初めての円卓会議 ---- 前編
「ハロルド! 円卓会議をするわよ、今からいうメンバーを集めてきなさい!」
「円卓会議? なしたんだ急に?」
「不倫だから円卓会議なのよ! こうしちゃいられないわ、早く調べないと!」
父様の不倫疑惑を聞いて驚いた私は、情報を集める為のメンバーを考えた。ジンバ先生はもちろん、侍女長と副隊長は外せない。もう一人くらいいないかしらと庭を見ていたら、庭師長を思い出し即決した。
「エレナ---- 何故そのメンバーな---」
「ハロルド、時間がないの。一刻を争うのよ!」
ハロルドを部屋から追い出し、会議の準備に取り掛かる。不倫と聞いて思い出したのはアーサー王。
アーサー王といえば円卓会議だ。我が騎士を集め話し合うなんて素敵だわ、本を読んでて良かった。
侍女に頼んで四角いテーブルから丸いテーブルへと変えてもらう。テーブルの周りに椅子を配置しお茶を置けば完成だ。
後は---- 剣よね!
剣がないか侍女に尋ねたが上手くかわされてしまう。仕方なくペーパーナイフを用意して貰った。
---- 次に街へ行った時に買うしかないわね。何だかワクワクしてきたわ!
「エレナ、皆集めてきたぞ」
「ハロルド有難う! 皆よく来たわね、椅子に座って頂戴!」
皆を椅子に座らせて、私は順々にメンバーの顔を見ていく。ジンバ先生と侍女長は相変わらずだが、庭師長と副隊長はどこか楽しげだ。
「さあ、円卓会議を始めましょう!」
ペーパーナイフをテーブルの真ん中に突き刺すが、全く刺さらずコテンと横に倒れてしまった。
まっ--- まあいいわ。
「コホン。今日の議題は父様の不倫疑惑よ。先程母様が泣いていたの、何か情報を持っているなら私に教えなさい!」
決まったわ! 後は剣が刺されば完璧ね!
「エレナ、フリンとは何だ?」
「ああ、不倫は結婚してるのに奥様以外と体の関係を結ぶ事よ?」
「体の関係---- しかし王ならば許されるのでは?」
------ そうだった。この世界では愛人や側妃は当たり前だ。父様に側妃がいないから忘れてたわ。
「でも母様が泣いてるの。何でも侍女の1人といい関係みたいなのよ----」
しゅんとしながら椅子に座る。自分の残念さと母様の悲しみに胸が痛くなった。
「ほっ。エレナ殿下はアマリーリア陛下を心配しとるんじゃな」
「エレナ殿下のお願いならばお話しましょう」
「私も噂は聞いてます。庭では色んな話が聞けますからなあ」
「では私から話しましょうか、最近侍女の子から仕入れたばかりです」
「皆---- 有難う。副隊長聞かせて?」
「私の聞いた話ですが----」
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「まあ、つまり夜中に王の部屋から出てきたのが噂の発端ではないかと」
ペラペラと話す副隊長は手振りまでつけている。
円卓会議やらフリンやらまた訳が分からない事ばかり。しかも集めたメンバーは城内でもある種有名な人ばかりだ。
「じゃあ次は私が---- 庭で聞いた話ですと、既に何度も王の部屋へ行っているようですなあ。堅物かと思っていましたが、お盛んなご様子。侍女であるシルビア様がお相手のようですよ。シルビア様の旦那様は昨年亡くなったばかり、お寂しいのでは?」
ニタニタと笑う庭師長に腹が立つ。どうして名前まで出すんだ、エレナは知らなくていいだろ。
「私はジーナと聞いていましたが、シルビア様ですか? 侍女達の間ではジーナがお部屋に呼ばれたと話題でしたわ。何でも、陛下に見初められたとか」
侍女長から新しい名前が出てきて驚く。ジーナ? 誰だそれは?
「シルビア様にジーナ? 二人いたの?」
エレナが落ち込んだ様子で下を向いたので、エレナの手をそっと握った。
「エレナ、まだ確かな証拠はないだろ。分からないんだから調査しよう」
「ハロルド---- そ、そうよね! まだ分からないものね! ジンバ先生は何か知ってる?」
「ほっ。わしゃシルビア様とは茶飲み友達だからの。陛下に慰めて頂いたと言っていたのう」
完璧に黒じゃねえか! まずいな、エレナが暴走する姿が想像出来る。
「慰めて頂いたあ?! もう間違い無いじゃない!」
「まあまあ、慰めるといっても色んな方法がありますから。私なら----」
「ほかにどう慰めるの? 部屋から出てきたんでしょう?」
「エレナ殿下、副隊長は女好きで有名です。あまり気にされませんようお願いします」
「酷いなあ。これでも一途なんだけど」
「どこがです? 貴方に泣かされた侍女は沢山いるんですよ?」
「そこらへんにしたらどうですかなあ。一先ず調査をしましょう。エレナ殿下お時間頂けますかな?」
「ええ、皆宜しく頼むわね」
メンバーが部屋から退室しエレナと二人きりになった。だらしなくソファへ座るエレナの為、お茶を入れ直しテーブルへ置く。
「俺達はどうする? どこかに話を聞きに行くか?」
「そうね----- もう二人だなんて父様の事軽蔑してしまいそうだわ!」
---- 軽蔑。当たり前の風習であるのに何でこんなにエレナは騒ぐんだ? そもそも今まで側妃がいない状態があり得ない。
前王には二人の側妃の他愛人もいたと聞いてる。血を残す為には仕方ないと思うが----
「あー、頭がパニックよ。ハロルド、何かいい案ないかしら?」
「とりあえずアマリーリア陛下の侍女に話を聞いてみたらどうだ?」
「それよ! 早速行くわよ! 絶対証拠を見つけてやるんだから」
勇足で歩くエレナを見て気を引き締める。あまり騒がないよう俺が見ていないと----
俺は立ち上がり、エレナの後ろを歩きながらつい息を吐いてしまった。
読んで頂き有難う御座います。
後半はまた来週の週末に更新します!




