24.閑話 --不思議ね-- ハロルド視点
ブクマ有難うございます!
今回はハロルド視点のみです。
「あぁ、もうどこにあるのかしら!」
「----------------」
壁を一心不乱に触り続けるエレナを見て、先程の姿を忘れる。
タケダシンゲンとソンシに感動した気持ちを、是非に返して貰いたい。
「ハロルド! ぼうっとしてないで手伝って!」
「---------------」
ハアッと息を吐き出し、エレナと同じように壁を触る。アマリーリア陛下が現れたのは、流石の俺も驚いたが、一体いつこの部屋に仕掛けを作ったんだろうか。まあ、学院に入ってからだろうな。
「もう! いくら触っても分からないわね。こっちの壁だと思ったのに! それとも、家具の裏とかなのかしら?」
エレナはそう言うと、床に這いつくばり棚の下やソファの下を覗いている。
------ まるで猫のようだな、そんな所から出てくる訳ないだろうに------
「エレナ、少し休憩しないか? 疲れただろう?」
窓の外を見れば、暗い空が広がり夜を迎えている。俺もそろそろ帰らないと、母様や父様が何を言うか分からないからな---- 進展も何もあったもんじゃないのに、毎回会う度聞くのはやめて欲しい。
「そうね------ もう気になってしょうがないわ」
ソファに音を立てて座るエレナは、座りながらもキョロキョロと目を動かしている。
新しく淹れたお茶をエレナの前に置けば、エレナはマナーを無視して両手でカップを持ち上げた。
一体いつそんな飲み方を覚えたのか---- 俺もいつもの様にエレナの横に腰を下ろし、ゆっくりとお茶を味わう。
いつもより感情を動かしたからか、体が少しだけ気怠い。今日は色々あったからな---- 帰って横になってから、明日の事を考えるか---- 作戦前にアリステア殿下と話したいからな。
「ねぇ、ハロルド。私、不思議の国のアリスが頭から離れないの」
------ アリス? また何の話だ?
「何だか、女王と不思議とお茶と扉から連想しちゃうのよね。母様は女王ではないんだけど、間違いではないでしょう? 」
「----------」
全然分からん。これは話しを聞くべきなのか?
チラリとエレナを見るが、妄想しているのか一人でクスクスと笑っている。
「何か、アリスって可愛いのよね。出てくる動物達も可愛いし、狂ったお茶会って可笑しいわよね。アリス怒って扉から出て行くのよ」
------ 何だ? 狂ったお茶会? どんなお茶会なんだ? 怒って出て行くアリスが正しいだろ。
「あぁ、可笑しい。アリスってウサギを追いかけて穴に入るんだけど、ワタシヲオノミって書かれた小瓶の中を飲むと小さくなって、ワタシヲオタベって書かれた食べ物を食べたら大きくなるのよ、楽しいわよねー私なら小さくなってみたいわ。でも最後は全部アリスの夢なのよね、凄い発想だわ」
--- そんな怪しい物、俺なら口にしないな。まあ、夢ならば食べるかもしれないが----
それにしても、エレナはどこから物語を仕入れてくるんだ? 今回はまだまともそうな話しだが、魔女は多すぎるし、母親が怖すぎる。
今までだと---- そう、ハーメルンの笛吹き男の話しが一番怖ったな、エレナには言えないが、小さい頃夜が怖くて何回か泣いたし。
今考えたら街のやつらは最低だな、報酬を払わないなんて仕返しされて当然だが、笛吹き男も普通子供を連れてく程怒るか? はあ---- やっぱり気に食わない。
「エレナ、ちょっと聞いていいか?」
「なあに? 何か気になった?」
「そういえば、ランスロットって誰なんだ?」
「ああー、ランスロットね。ランスロットは円卓の騎士なんだけど、アーサー王の奥様と不倫をしていたのよ。時系列をよくよく見れば、かなり歳は離れてるんだけどね」
------ 不倫。あぁ、だから円卓会議に繋がったのか。
て、あの時六歳だったよな確か。不倫の物語なんていつ読んだんだ----
「あ、そうよ! 分かったわ!」
エレナは先程までいた壁の前に行くと、いきなりしゃがみだし、今度はノックをするように、壁の端から音を鳴らしていく。いきなり音が変わり高い音が鳴ると、エレナはその周りを叩き始めた。
「ここだわ! ハロルド見つけたわ!」
エレナに近づくと、ノックするように壁を叩いて俺に音を聞かせる。
確かに音は違うが、それで何が分かるんだ? 柱があるかないかの違いじゃないのか?
「ここだけ壁が薄いのよ、絶対ここだわ! どうやって開けるのかしら?」
エレナは壁を押したり、横にズラしたりするが全く動く気配がない。
「エレナ、向こう側からじゃないと開かないんじゃないか? お前の母様はエレナが探すと分かっているだろうから、安易に作らないだろ」
「ええー! それじゃあ、私からは行けないって事? 折角チャンスかと思ったのに----」
------ チャンス? またどこの言葉だ?
「ああ、もう思うようにいかないわね! 折角母親様の部屋から盗めるチャンスだったのに!」
エレナの言葉に驚く。盗む? アマリーリア陛下から何を盗むんだ? 初めてエレナを怖いと思う。
「もう、私の作った抱き枕返してよー! 気に入ってたのに!」
------ アマリーリア陛下は、抱き枕を抱いて寝るんだな。知らなかった。
「エレナ、そんなに欲しいならまた作ればいいだろ?」
エレナはキッと俺を見ると、涙を浮かべて怒り出した。
「あれは、ハロルドが初めて作ってくれたやつじゃない!」
「------------」
--------- 何だろう、凄く嬉しい。今までこんな展開あったか?
「もう、ハロルドには思い入れないのね、私にとっては初めて開発したやつなのに! あの綿の感じ再現出来ないのよ!」
今日は早く帰るの諦めるか------ そういえば女王の話し聞いてなかったな。
しゃがみ込んだままのエレナを抱き寄せて、落ち込むエレナの背を優しく撫で続けた。
不思議の国のアリスは、出てくるキャラクターが面白いですよね。
鏡の国のアリスから母親に読まされた私としては、鏡の国の方が懐かしく感じますが------
何故鏡の国からだったんでしょうね。
ハーメルンの笛吹き男には色んな説がありますね。
グリム兄弟を含む他の人と記録している物語。
130人もの子供がいなくなるお話しは、今思えばちょっと怖いです----
ブクマ、感想、評価有難う御座います!
是非また宜しくお願いします!




