サエキの手の温もりを感じながら、月白がこれ以上ないほど幸せそうな、最高の笑顔を浮かべるのだった)
次回のエピソードも楽しみにしていて、お付き合いいただき、いつもありがとうございます!




