第17話:初めてのデート、優しい嘘の特権
ここまで楽しんで頂きありがとうございました!
(電話が切れ、自分の失態に気づいたサエキが頭を抱え込む)
サエキ: ああ、クソっ! ツキシロとカフェに行くって伝えるの忘れてた! 恋愛の先輩として、アドバイスとか訊き出そうと思ってたのに!
サエキ: かと言って、また電話をかけ直したら……クドの性格上、絶対にキレるよな。まぁ、仕方ねぇか……。
(クドは一度に用件を済ませるのを好むタイプだ)
(その時、サエキのスマホにメッセージが届く)
月白: 『明日12時に、@@カフェで待ち合わせね! 先に入って席取っててくれてもいいよ!』
サエキ: マジで行くんだな……あいつは何も知らずにさ。……あー、もう分かんねぇ。風呂入って寝よ。
(一方、ベッドに横たわっている月白の部屋)
(月白は嬉しそうに布団の上でゴロゴロしている)
サエキ(M): こういうのを……。
月白(M): こういうのを……。
(二人が別の場所で、同時に同じ言葉を頭に浮かべる)
サエキ・月白(M): 『デート』って、言うのかな……?
(翌朝)
(月白がガバッと勢いよく目を覚ます)
月白: 急いで準備しなきゃ……。まだ眠いなぁ……。サエキはもう起きたかな。
(一方、サエキの部屋)
サエキ: 何でこんなに時間が経つの早ぇんだよ……。もう10時か。
(月白が鏡の前で、真剣な表情で服を選んでいる)
月白: うーん……この服が良いかなぁ、それともあっちが良いかな……。でも、大切な日には……やっぱりこの服だよね!
サエキ: いつものパーカーでいっか。ツキシロもどうせラフな格好で来るだろ。
(そうして12時になり、サエキが待ち合わせのカフェに到着する)
サエキ(M): ちょうど12時だけど……ツキシロはもう来てるか?
(立っているサエキに向かって、月白が声をかける)
月白: サエキ! こっちこっち!
(月白の姿を見たサエキが、衝撃で完全にフリーズする)
サエキ(M): ……マジでツキシロか……? あいつが、あんな綺麗な白いワンピースを着てくるなんて……。
(サエキが月白の向かい側の席に腰掛ける)
(サエキは、自分が着てきたラフなパーカーと、月白の気合いの入った服装を何度も交互に見比べる)
月白: どうしたの、サエキ?
サエキ: いや……その。俺、ちょっとラフすぎる格好で来ちゃったなと思って……。
(その言葉を聞いた月白が、嬉しそうにふふっと笑う)
月白: ううん、そんなことないよサエキ。私はその飾らない感じが好きだな。誰が見てもサエキらしくて素敵だよ!
サエキ(M): ……これ、褒められてんだよな……?
月白: じゃあ、飲み物注文しに行こっか。
サエキ: え? ああ……そうだな。俺はアイスコーヒーにするけど、ツキシロは何にするんだ?
月白: 私はね……甘酸っぱいレモンエイドにする!
サエキ: 分かった、俺が注文してくるよ。
月白: うん、ありがと!
(サエキが注文カウンターへと向かう)
サエキ: アイスコーヒーとレモンエイドを一つずつください。あ、ストローはレモンエイドの方にだけお願いします。
店員: かしこまりました! ……あの、お客様。大変不躾なお願いなのですが、もしかしてお二人は……カップルでいらっしゃいますか?
(サエキの耳の先端がカッと真っ赤に染まる)
サエキ: え……は、はい? 唐突に何ですか?
店員: あ、申し訳ありません! こちらのメニュー表をご覧いただくと分かるのですが、今週までカップル限定のイベントを行っておりまして。もしカップルでのご来店でしたら、サービスで当店特製のクッキーをプレゼントしているんです!
(サエキがメニュー表を確認し、後ろの席に座っている月白を一度振り返る。そして再び店員に向き直り、ぶっきらぼうに口を開く)
サエキ: ああ……。ええ、俺たちカップルです。これでいいですか?
店員: はいっ! ありがとうございます。ご注文承りましたので、こちらの番号札をお持ちになってお待ちください!
(サエキがどこか落ち着かない気まずい気分のまま、席へと戻ってくる)
月白: 注文できた?
サエキ: ああ……一応、できた。
月白(M): 何だろ、サエキのやつ……少し元気がないように見えるけど。注文する時に何かあったのかな……?
次回のエピソードも楽しみにしていて、お付き合いいただき、いつもありがとうございます!




