↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
70/92

69.陣地構築と魔物の餌

 そこは、それまでかなり暗く感じた森の中でも、日差しの当たるスッキリとした広場だった。


しかし、ここまで日当たりが良ければ、逆に草でもなんでも生えていそうな物なのに、何故か土肌が露出していて、いかにも訳アリと思えなくもない。


「ここって、何でこんなに開けてるんですかね?」


「さあな?しかし、この山には似たような場所がいくつもある。噂によれば、高位の修士が激突すると、時折こういった不毛の土地が出来る事があるらしい。有名な所では嘆きの谷とかか?規模は全く違うが」


「嘆きの谷?」


「ああ、その昔、剣を使う大修士が愛弟子と死に別れ、1000年の間哭き続けたと言われる渓谷だ。容易に近づけぬ不毛の地だそうだが、同時に数千年、下手すれば万年を生きた大修士の秘宝が眠るかもしれないとされて、未だ踏み入るも戻る者のいない禁地とされている」


「その嘆きの谷もこの近くに?」


「いや、ここからはかなり遠い筈だ。俺も噂で聞いた事があるだけだ」


ふむ、修士が争うとどうやら不毛の地が出来るらしい。


まぁ、ここの空き地はせいぜいサッカーコート位のものだが、それでも広いっちゃあ広い。


そして髭もじゃが、何やら色の違う旗の様な物を設置していく。


4本東西南北に置いて、さらに中央にひと際大きな旗を立てると、フィールドの様なものが展開されていき、四方にうっすらと色づく半透明の壁が出来た。


「これは?」


「さっき陣地って言ったろうが!」


チビな方が我慢していた筈なのに、また横柄に大きな声で言い放つ。


「これは、陣法の一種だ。ここに魔物を誘い込めば、かなり有利な条件で戦う事が出来る代物だから、陣から外に出ないようにな」


ふむ、まぁ出るなと言われるなら出ないが、陣法ってのは一体何だ?


〔陣法ってのは一定の形状及び一定の数が織りなす、幾何学的術式の事だ。お前の認識する世界は基本的に縦横高さの3方向からなる世界だが……〕


うん、久々に頭が痛い。


要は術を方位学的なものやら数学的にまとめた物らしいんだが、生憎自分は文系なので、そんな事は知らんよ。


「じゃあ、とりあえず後は魔物を待つばかりですかね?」


「そうだな。こちらから森に踏み入れば、大きなしっぺ返しを食うし、それならいっそ待ちの姿勢の方が被害は少ない」


相も変わらず、冷静に細い方は答えてくれる。


「そしたら、食事にでもしますか?腹が減っては戦が出来ないですよね?」


「え?食う食う!!!何食べれるんだ?」


ここに来て、肥えた斧使いがめっちゃ食い気味に答えてくる。


「おい!こいつの前で飯の話をすると、すぐに脱線するんだから、気をつけろ!」


そう言うのは人相の悪い髭面のリーダー格だ。


「そうですか?じゃあ、何も作らない方が良さそうですかね?」


「い~や~だ~!何か食べさせておくれよ~!」


野太い声で叫ぶ肥えた斧使いをチラッと見て、髭面の方を見ると、諦めた様子でため息一つ。


「何か作ってやってくれ」


そう髭面が言うと、肥えた斧使いが、あっという間に木を組んで小型のキャンプファイアーを組み立てた。


そうなったら、やる事は一つだろう。大量に余って適当に指輪につっこんである羊肉を取り出す。


それを見ると肥えた斧使いは目を輝かせて、自慢の斧で木の枝を伐って集めてきた。


更にそれをチビが、サクサクと削って串に変えていくので、自分は肉を刺して焚火の周りに挿していく。


細い男が、細々とその串を回していき、まんべんなく火が通ると各々にく仕事手渡した。


羊肉串焼きパーティ状態である。


そんなこんな人相悪い仲間達と何だかんだ楽しく食事をし、随分と打ち解けた頃、魔物が向こうからやって来た。


それは虎模様に不気味に変形した頭を持つ象と見まがう大きさの巨大な獣。


不揃いの牙の間から、だらだらと涎をたらし、隠そうともしない凶悪な表情に思わず息が詰まる。


「妖虎が何でこんな所に……」


誰の呟きかすら判別できなかったが、その語感から絶望的な何かだという事だけは、はっきりと自覚した。


黙って、陰符を取り出し、右手の人差し指と中指に挟んで、身構える。


「う、うわーーーーーーーーー」


髭面の叫びと共に一斉に逃げ出す面々、そして混乱に乗じて自分は陰符で姿や気配を消す。


するとあっさり自分を見逃して、逃げ出す連中を追ってどこかに行ってしまう強大な化け物虎に、安堵のため息を吐いき、一先ず結界の隅でここからどうするか考える。


何しろ一人で置いてけぼりをくらってしまったので、帰り道は何となく分かるものの、何が起きるか分からないし、中々に不安だ。


例えばろくでもない想像をするならば、さっきの連中が宗内に戻る為、全力で走ってる最中に一人でも捕まって食われてしまったとしよう。


今すぐに自分が帰れば、お食事中に鉢合わせて、自分も食われるかもしれない。


〔ここで待つのが得策だろうな〕


「何でそう思うのさ?」


〔この程度の物でも一応は法器を使った陣法が敷かれてるんだ。ここで戦う方が有利だし、多分一対一ならお前でもやれん事は無い〕


「いや、かなりデカかったし、狂暴そうだったじゃん?」


〔それはそうだが、あんなのはこの修仙界にはごろごろいるし、少し慣れておいてもいい〕


「ごろごろって……もう少し無難なので慣れていくわけにはいかないのかね?」


〔小型のはさっきの犬っころもそうだが、群れて動くことが多いし逆に不覚を取りかねないぞ?〕


「じゃあ一匹で動いてる大型獣の方が、まだいけると?」


〔ああ、先ずは今使える手札をよく確認しておけ〕


今回の狩りに先立って、家で練習してきた戦闘手段を確認していく。大型の魔物に対して有効そうなのは……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なんか意外とまともな連中なのか? 主人公戦闘の練習してたんやな。てっきり生産系に集中してるのかと思ってた
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。