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75.外門弟子

 「おおおおおい!百弟!大変だぁぁぁぁぁ!」


井兄が何で修行が遅いんだろうと、頭をひねっていたら、肝心の井兄の声が聞こえてきた。


すぐさま陽符で姿を変えて、自分が家の外に出ると、


続いて楊師姉と小淵師兄もついて庭に出てきたので、でっかく育った花の下で井兄を待つと、そう経たずに息を切らした井兄が自分に手を大きく振りながらぎょっとした顔で立ちすくんだ。


「井兄、一体何が大変なのさ?」


「あ、ああ……それよりなんで百師弟、楊師姉と静師兄がいるんだ?どちらも外門じゃ一流の使い手で知られてるのに……」


「それはちょっと、訳アリでさ!あまり気にしないでよ。二人ともいい人だし」


「まぁ、そりゃ噂じゃ付き合いやすい方々だって聞いてるけども……そうだ!それより百弟!すぐに任務堂に来い!」


いうなり、自分の腕をひいて引きづる様に走り出す。


そしてそのまま、自分が引っ張られていくのはいいとして、楊師姉と小淵師兄も一緒に走り出してついてくる。


例の如く顧長老のいる雑役弟子の為の任務堂に辿り着くと、顧長老と話す例の夫婦の影が見えた。


ふと目が合うと、何とも居心地悪そうな雰囲気となる。


「そちらが百木青かな?」


すると、全く思わぬ方から声を掛けられ、振り返ると、知った顔があった。


「あ、あの……百木青と申します。孟長老は一体どういったご用件で?」


うん、いずれ碌な要件では無かろうとこっちから切り出した。何がなんだかよく分からないが、逆に頭がクリアになり、思考が加速する。


例の程と袁の夫婦は毒を受けて、ちゃんと宗内で診てもらう手筈だった。つまり薬堂に向かって薬を欲するのも当然の筈。


つまり、そこで薬堂の長老である孟長老と何かがあってもおかしくはない。


「あの!恩人につきましては本当に申し訳ない!私の不甲斐ないばかりにこのような!」


どうやら、孟長老を連れてきてしまった事については、何がしか悔いがあるようだ。


「おやめなさい。こちらのお二人は最後まで頑として口を割らなかったのに、私が無理強いをしたのです。百木青、単刀直入に言います。私の弟子となりなさい」


えぇぇぇーーー何事?最近やっと黄師姉から逃れてきたってのに、今度は孟長老の弟子になれって、それは複雑すぎるんですけど?逆に何で孟長老の弟子になれなどと簡単に言えるのか?


「いや、あの自分はまだ状況に追いついてなくてですね、何でまた自分が孟長老の弟子に?」


「それはこの二人の処置を見れば必然であろう。やや古風な雰囲気も感じたが、それでも的確以上の処置をしている君に、何故私が勧誘しない事などあると思う?」


うん、つまりだ。あの二人は毒に当たった治療の為、孟長老の所へと行き、そしてそのまま問い詰められて自分の事を喋ってしまったと?


何やってんねん!


つい、自分が程と袁の夫婦を睨みつけると、任務堂の隅へと追いやられて小さくなる二人。


嵩にかかって楊師姉と小淵師兄が笑って近寄ると、程と袁夫婦は犬歯を剥いて威嚇してくる。


それにしても、どうすっかな~やっと雑役弟子の暮らしに慣れてきたのに。


〔いいじゃないか、少しでも内側に向かって霊力を貯め込めるような状況を作れば、お前も手早く修行が進むという事だ〕


それはそうだけど……まぁ、仕方ないのか。基本は修行優先だし、


「でも、畑やなんかはどうするかなぁ」


「それだったら、俺達で面倒見ておくし、何かあればすぐに伝えに行くさ」


ちょっと呟いただけなのに耳ざとく自分の心配を汲み取り、結論を出してしまう井兄。


その時にょきっと横から枯れたような手が差し出されたかと思うと、顧長老だった。


「それでは牌を出しなさい」


言われるがままに差し出すと、受付奥にある謎の箱の上に乗せる。


すると牌がぼんやり光り、それを手に取って返してきた。


元々、真っ黒い鉄の塊の様だった牌が、何となく緑ががって輝いている?古ぼけた青銅色とでも言うのだろうか?まぁでも見た目以外は特に変わらないので、そのまま仕舞う。


「それでは行こうか」


否も何もない。それはそうだ自分は所詮外門弟子になったばかりの身だし、本来先輩達に対する態度ももっと丁重じゃなきゃならない所、何だかんだ皆フランクに接してくれているだけだ。


長老格相手ともなれば、流石に「はい」と言うしかあるまい。


それが嫌なら出て行くか、他の後ろ盾を見つけるか、もしくは自分自身の修行を進めるのどれかだろう。


孟長老は今の所、自分にとっては黄師姉のライバル的ポジションの危険人物だとは思っているが、ここで懐に入れば、何がしか弱みの一つも見つけられるかもしれない。


そう思えばこその虎穴にいらずんば虎児を得ずの精神で、飛び込んで行こう。


しっかり気持ちを引き締めたい所だが、さっきから例の夫婦とこっちの夫婦、夫婦でいいのか?まあいいか、結婚とかあるのか分からんけど、道侶が伴侶みたいなもんなんだから。


この二組が睨み合いを続けていて、何とも不穏だ。


「あの、自分は孟長老に付いて行くけど、喧嘩はほどほどにしてね」


自分がそう言うと、ハッとしたように4人がぞろぞろとついてくる。


何でぞろぞろついてくるんだ?

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― 新着の感想 ―
こんな感じで優秀な弟子を増やしているなら好師匠の後釜候補になるのも納得だなぁ
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