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第2話 影の第一歩

父の葬儀は、曇り空の下で執り行われた。雨はすでに上がっていたが、空気はまだ重く、湿っていて、土と枯れた花の匂いが混ざり合っていた。粗末な木棺が、無言のまま土の中へ降ろされた。泣く者もなければ、弔辞を述べる者もいない。銀貨三枚で雇われた祭司でさえ、早く終わらせたいとばかりに、祈りの言葉を早口で呪文のように唱えた。


レイは、従者に傘を差し掛けられながら、少し離れた場所に立っていた。黒いフードを深く被り、顔はほとんど見えない。棺の真上、地面から五十センチほどの高さに、まだタイマーが浮かんでいた。赤い数字。


0秒


それは一分ほど煌めいていたが、次第に色を失い、最後の一桁が消え去った。父は完全に死んだ。レイは笑わなかった。ただ、心の中で小さく頷いた。スキルは裏切らなかった。三日前に見た「残り三日」という数字は、わずか数時間の誤差だった。それで十分だ。


傘を差す従者は震えていた。冷えからではない。恐怖からだ。彼は、この若き領主が暗殺者たちに何をしたかを知っていた。遺体は市場で見つかった。一人は首の骨が変な方向に折れ曲がっていた。もう一人は頭蓋が潰れていた。最後の一人は、崩れた荷車の下敷きになっていた。誰も説明できなかった。誰も知りたがらなかった。


レイは踵を返し、城へ向かって歩き出した。黒いマントが風に揺れ、裾が水たまりを叩き、泥水を跳ね散らす。執事――かの陰謀を企てた、震える老人――が門の前に跪いて待っていた。


「若様、ご報告が…」


レイは一瞥した。一瞬、視線を止めた。執事の頭上に浮かぶ赤い数字は安定していた。


5年


五年。数字は揺れていない。老人は嘘をついていない。今のところは。レイは黙ったまま通り過ぎた。執事を水たまりに跪かせたまま。


城は音を殺して彼を迎えた。刃物ででも切り裂けそうな、濃密な沈黙。すれ違う使用人たちは壁際にへりくだり、頭を下げる。目を合わせる者はいない。声を発する者もいない。


レイは執務室へ向かった。かつて父が使っていた部屋。今は自分のものだ。部屋は広く、ほとんどが空虚だった。中央に置かれたオーク材の机には傷が多く、ブロンズの装飾もくすんでいた。右側の窓は曇っていて、中庭を見下ろしている。左には暖炉があるが、冷え切って灰で詰まっていた。壁際にはいくつかの椅子が置かれていたが、背もたれは傾き、誰も座った形跡はない。


机の上で古びた地図を広げた。インクは色あせ、紙はヨレヨレだった。そして、ほとんどが赤く塗られていた。


「赤は何だ?」


レイの声は無機質だった。執事が入口に立ち尽くす。


「我々が支配していない土地でございます…魔物、山賊、近隣の諸侯…納税していない全ての土地でございます。」


赤い斑点は、レイにとって見慣れた光景だった。かつての職場、企業の最初の数日を思い出させる。全てのデータが赤字を示していた。あの時は乗り切った。今もそうするだけだ。


「この城で権力を持つ者を全て集めろ。一時間後に大広間だ。遅れるな。」


執事は頭を下げ、後ずさりしながら部屋を去った。主に背中を向けることを恐れているかのように。


大広間は霊廟のように冷たかった。石壁と高い窓からは灰色の光がわずかに差し込むだけだ。磨き上げられた石の床は、幾千もの足跡によって輝いている。中央に置かれた頑丈な長机の周りには、五十人近くの男たちが集まっていた。時代遅れの鎧を纏った部隊長。仕立て屋に長年見放されたマントを羽織った顧問たち。爪の間に土の詰まった領地管理人たち。


皆、不満そうな目でレイを見つめていた。小僧――彼らは陰でそう呼んでいた――がよくも指図できるものだ。いったい何者だ?臆病な父の息子。領地を荒廃させた元凶。ハズレスキルの持ち主で、村の物乞いにすら哀れまれる男。


レイは大広間の中央へ歩み出た。護衛もなく、武器もなく。黒いマントを羽織り、フードを深く被っている。たいまつの灯りで顔色は青白く、まるで死者のようだった。


「お前たち一人ひとりの残り寿命が見えている。」


広間が凍りついた。誰かが笑いを噛み殺したが、その声は喉で詰まった。


「お前は、」レイは左側の部隊長を指さした。「残り六年と二ヶ月だ。」


部隊長の顔色が青ざめた。周囲がざわつく。


「お前は、」レイは赤鼻の顧問に視線を移した。「二年と八日だ。」


顧問は胸を押さえた。


「お前は、」目をそらしている領地管理人に向けて。「二十年ちょうどだ。」


広間は静まり返った。信じる者はいない。しかし、確認しようとする者もいなかった。静寂の中、床板のきしむ音と、どこか遠くで雨漏りが落ちる音だけが聞こえた。


「価値を示せ――命を伸ばしてやる。裏切れば縮める。それだけだ。」


数秒間、誰も動かなかった。やがて部隊長が片膝をついた。甲冑の金属音が響く。次々と続いた。金属、布の擦れる音、押し殺された吐息。赤鼻の顧問は額を床に打ち付けるほど激しく膝をついた。


レイは笑わなかった。そんな必要はなかった。彼らはすでに怖気づいている。恐怖する者は、自信満々の者よりも早く従う。


壁際の執事は蒼白になっていた。レイは彼のタイマーを見た。五年。数字は安定している。今のところは。


三日後の夕暮れ、窓の外の空が紫色に染まり始めた頃。執務室にろうそくが一本灯された。血に染まった部隊長が、ノックもせずに飛び込んできた。マントは破れ、腰の剣は刃こぼれしていた。しかし、その目は燃えていた。


「若様、東方国境の山賊どもを殲滅しました。全滅させました。村は解放されました。」


レイは地図から目を離し、部隊長を無表情で見つめた。そして、視線を少し上にずらした。


7年と1ヶ月


七年と一ヶ月。以前の六年と二ヶ月から、ほぼ一年近く延びている。レイは笑わなかった。ただ頷いた。


「よし。続けろ。」


部隊長は頭を下げた。その表情は敬意ではない――恐怖だった。生々しく、動物のような恐怖。それは愛情よりもレイの望むものだった。


五日目の夕暮れ、執務室の扉がノックされた。二十年の寿命を持つ領地管理人が、紐で括られた書類の束を抱えて入ってきた。


「若様、南部の廃村の復興計画でございます。ご報告を…」


レイは紐を解き、書類に目を通した。計画は悪くなかった。明確な工程、資源の配分、期限。完璧ではないが、及第点だ。


「実行しろ。」


そして、再び管理人のタイマーを確認した。


20年と2ヶ月


計画を認めたことで、二ヶ月の寿命が加わった。あるいは単に、信頼を得ただけかもしれない。


「なぜ、私を恐れない?」


質問が虚空に投げかけられた。管理人は顔を上げた。穏やかに、怯えもせずに。


「私は裏切りませんでしたし、これからも裏切りません。恐れることは何もありません。」


レイは黙った。部屋の中では、蝋燭の燃えさかる音だけが聞こえていた。管理人も動かず、判決を待っていた。永遠にも感じられる一分が過ぎ、レイは手を振った。


「下がれ。」


管理人は頭を下げて部屋を後にした。無音で扉を閉めた。レイは一人になった。


その夜、レイは執事を呼んだ。老人は死刑囚のような面持ちで執務室に現れた。手は震え、額には汗の玉が光っている。


「なぜお前がまだ生きているか分かるか?」


「わ、わかりませぬ、若様…」


「お前のタイマーは五年を示している。もし一年を示していたら、お前は今週中に死んでいた。」


執事は膝をついた。板の一枚が大きな音を立てて割れた。肩は震えていた。だがレイは彼を見ていなかった。彼の頭上に浮かぶ数字を見ていた。数字は震えていない。タイマーは減っていない。


口元がほんの一瞬、吊り上がった。執事はそれを見ていない――床に額を押し付けているからだ。しかしレイは知っていた。もし執事が新たな陰謀を企てているなら、タイマーは減っているはずだ。減っていないということは、今のところは陰謀を企てていないということだ。


「税を滞納している者の名簿を持ってこい。払わない者は赤で印をつけろ。赤は潰す。」


執事は跳ね起きるように立ち上がり、よろめきながら部屋を飛び出した。


週の終わり、レイは領地の全貌を把握した。領地の広さは約五百平方キロ。収入は――裕福な商人以下。軍備はたかだか二百人で、その半数は老人と新兵。隣国は虎視眈々と狙っている。普通の統治者なら絶望するところだ。


レイはただ暗がりに座っていた。ろうそくが一本だけ机の上で燃えている。広げられた地図の赤い斑点は、血の池のように見える。彼は笑っていない。ただ見つめているだけだ。


誰がいつ死ぬのか、彼には分かっている。赤鼻の顧問は二年と八日だ。そのまま死ぬだろう。自分で手を汚す必要はない。部隊長は七年と一ヶ月。生きている限り役に立つ。大事に扱う必要があるが、甘やかしてはいけない。襲撃を計画していた隣国の男爵は――斥候から得た情報によれば――タイマーは三年。すぐには死なない。ならば、話し合いの余地がある。別の男爵は二ヶ月。待っていればいい。三人目は十年。しかし、税金の話になるとタイマーは揺れていた。揺れる――ということは恐れている。恐れている――ということは払う。


レイはろうそくの火を吹き消した。執務室は闇に包まれた。彼は立ち上がり、フードを深く被り直し、廊下へ出た。月明かりが高い窓から差し込み、石畳に長い影を落としている。寒い。空虚だ。だが今や、それは彼自身の空虚だった。

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