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第1話 目覚めとタイマー

見知らぬ天井で目が覚めた。ひび割れた石造りの天井。カビ臭い空気。遠くで聞こえる雨の音。ここは病院でもオフィスでも、自分の借りていたアパートでもなかった。ただの、古びた石造りの部屋。どうやら誰かが住んでいるらしいが、ひどく貧相な暮らしぶりだった。


「……ここは?」


声が出た。掠れていて、細く、明らかに自分の声ではなかった。起き上がろうとして違和感に気づく。体が軽い。腕が細い。まるで他人の体のように。鏡はなかったが、感覚でわかった。これは子供の体だ。十歳か十二歳。痩せ衰え、力が入らない。筋肉はなく、皮と骨だけ。


老執事が立っていた。しわくちゃの顔で、目はうるんでいる。彼は深々と頭を下げた。「お目覚めですか、坊ちゃん。よくぞ生き返ってくださいました。領主様がお待ちです。すぐに参りましょう」領主——父だ。そう執事は言った。その瞬間、記憶が雪崩れ込んできた。


前世の俺は戦略家だった。名前はライ。苗字はどうでもいい。軍でも企業でも、俺は「危機を予測する男」と呼ばれていた。データを読み、傾向を分析し、次の一手を読む。誰も気づかない死角を見つける。それだけが、俺の唯一の才能だった。


戦場では敵の動きを三手先まで読んだ。ビジネスでは半年先の市場変動を予測した。誰も見つけられない弱点を見抜き、誰も解決できなかった問題を片付ける。それが俺の生きる道だった。


そして、死んだ。過労か事故か、覚えていない。ただ、気づいたらここにいた。


執事の話では、この世界では誰にでも「スキル」という能力が与えられるらしい。火の玉を放つ者もいれば、傷を癒やす者もいる。動物と話せる者もいる。そして俺のスキルは「ハズレ」と判定されていた。


「死のタイマー」 —— 他人の残り寿命が見えるだけ。戦闘では役立たず。商売にもなんの役にも立たない。「領主の息子が無能だって」と使用人たちが囁くのが聞こえた。俺は心の中で嗤った。


「役立たず」だと? そうか。


父に会わせてくれと執事に言った。


広間には、色あせた紋章や埃をかぶった織物に囲まれて、やつれた男が座っていた。この地の領主。俺の父。頬はこけ、目は落ち窪み、激しく咳き込んでいる。かつては高価だったであろう服も、今ではぶかぶかだった。


俺は父をじっと見つめ、意識を集中した。空中に赤い数字が浮かび上がった。


残り寿命:3日


三。日。カウントダウンが刻々と進む。


この数字が見えるのは俺だけだった。


「父上、お体の調子はいかがですか?」


「加齢じゃ。気にするな」


彼はそう言ったが、俺はそれで済ませられなかった。三日は短すぎる。老いでも風邪でもない。原因は別にある。


食事台を調べた。スープの入った皿。縁に奇妙な液体の跡。俺はそれを指さした。「これを調べてください」。宮廷医が嫌そうにサンプルを取り、顔色を変えた。毒だった。弱い、蓄積型の毒。大量に摂取すれば一ヶ月で死に至る。微量でも三日で命を奪う。


父は医者よりも青ざめた。


しかし、俺はまだ終わっていなかった。解毒剤を要求した。医者が瓶を運んできた。父が薬を飲み終えて一分ほど経ってから、俺は再びタイマーを確認した。


赤い数字が変わっていた。


残り寿命:1年


三日ではない。一年だ。まだ終わらない。治療を続ければ十年、二十年まで伸ばせるかもしれない。タイマーは運命ではない。それは現時点での危険度を示す予測にすぎない。原因を取り除けば寿命は延びる。危険が増せば縮む。


父は畏敬の念を込めて俺を見つめた。廷臣たちも敬意を込めて。しかし、その中に恐怖の眼差しを向ける者がいた。あの執事だ。朝、最初に声をかけてきた老執事。彼のタイマーは一年を示していた。健康そうで、若々しく(老人にしては)、毒も飲んでいないのに。なぜ一年後に死ぬのか? 俺にはわからなかった。しかし、その事実を利用できると直感した。


その夜、暗殺者たちが襲撃してきた。黒装束の六人の影。手には短剣。プロフェッショナルだった。連携は素早く、無駄がなく、音も立てない。普通の子供なら一瞬で殺されていただろう。だが、俺は普通の子供ではなかった。


奴らがドアを蹴破るより先に、俺は窓から飛び降りていた。柔らかい地面に着地し、転がり、走り出した。暗殺者たちは追ってくる。俺は狭い路地を選び、足首の高さにロープを張り、通路に瓦礫を積み上げた。そして物陰に隠れた。


先頭の暗殺者の頭上にタイマーが現れた。「0秒」。落ちる直前に数字はゼロを示していた。彼はロープにつまずき、瓦礫に倒れ込んで、それきり動かなくなった。


続く二人は慎重に動いた。しかし慎重さは時に臆病に変わる。彼らは立ち止まり、声を潜めて相談し合った。彼らのタイマーは「3分」を示していた。俺を殺すには十分な時間だ。しかし彼らは躊躇した。俺は影から飛び出し、一人の短剣を打ち落とし、もう一人の喉元に刃を突きつけた。「動くな」。三人目が背後から襲いかかった。俺は最初の男を盾にしながら反転し、二人目の腕を切りつけた。悲鳴。血。二人が倒れた。


残り三人は距離を取った。


俺はさらに走った。市場へ。野菜や果物の籠が積まれ、樽や荷車が並ぶ闇の中へ。足音が近づく。三人の暗殺者。彼らのタイマーは同じ時間を示していた。「10秒」。同時に死ぬ。何が起こる? 俺にはわからなかった。ただ、待てばいい。


地面が揺れた。小さな地震だった。籠が崩れて一人に直撃した。もう一人は濡れた石で足を滑らせ、階段から転げ落ちた。最後の一人は崩れた荷車の下敷きになった。三つの悲鳴、三つの鈍い音、そして静寂。


俺は闇の中に立ち、黒いフードを目深に被った。口元が冷たく歪んだ。タイマーは俺に殺しを強要しない。ただ敵がいつ、どのように死ぬかを教えるだけだ。俺の役目はそれを邪魔せず、後に残るものを回収することだけ。


翌朝、俺は城に戻った。執事——暗殺者たちの雇い主——がひざまずいていた。俺は彼のタイマーを見た。


「一年」


「お前はあと一年で死ぬ。病気か、それとも俺の手で死ぬか。まだ決めていない」


彼は許しを請うた。共謀者の名前を挙げ、永遠の忠誠を誓った。俺は聞かなかった。ただ彼の頭上で震える数字を見つめていた。


彼はすべてを話した。クーデターを計画していた者たち、父を殺そうとした者たち、医者を買収した者たちの名前を挙げた。俺が彼を解放してから一時間後、再びタイマーを確認した。


5年


チャンスを与えたのだ。もし嘘をつけば、俺は彼の死を早める。もし俺が死ねば、彼のタイマーは即座にゼロになる。敵は生かしてはおかないからだ。


三日後、父は死んだ。毒ではなく、企てられた陰謀の規模を知り、心臓が耐えられなかったのだ。俺が爵位を継いだ。前世での年齢は三十五歳。この世界では十六歳だった。


周囲は嘲笑した。「ハズレスキルの無能が何をできる?」。俺は彼らのタイマーを眺めた。あと数年という者もいれば、数ヶ月という者も、数日という者もいる。誰が次に死ぬのか、俺は知っている。そして、その知識をどう使うかも知っている。


黒いマントを羽織り、フードを深く被り、口元を冷たく歪めた。もはやお前たちは、自分が誰と向き合っているのか分かっているだろう。

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