第23話:近づく足音、予想だにしない訪問
ここまで楽しんで頂きありがとうございました!
(ベッドに横たわってスマホを眺めているサエキの元に、メッセージが届く)
月白: 『今外なんだけど、助けて。今、もの凄く怖いの』
(そのメッセージを見たサエキが動揺する)
サエキ: 『ん? どうした? 今どこにいるんだ?』
月白: 『とにかく凄く怖い状況なの。来てくれたら話すから。今、あの可愛い猫ちゃんがいる路地裏の通りにいるの』
サエキ: 『すぐ行く。そこで待ってろ』
(その返信を見た月白の口元に、微かな笑みが浮かぶ)
(サエキがパーカーを羽織り、全力疾走で息を切らせながら駆けつけてくる)
(サエキが肩で激しく息をしながら、闇の中でしゃがみ込んでいる月白を発見する)
サエキ: 大丈夫か、ツキシロ……!? 一体何があったんだ……?
月白: 路地が暗すぎて……家に帰れなくなっちゃいそうだったの。
(サエキが呆れたように月白を見つめ、呼吸を整えながら口を開く)
サエキ: はぁ……。焦らせやがって。大ごとじゃなくて良かったよ……。ツキシロ、お前そんなに暗い場所が苦手なのか?
月白: うん……もの凄く怖いの。暗い場所、本当に大っ嫌い……。
サエキ: だったら、早く家に帰らねぇとな。……家まで一緒に送っていくよ。
月白: うん……ありがと。それと、こんなことで呼び出しちゃってごめんね。
サエキ: 気にすんなよ。別に大した手間でもねぇし。
(二人が並んで暗い路地を歩きながら言葉を交わす)
サエキ: そういえばツキシロ、この前の海辺でも、一人で暗闇の中にいてどうしていいか分かんなくなってたよな。
月白: え? あ……うん、そうだね。暗い場所って本当にダメなの。突然誰かが飛び出してきそうだし、前もよく見えないし……。
月白: だけどサエキ、どうして私だってすぐに分かったの? こんなに暗い場所なのに……サエキって夜目が利くタイプ?
サエキ: いや、そんな特異体質じゃねぇよ。……ただ、シルエットを見ただけでなんとなくツキシロだって分かったから声をかけただけだ。
月白: そ……そうなんだ……。
(そうして、月白の家の前に到着する)
月白: ありがとう……ここまで送ってくれて。
サエキ: おう、また明日な。
(踵を返して歩き出そうとしたサエキが、ふと立ち止まって月白を振り返る)
サエキ: ツキシロ。一応もう一度言っておくけど、心配かけるような行動はするなよ。……なんか、ずっと気になっちまうからさ。じゃあな、また明日。
(月白が想定外の言葉に、顔を赤くして上ずった声で返す)
月白: え……? あ……うん。分かった、ごめん……。また明日ね。
(翌朝、学校の教室)
月白: サエキ、おはよー! って、学校に来て早々もう寝てるの?
(席に突っ伏して寝ていたサエキが、眠そうに上体を起こす)
サエキ: ん……? ああ、おはよ……。昨日、ちょっと夜更かししちまって……。
月白: ねぇサエキ、昨日ベッドの中でずっと考えてたんだけどさ。……私、サエキの家に行ってもいい……?
サエキ: んー……ああ、いいよ……。って、待て。……俺の家に来る、だと!?
月白: うん! 昨日サエキが、うちの家に来てもいいよって言ってくれたじゃん!
サエキ: 俺……そんなこと言ったっけか。……ああ、言ったわ、確かに。俺が。
月白: 何それ? もしかして、またお得意の嘘だったの?
(サエキが完全に目を覚まし、慌てて手を振る)
サエキ: いやいやいや! 違うって! 全然来ていいよ!
(月白が嬉しそうにふふっと微笑む)
月白: じゃあ、お言葉に甘えて行っちゃおっかな。
サエキ: あ……ああ。じゃあ、俺まだ眠いから少し寝るわ……。
(サエキが再び机の上の腕の中に顔を埋める)
サエキ(M): 冗談だろ……マジで来るのかよ!? あの時はただツキシロの機嫌を直したくて適当に言っただけなのに! 本当に来るって言い出すなんて思わねぇじゃん……。もしかして、ツキシロも断りづらくて無理して合わせにきてるだけか? ぶっちゃけ本当は来たくないけど、俺が言っちゃったからお世辞で付き合ってくれてる可能性も……。
(サエキが腕の隙間から、隣の席の月白の様子をチラリと伺う)
サエキ(M): 無理して合わせにきてるなんて、とんでもねぇ勘違いだったわ……。あの顔、どこからどう見ても遠足前の子供みたいにワクワクして楽しそうじゃんか……。詰んだわ、俺の部屋いろいろ片付けねぇと……。
(一方、カバンから教科書を取り出しながら前を見つめている月白)
月白(M): 嬉しいなぁ……っ! 私がサエキの家に行くなんて! 今週末の服、何を着ていけばいいんだろ? すっごく可愛く見られたいし! あー、今から待ち遠しいな!
次回のエピソードも楽しみにしていて、お付き合いいただき、いつもありがとうございます!




