表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『佐和山若旦那録 〜湯宿の若旦那、石田三成として帰る場所を守る〜』  作者: 天手古まい
第二章 小さき湯番と、肥後の虎

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/48

挿話 三湯 清正、草鞋を干す

今回は、挿話三湯です。


清正が佐和山に泊まった翌朝のお話になります。

まだ素直に礼を言えるほど丸くはない。

けれど、何も感じていないわけでもない。

そんな不器用な男が、濡れた草鞋を干すだけの回です。

湯気と草鞋と、少しだけ面倒くさい友情未満をお楽しみください。

挿話三湯 清正、草鞋を干す


 夜明け前の佐和山は、湯気の白さと霧の白さがよく似ていた。


 城の石垣は朝露に濡れ、庭先の土は昨日の雨をまだ含んでいる。踏めば、じわりと湿り気が返ってくるような朝だった。


 そんな庭先の片隅で、ひとりの大男がしゃがみ込んでいた。


 加藤清正である。


 清正は、濡れた草鞋を手に取り、火鉢のそばへ並べていた。


 それも、ただ放っているのではない。鼻緒の向きを整え、泥を落とし、火に近すぎぬよう、遠すぎぬよう、妙に真面目な顔で置いている。


「……何をしている」


 通りかかった三成は、思わず足を止めた。


 清正は振り向きもせずに答えた。


「見れば分かろう。干しておる」


「いや、それは分かる。なぜお前が自分で干している」


「草鞋は己の足で履くものだ。己で始末するのが筋であろう」


「……そこだけ律儀だな」


「そこだけ、とは何だ」


 清正がようやくこちらを向いた。


 朝の薄明かりの中でも、その眉間の皺だけははっきり見える。


 三成は軽く息を吐いた。


 昨夜、清正は結局、佐和山に一晩泊まった。


 泊まった、と言っても、素直に客として湯殿へ入り、飯を食い、布団で眠ったわけではない。


 湯は「汗を流すだけだ」と言い、飯は「腹を満たすだけだ」と言い、布団は「横になるだけだ」と言った。


 いちいち面倒くさい。


 だが、湯を出たあとの顔は少し緩んでいたし、飯の椀はきれいに空になっていたし、布団にはしっかり人の形の跡が残っていた。


 つまり、かなり満喫していた。


 本人だけが認めていない。


 三成は、現代の湯宿で何度もそういう客を見てきた。


 素直に「良かった」と言えない客ほど、帰り際に妙なことをする。


 玄関の履物をやたら丁寧に揃えたり。


 売店の饅頭を、何でもない顔で多めに買ったり。


 番頭に「悪くなかった」とだけ言い残して、翌年も同じ日に予約を入れたり。


 清正は今、その戦国版をやっている。


 濡れた草鞋を、無言で干している。


「替えの草鞋なら用意させる」


 三成が言うと、清正は短く鼻を鳴らした。


「いらん」


「濡れた草鞋では足を痛める」


「承知しておる」


「承知していて履くのか」


「乾けばよい」


「だから替えを出すと言っている」


「借りは作らん」


「草鞋一足で借りと言うな」


「言う」


 面倒くさい。


 大変に面倒くさい。


 三成は額に手を当てた。


 すると、背後から鈴の音がした。


 ちりん、と水を弾くような音。


「まこと、面倒な熊じゃのう」


 白那だった。


 いつの間に来たのか、井戸端の石に腰掛け、小さな足をぷらぷらさせている。


 手には団子。


 朝から団子。


 しかも二本。


「誰が熊だ」


 清正が低い声で言う。


「熊に失礼であったか?」


「そちらではない」


「では虎か。肥後の虎とは、よく言うたものよ。濡れた草鞋を抱えて唸る虎など、見たこともないがの」


 白那は団子をひと口かじり、頬をふくらませた。


「これは供物じゃ」


「まだ何も言っていない」


 三成が言うと、白那は当然のように胸を張った。


「言われる前に言うておくのが、水守の知恵じゃ」


「ただの言い訳だろう」


「黙れ、湯番。朝の供物は格別なのじゃ」


 清正は白那をしばらく見ていた。


 昨夜、力を使った反動で幼くなった白那を見た時も、清正は何とも言えない顔をしていた。


 口の悪い小さな水守。


 だが、その力は人の身の理を少し越えている。


 信じるには妙で、疑うには目の前にありすぎる。


 清正のような男にとって、それはさぞ扱いにくい存在だろう。


「お前は、いつもそれを食っているのか」


 清正が言った。


「それ、とは何じゃ」


「団子だ」


「供物じゃと言うておろう」


「誰からの供物だ」


 白那は団子の串をぴたりと止めた。


 そして、堂々と言った。


「主に、わしからわしへの供物じゃ」


「……己に供えるな」


「水守は尊いゆえな」


「己で言うな」


 三成は思わず口元を押さえた。


 清正と白那の会話は、剣呑なようでいて、妙に噛み合っている。


 いや、噛み合っているというより、互いに譲らない者同士、真正面からぶつかっているだけかもしれない。


 清正は再び草鞋へ視線を戻した。


 火鉢の熱が、濡れた藁の匂いを少しずつ立ち上らせる。


 湯気とは違う。


 飯の香りとも違う。


 旅の匂いだった。


 土を踏み、水を越え、雨に打たれ、人の家に泊まり、また出ていく者の匂い。


「……佐和山は、妙な所だ」


 清正がぽつりと言った。


「今さらか」


 三成が返す。


「城に湯があり、飯があり、幼子のような神もおる」


「幼子のような、は余計じゃ」


 白那が団子を掲げる。


「しかも城主が、客の草鞋にまで口を出す」


「足を痛められては困るだけだ」


「敵か味方かも定まらぬ者にか」


 清正の声は、低かった。


 朝霧の中に、昨夜までの温みが少しだけ冷える。


 三成は清正を見た。


 かつては同じ豊臣のもとにいた。


 同じ戦場を見た。


 同じものを守ろうとしたはずだった。


 だが、今は同じ方角を見ているとは言い難い。


 秀吉亡き後、豊臣の家中は静かに、しかし確実に軋み始めている。


 清正もまた、その軋みの中にいる男だった。


 まっすぐすぎて、曲がれない。


 だからこそ、三成とはぶつかる。


「敵か味方かで、濡れた草鞋は乾かん」


 三成は言った。


 清正が目を細める。


「何?」


「敵でも味方でも、濡れたまま歩けば足を痛める。足を痛めれば、次の道で倒れる。倒れた者を見れば、周りの者が乱れる」


 三成は火鉢のそばにしゃがんだ。


 清正の草鞋を手に取る。


 泥の落とし方が荒い。


 雑ではないが、武人の手だ。


 湯宿の若旦那としては、少しだけ気になる。


「帰る者には、無事に帰ってもらう。それが宿の務めだ」


「ここは宿ではない。城だ」


「分かっている」


「ならば、なぜ宿のような顔をする」


 三成は草鞋の泥を指で落としながら、少し笑った。


「癖だ」


「癖で城を動かすな」


「耳が痛いな」


「本当に分かっておるのか」


「分かっている。だが、城だからといって、人が休んではならぬ道理もない」


 清正は黙った。


 白那も、その時だけ団子を食べる手を止めた。


 庭先の向こうで、井戸の水音がした。


 からん、と桶が揺れる音。


 それに続いて、小さな足音が近づいてくる。


「父上」


 娘だった。


 まだ寝起きの名残を残しながらも、小さな手に乾いた布を持っている。


 その後ろから、侍女が慌てて追ってきた。


「姫様、朝露で裾が濡れます」


「でも、草鞋が濡れていると聞きました」


 娘は三成の隣にちょこんとしゃがみ、清正を見上げた。


「お客様の草鞋ですか?」


 清正の眉が、さらに険しくなった。


「客ではない」


「では、父上のお知り合いですか?」


「……まあ、そんなところだ」


 三成が答える。


 娘は納得したようにうなずき、持っていた布を差し出した。


「これで拭くと、早く乾くそうです。白那さまが、前に教えてくださいました」


「わしは、そんな細かなことまで教えたかの」


 白那が首を傾げる。


「教えてくださいました。濡れたままにすると、足が冷えて、心まで意地を張ると」


「うむ。なかなか良いことを言うておるな、わしは」


「自分で感心するな」


 三成が言うと、白那は二本目の団子を守るように抱えた。


「湯番、嫉妬か?」


「何にだ」


 娘は清正の前に布を置いた。


 清正は、それを見て固まった。


 大男が、小さな布一枚を前にして固まっている。


 戦場で槍を振るう男が、幼い娘の厚意をどう扱えばいいのか分からず、完全に困っている。


 三成は内心、少しだけ笑いそうになった。


 もちろん、顔には出さない。


 出したら面倒なことになる。


「……いらぬ」


 清正が低く言った。


 娘の肩が、ほんの少し下がる。


 だが清正は、すぐに言葉を継いだ。


「いや」


 その大きな手が、布を取った。


「借りる」


 娘の顔がぱっと明るくなった。


「はい」


「だが、これは借りだ。返す」


「布ですから、お返しは大丈夫です」


「返す」


「では、乾いたら父上に渡してください」


「……承知した」


 清正は布で草鞋を拭き始めた。


 大きな手に、小さな布。


 どうにも不釣り合いだった。


 だが、その手つきは乱暴ではない。


 泥を落とし、水を吸わせ、鼻緒を整える。


 娘はその様子をじっと見ていた。


「草鞋も、お風呂に入ったみたいですね」


 清正の手が止まった。


 三成も止まった。


 白那だけが、ぷっと吹き出した。


「草鞋の湯治か。よいではないか」


「草鞋は湯に入らん」


 清正が言う。


「でも、きれいになりました」


 娘は真面目な顔で言った。


「歩くものも、休ませてあげないといけないのですね」


 清正は何も言わなかった。


 ただ、少しだけ目を伏せた。


 その横顔を見て、三成は不意に胸の奥が静かになるのを感じた。


 歩くものも、休ませてあげないといけない。


 子どもの言葉は、時に真っ直ぐすぎる。


 清正もまた、ずっと歩いてきた男だった。


 豊臣のため。


 武功のため。


 己の信じる筋のため。


 立ち止まることを知らぬまま、前だけを見てきた。


 だから濡れた草鞋ひとつにも、意地を張る。


 借りを作りたくない。


 弱みを見せたくない。


 礼を言えば、何かを認めてしまう気がする。


 三成にも、少しだけ分かる。


 分かってしまうのが、また面倒だった。


「清正」


 三成は言った。


「何だ」


「乾くまで、朝餉を食え」


「いらん」


「味噌汁がある」


「いらん」


「握り飯もある」


「いらん」


「焼き魚も少しある」


「……少しとは、どれほどだ」


 白那が目を細めた。


「虎が釣れたぞ」


「釣られておらん」


 清正が即座に返す。


 三成は肩をすくめた。


「食わぬなら下げさせる」


「待て」


「食うのか」


「残すのは、作った者に失礼だ」


「まだ出していない」


「ならば出せ」


「結局食うのではないか」


「残さぬためだ」


「便利な理屈だな」


 娘がくすくす笑った。


 清正は気まずそうに咳払いをする。


 その時、白那が石から飛び降りた。


 小さな足が、濡れた土を踏む。


「ならば、わしも朝餉を所望する」


「お前は団子を二本食っただろう」


「団子は供物。朝餉とは別腹じゃ」


「その別腹、いくつある」


「水守に数を問うとは無粋な」


 白那は当然のように娘の隣へ立った。


 娘は嬉しそうに白那の袖をつまむ。


「白那さまも一緒に食べましょう」


「うむ。小さき湯番は分かっておる」


「私は湯番なのですか?」


「見習いじゃ。まだ桶が少し重かろう」


「はい。昨日、少しこぼしました」


「こぼした水も、戻れば水じゃ。泣くほどのことではない」


「はい」


 三成は、そのやり取りに少し目を細めた。


 白那は口が悪い。


 態度も大きい。


 団子への執着はもはや神域である。


 だが、娘に向ける言葉は、不思議とやわらかい。


 清正もそれを見ていた。


 見て、何か言いかけて、やめた。


 その沈黙が、朝霧の中で少しだけ溶けた。


 やがて一同は、簡素な朝餉の席についた。


 湯気の立つ味噌汁。


 握り飯。


 焼き魚。


 漬物。


 派手な膳ではない。


 だが、冷えた朝には十分だった。


 清正は最初、いかにも仕方なく箸を取った。


 そして一口。


 味噌汁を飲む。


 眉間の皺が、ほんのわずかにゆるむ。


 三成は見逃さなかった。


「どうだ」


「普通だ」


「そうか」


「……悪くはない」


「そうか」


「何を笑っておる」


「笑っていない」


「笑っておる顔だ」


「元からこういう顔だ」


「嘘をつけ」


 白那が横から口を挟む。


「清正よ、諦めよ。湯番は、客が飯を食う顔を見るとにやける病じゃ」


「病なのか」


「治らぬ」


「厄介だな」


「わしもそう思う」


「お前たち、本人の前で好きに言うな」


 娘がまた笑った。


 その笑い声に、清正は箸を止めた。


 怒ったのではない。


 ただ、どこか遠いものを聞いたような顔をした。


 戦場にはない音。


 評定の場にもない音。


 勝った負けたの先では、すぐに消えてしまう音。


 佐和山には、それがあった。


 湯気。


 飯。


 水音。


 子どもの笑い声。


 そして、口の悪い小さな水守。


 清正は味噌汁の椀を置いた。


「三成」


「何だ」


「お前は、何をするつもりだ」


 場の空気が、少しだけ変わった。


 白那も、娘も、黙った。


 清正の問いは、朝餉の席に置くには重い。


 だが、いつかは避けられぬ問いでもあった。


「この佐和山を、湯宿にでもするつもりか」


「それも悪くない」


「ふざけるな」


「半分は本気だ」


「なお悪い」


 三成は箸を置いた。


「俺は、天下を湯で取るつもりはない」


「当たり前だ」


「だが、湯で戻せるものはある」


「何を」


「冷えた体。固まった心。行き場を失った者の足」


 清正は黙って聞いている。


 三成は続けた。


「戦は避けられぬかもしれん。誰かが勝ち、誰かが敗れる。それでも、敗れた者が帰る場所まで焼き尽くす必要はない」


「甘い」


「分かっている」


「その甘さで人が死ぬ」


「分かっている」


「分かっておって、なお言うか」


「言う」


 三成は清正を見た。


「俺は、勝つためだけに佐和山を残すのではない。負けた後にも、誰かが帰れるように残す」


 清正の目が鋭くなる。


 だが、その奥にあったのは、怒りだけではなかった。


 苛立ち。


 戸惑い。


 そして、ほんの少しの痛み。


「……相変わらず、分からぬ男だ」


「よく言われる」


「自覚があるなら直せ」


「努力はする」


「する気のない返事だ」


「ばれたか」


 白那が小さく笑った。


「清正よ。分からぬなら、また来ればよい」


 清正は白那を見た。


「なぜ、そうなる」


「一度で分かるものなど、たかが知れておる。水も湯も、何度も触れて、ようやく温みが分かる」


「俺に佐和山へ通えと言うのか」


「草鞋を干しに来ればよい」


「来るか」


「では団子を供えに来い」


「なお来ぬ」


「けちじゃのう」


「けちではない」


「では今度は三本じゃ」


「話を聞け」


 三成はこらえきれず、少し笑った。


 清正は不機嫌そうに握り飯を取る。


 だが、その握り飯を食べる手は止まらなかった。


 朝餉が終わる頃には、庭先の霧も薄くなっていた。


 火鉢のそばに置いた草鞋は、すっかり乾いたわけではないが、履けぬほどではない。


 清正は立ち上がり、布を丁寧に畳んだ。


 それを三成に差し出す。


「返す」


「洗って返させる」


「いらん」


「娘の布だ。泥がついたままでは叱られる」


「……ならば頼む」


 清正が渋々そう言うと、娘が笑った。


「叱りません。でも、きれいになると嬉しいです」


 清正は一瞬、言葉に詰まった。


 それから、ほんの少しだけ頭を下げた。


「世話になった」


 小さな声だった。


 だが、確かに聞こえた。


 三成は何も言わなかった。


 言えば、清正はきっと意地を張る。


 だから黙っていた。


 白那も、団子の串を口にくわえたまま、にやにやするだけに留めている。


 案外、分かっている。


 いや、こういう時だけは分かっている。


 清正は乾きかけの草鞋を履いた。


 鼻緒を確かめ、庭先の土を踏む。


 一歩。


 もう一歩。


 足取りは悪くない。


「清正」


 三成が呼ぶと、清正は振り向いた。


「次に来る時は、替えの草鞋を用意しておく」


「いらん」


「では、乾かす場所だけ空けておく」


「……勝手にしろ」


 清正はそう言い、背を向けた。


 その背中は大きく、頑固で、まだ遠い。


 けれど、完全に遠ざかったわけではない。


 庭先には、濡れた草鞋の跡が残っていた。


 佐和山の土の上に、確かに。


 白那が三成の隣に立った。


「湯番」


「何だ」


「面倒な虎じゃな」


「ああ」


「だが、足跡は残した」


 三成は庭先を見た。


 草鞋の跡。


 乾ききらぬ土。


 朝の湯気。


 それらはすぐに消える。


 風が吹けば薄れ、日が昇れば乾く。


 けれど、確かにそこにあった。


「……また来ると思うか」


 三成が問うと、白那は団子の最後のひとかけを飲み込んだ。


「来るじゃろ」


「なぜ分かる」


「草鞋を干す者は、帰る道を考えておる」


 白那は得意げに笑った。


「それに」


「それに?」


「まだ礼が足りぬ」


 三成は苦笑した。


「団子の催促か」


「違う。供物の催促じゃ」


「同じだ」


「違う」


 ちりん、と鈴が鳴った。


 井戸の水面が、朝日を受けて淡く光る。


 佐和山の一日は、いつものように始まっていく。


 敵か味方か。


 正しいか間違いか。


 そんなものは、まだ何ひとつ定まっていない。


 けれど、濡れた草鞋を干す場所くらいは、この城にあってもいい。


 三成はそう思った。


 湯気の向こうで、清正の背中が小さくなっていく。


 その足元の草鞋は、まだ少し湿っている。


 だが、歩ける。


 歩いていける。


 それだけで、今朝は十分だった。


お読みいただきありがとうございます。


挿話三湯は、清正の「礼を言えない不器用さ」を中心にしたお話でした。

三成に対して真正面から歩み寄るにはまだ遠い。

けれど、佐和山の湯、飯、人の気配に触れて、少しだけ足元が変わり始めています。

草鞋を干す、という何気ない動作が、清正なりの“受け取ったものへの始末”になっていれば嬉しいです。

次回も、佐和山の湯気とともにお付き合いいただけましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ