第19話:不器用な答え合わせ、そして影
ここまで楽しんで頂きありがとうございました!
(そうして二人は気まずい空気の中、無言でコーヒーと飲み物を口に運ぶ)
(月白がギュッと目を瞑る)
月白(M): サエキ……何でもいいから話しかけて……気まずすぎて息が詰まりそう……。
(サエキも同じようにギュッと目を瞑りながら)
サエキ(M): 何か……何か喋らないと。この沈黙は耐えられねぇ……。
サエキ: あの……ツキシロ?
(月白が弾かれたようにサエキを見つめる)
月白: ん?
サエキ: ツキシロって……ベガとはどうやって出会ったんだ……?
サエキ(M): 唐突すぎる質問だったか? 何だよ、そのきょとんとした顔は……。
(月白がふふっと顔を綻ばせて微笑む)
月白: すっごく良い質問! 私とベガがどうやって出会ったか、だよね。実はね、ベガは私が引き取って育てることにした猫なんだ。
サエキ: 引き取った……?
月白: うん。友達がね、どうしてもこれ以上は猫を飼えない環境になっちゃったらしくて。だから私が代わりに引き受けることにしたの。そうやってベガと私は出会ったんだよ。
サエキ: じゃあ……ツキシロはベガを最後までちゃんと飼い続けるつもりなのか?
(月白がサエキをジロリと睨みつける)
月白: 何それ。私がベガを途中で見捨てるとでも思ってんの?
(サエキが慌てて手と視線を泳がせながら弁明する)
サエキ: え? あ……いや、そういう意味じゃなくて……っ。もしツキシロ自身が飼えなくなるような環境になっても、最後まで飼い続けるのかなって思って……。変なこと聞いてごめん。
(月白が微かに口元を緩めて笑う)
月白: 何そんなに焦ってんのよ? 冗談だよ、冗談〜。サエキがそんな悪い目的で聞いてくる男の子じゃないことくらい、私だって分かってるもん。
(サエキが大きく安堵の息を吐き出しながら)
サエキ: ああ……そ、そうか……。冗談だったのか……。
月白: 答えを言うならね、私は『絶対』に最後まで飼い続けるよ。責任を持って育てる。……だって、ベガは私を立ち直らせてくれた大切な存在だから。
(月白がサエキの目をじっと見つめる)
月白: まぁ、私を立ち直らせてくれた人は『もう一人』いるんだけどね。……その人と、これからもずっと一緒にいられるのかなって、最近よく考えちゃうの。
(そんな風に少し寂しげに語る月白の姿を、サエキはぽかんと見つめる)
サエキ: 誰だよそれ。また動物か? それとも人間?
(月白が人差し指を自分の唇に当てながら悪戯っぽく微笑む)
月白: 秘密〜。いつか分かるよ、きっとね。
サエキ: あ……ああ、そうか。
サエキ: だけどさ、ツキシロが『これからも一緒にいられるかな』って心配してたろ。
月白: うん、それがどうしたの?
サエキ: 俺もその人が誰かは知らないけど……きっと、その人もツキシロを置いてどこかへ行ったりはしないと思うぞ。
(月白が驚きに目を見開き、少し震える指先を隠しながらサエキを凝視する)
月白: え……? 何で……何でそう思うの……?
サエキ: だって、その人もきっとツキシロに好意があるから助けてくれたんだろ。だから、その人とツキシロはこれからもずっと一緒にいられると思う……って、なんとなく思っただけだよ。
(月白の顔が耳の裏まで一瞬でカッと真っ赤に染まる)
月白: そ……そうかな? 私に好意があるから助けてくれた……。たとえあの時、周りの友達に命令されて近づいただけだったとしても、わざわざ助けてくれたってことは……それって、好意があるって意味なのかな……?
サエキ: まぁ……俺も詳しくは分かんねぇけど、多分そういうことなんじゃねぇか?
(月白がサエキを見つめ、満面の笑みを浮かべて声を弾ませる)
月白: サエキ! 私、その人とこれからもずっと一緒にいられる気がしてきた! ありがとね!
サエキ: ん? あ……ああ。……でも、その人って何か俺と似て……。
(月白がパニックになり、勢いよくサエキの言葉を遮る)
月白: あ! ああーっ! もう飲み物全部飲んじゃったね!? そ、そろそろ……行こっか!
サエキ: え? ああ……もうこんなに時間が経ってたか。そうだな、行こう。
(カフェを出ていく月白とサエキの後ろ姿を、遠くからじっと見つめる人影があった)
???: あれって……ハル、だよな……?
次回のエピソードも楽しみにしていて、お付き合いいただき、いつもありがとうございます!




