第10話: 重なる足跡、猫に似た君
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(そうして二人は路地裏を抜け出す)
(サエキと月白が、少し気恥ずかしそうに歩いていく)
サエキ: ツキシロ、お前もここが帰り道なのか?
(月白が驚き、サエキの顔を見つめながら)
月白: え? あ……う、うん! 私もこの道が帰り道だよ!
サエキ: そっか。なんか良いな……こうやってツキシロと一緒に帰るの。
(月白の顔がカッと赤くなり、サエキを見つめながら上ずった声で言う)
月白: な……何言ってんのよ!?
サエキ: え? いや、ただツキシロと一緒に帰れて良かったなって言っただけなんだけど……ツキシロは嫌だったか?
(月白が慌ててブンブンと首を横に振る)
月白: ううん、ううん! 違うの、すっごく嬉しい! すっごく嬉しくてびっくりしただけ!
(サエキが月白を見つめ、優しく微笑みながら言う)
サエキ: そっか。そこまで『すっごく』嬉しいんだ? 俺と一緒に帰るのが。
(月白が故障したロボットのように言葉を詰まらせる)
月白: え? あ……あ……その……。
サエキ: じゃあ、俺も訂正するわ。俺も『すっごく』嬉しいよ、ツキシロと一緒に帰れて。
(月白の顔がさらに真っ赤に染まっていく)
月白: え? え……? うん!……ありがと!
(サエキはそんな月白の様子を見て、愛おしそうに笑う)
(そうして二人が道を歩いている途中のこと)
(月白が視線の先にあるものを発見する)
月白: あ、猫ちゃんだ!
(月白がトコトコと猫の方へ近づいていく)
(サエキはその月白の後ろ姿を優しく見つめている)
(猫の前にしゃがみ込んだ月白の隣に、サエキも静かに腰を下ろす)
月白: 君、お顔がすっごく可愛いねぇ〜? へへっ。
サエキ(M): 思ってた以上に、本当に猫が好きなんだな……。
サエキ: 人懐っこい猫だな。初対面なのに逃げようともしないし。
月白: 本当だね〜。私、こういう猫ちゃん大好きなんだよね。まぁ、猫ならみんな好きなんだけど。
(月白がサエキと猫の顔を何度も交互に見比べる)
サエキ: ……何だよ? 俺の顔に何かついてるか?
月白: あ……ううん。ただ、この猫ちゃん、なんかサエキに似てるなって思って。
サエキ: それって、良い意味だよな?
月白: うん! もちろん、すっごく良い意味だよ。
(サエキは猫を撫でている月白の横顔をじっと見つめながら、ハッと考える)
サエキ(M): 待てよ……俺がこの猫に似てるってことは……。
(サエキの脳裏に、さっき月白がこの猫に向かって言った言葉がフラッシュバックする)
(月白: 『君、お顔がすっごく可愛いねぇ〜?』)
(サエキが冷や汗を流しながら)
サエキ(M): いや、まさか……俺の顔が可愛いって意味なのか……? 一体どういうニュアンスで言ったんだよ……。
(悶々としたサエキが、誤魔化すようにその場から立ち上がる)
サエキ: ほら、もう行こうぜ、ツキシロ。そろそろ暗くなる。
月白: え〜? もう少し猫ちゃん見てたいな……この子、本当にお顔が可愛いんだもん。
サエキ: そうやってのんびりしてて、また暗くなったら怖いって泣き出すだろ。
(月白がサエキをキッと見上げる)
月白: なにっ!? 自分の家までくらい、一人で帰れるもん……だ、し。
月白(M): でも、よく考えたらやっぱり暗くなったら怖いかも……。
(月白が諦めてその場から立ち上がる)
月白: わかったよ、もう行こっか。思ったより遅くなっちゃったね。
(去り際に猫を見つめながら)
月白: また来るね、可愛い猫ちゃん。明日もここにいてね!
(そうして再び歩き出す二人)
(月白は歩きながらも、何度もサエキの横顔に視線を送る)
サエキ(M): なんだ……? さっきから視線を感じるんだけど。
月白(M): サエキって、やっぱり猫にそっくりだな。
(二人が歩いていくうちに、先に月白の家の前に到着する)
月白: 私、ここが家だから、先に行くね。
サエキ: ああ、うん。気をつけてな、また明日。
(月白が踵を返して歩き出したサエキの背中に向かって、思い切って声をかける)
月白: サエキ!
サエキ: ん?
月白: これから……これからも、一緒に帰ってくれる……?
(サエキは一瞬ポカンとした後、ふっと嬉しそうに笑って答える)
サエキ: ああ、いいよ。これからも一緒に帰ろう。また明日な、ツキシロ。
(遠ざかっていくサエキの後ろ姿を見つめ、月白がぶんぶんと手を振る)
月白: う……うん! 気をつけてね、また明日!
(月白が家に入ると、飼い猫のベガが嬉しそうに出迎えてくれる)
(月白の目がパッと輝く)
月白: ただいま、ベガ! 留守番ありがとね。聞いて、私、今日は最高の気分だよ!
(一方、サエキの側)
(自宅へと向かって一人で夜道を歩くサエキ)
サエキ(M): ああ、クソ……さっきからずっと頭から離れねぇ。あの猫に似てるって……一体どういう意味なんだよ……。
(そんなことを考えながら歩いていたサエキの目に、一匹の猫が飛び込んでくる)
サエキ: お前……さっきの猫じゃん。ってか、何で先回りしてここにいんだよ?
(サエキがポケットからスマホを取り出し、カメラを向ける)
サエキ: よし、撮れた。大人しくしててくれてありがとな。
(サエキが満足そうに自宅に到着する)
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!
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