第25話:過去の面影、ふいに溢れた言葉
ここまで楽しんで頂きありがとうございました!
(サエキの姉が古いアルバムを開く)
(アルバムを開いた瞬間、月白の目がパッとキラキラ輝きだす)
(そこには、幼い頃――小学2年生に見えるサエキが、アイスクリームを手にしてひまわりのような満面の笑みを浮かべている写真があった)
月白: うわぁ……! これ、サエキですか……?
姉: そう。ハルちゃんが想像してた見た目とは違ってた?
月白: あ……はい。子供の頃は今と違ってただろうな、とは予想してたんですけど……。
姉: どしたの?
月白: 想像してたよりも、ちっちゃい頃はもっと可愛……。
姉: ん? 何だって?
(月白の顔が一瞬で真っ赤になり、大慌てで両手をブンブンと振る)
月白: あ、いえいえいえ! 何でもないです!
姉: 素直に言いなさいよ〜。どうせあの頃の姿には二度と戻らないんだし〜。子供の頃はもっと可愛かったって?
月白: あ……はい……。もっと可愛……かったですね。
姉: へぇ〜。ってことはさ、子供の頃の方が可愛かったってことは……今もそれなりに可愛いってことじゃん?
(月白が完全にキャパオーバーになり、パニックを起こす)
月白: え? ええっ!? あ……そ、それは……その……。
(サエキの姉が楽しそうにケラケラと笑う)
姉: 冗談、冗談〜。あんな不器用な奴とハルちゃんが付き合うなんてさ、ハルちゃんが圧倒的にもったいなさすぎるもんね。
月白: え……あはは……。
(そうして、さらにアルバムのページをめくっていく)
姉: これは小学校の時、家族みんなでプールに遊びに行った時の写真。
月白: わぁ……すっごく良い写真ですね。……でも、サエキは一体何をしててこんなに遅いんですか? お姉ちゃん、あいつに何を頼んだんですか?
姉: ああ、皿洗い。私がやろうと思ったんだけど、面倒くさくなっちゃってさ。
月白: あ……なるほど、そういうことだったんですね。
(その時、部屋のドアが開き、両手でお茶のトレイを持ったサエキが入ってくる)
(月白がビクッと肩を震わせるが、姉は相変わらずケロッとしている)
サエキ: はぁ……やっと全部終わった。ツキシロ、待たせて悪か……。
(その瞬間、サエキの視線に床のアルバムが飛び込んでくる)
サエキ: え? お前ら……何見てんだよ!? そ、それ……俺の子供の頃のアルバムじゃねぇか!?
月白: え? あ……えっと……これは、その……。
姉: 何よ、私が見ようって言ったんだけど?
サエキ: 何でお前が俺の過去のアルバムを勝手に見るんだよ!? しかも何でツキシロと一緒に見てんだよ!?
姉: あ、ごめんごめん、勝手に見ちゃって。でもね、ハルちゃんが『サエキくんのアルバムを持ってきて見たいです』って言うから、断りきれなくてさ〜。
(月白が裏切られた衝撃で、目を丸くして姉を凝視する)
月白: な……何を言ってるんですか……っ!?
(サエキの姉は平然とした顔で大嘘をつき、そのまま部屋を出ていこうとする)
(姉はドアの前に立っているサエキの肩をポンと片手で叩き, 小さな声で耳打ちする)
姉: あとは上手くやりなさいよ〜。
(パタンと部屋のドアが閉まり、サエキが月白の隣へと静かに腰掛ける)
(月白は気まずさのあまり、サエキの顔を見られずに視線を下へと落とす)
サエキ: ツキシロ。
月白: ごめんなさい……! 私がサエキのアルバムを見たいって言ったの……っ! でも、私が持ってきてって頼んだわけじゃないの! 本当にごめんなさい……!
サエキ: 分かったよ。……で、俺の子供の頃、どうだった? ツキシロから見てさ。
月白: え? あ……えっと……その……。
サエキ: 本音で言ってくれ。純粋に気になるから。
(月白が恥ずかしさのあまり、なかなか言葉に詰まって喋れない)
サエキ: ……やっぱり微妙だったか。はは、だよね。俺も自分の一昔前の姿は、正直パッとしないと思って……。
(その時、月白がサエキの言葉を勢いよく遮るように叫んだ)
月白: 可愛かったの……っ!!
(サエキと月白の顔が同時にカッと真っ赤に染まり、二人の視線がバッチリと重なる)
月白: ……って、思ったの……。
サエキ: あ……お……そ、そうなんだ……。まぁ、子供の頃は可愛……く見えたりすることもある、よな。
月白: ううん、今だってまだ、ちょっと可愛いよ……っ!
(サエキが衝撃を受けたように、目を見開いて月白を見つめる)
月白: 子供の頃ほどでは……ないかもしれないけど……。
(月白は自分が今とんでもない本音を口走ってしまったことに気づき、顔を耳まで真っ赤にしながら、誤魔化すように不自然に笑う)
月白: あ! ち、違うの! その……今のはね……今のサエキは、可愛いっていうより……もっとその……カッコいい、っていうか……っ!? あはは……。
(サエキの顔がさらに真っ赤になり, 照れくさそうに呟く)
サエキ: ――ツキシロも、可愛いよ。
月白: え? あ……ええっ!? わ、私の……私のどこが可愛いっていうのよ……っ!?
サエキ: ……なんか、そういう風に慌てて慌てふためいてる行動そのものが、可愛いなって思う。
月白: そ……そうなんだ……。あ、ありがと……。
(二人はお互いに顔を真っ赤にしたまま、恥ずかしさのあまり目を合わせられなくなるのだった)
次回のエピソードも楽しみにしていて、お付き合いいただき、いつもありがとうございます!




