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44.符作成

 「白おばちゃん!符を作りたいんだけど、台紙みたいなの売ってる?」


「あら符箓の事かしら?この前、錬丹炉を買っていったばかりなのに、今度は符なのね」


「うん、まだどの道に行くか決めてないから、色々やってみたくて」


「そうねぇ。普通なら一つの事を突き詰めた方が修行も早いんだろうけど、白の坊やはまだ子供だし、そういうのも悪くないかもね」


何だかんだあっさりと自分の意見を聞き入れてくれる白おばちゃんが、何やら店の奥の方に行って、箱を一つ抱えて戻って来た。


その箱の中を見れば、黄色い紙の短冊が大量に入っており、如何にも消耗品として扱われるのが分かる。


「それが、符の台紙?」


「そうよ。初心者から熟練者まで使う一番基本的な黄札だから、先ずはこれで練習したらいいわ」


確かに自分の記憶に照らし合わせても、これでいいと出てるので、一束100枚で金の葉一枚とまぁまぁな価格だが、買う事にする。本当はポイントで買った方が割引がきくんだけど、童僕のポイントじゃちょっと足りない。


「これって、初心者も使うって話だけど、この価格だと、誰でも買うって訳にはいかないんじゃないの?」


「そりゃそうよ。符箓って言ってみれば、霊力を込めて術式を書いて置く事で、いざという時に少量の霊力で術を発動させるものだもの。先ずは術を使えなきゃ意味ないじゃない」


え?自分が今使える術って【厨術】【錬丹術】【農術】【符術】だけなんだけど、記録しておいてなんか意味あるのか?


〔ある程度身を守るのに使える基本的な符が記憶にあるだろ?それで練習して本格的に符道を行く事になったら、更に専門的に学べばいい〕


なーる程ね。自分の頭に直接ぶち込まれてる記憶ってのは、基本的な物なのか。だから修行の必要もあるって訳だ。


結局いずれは道ってやつと向き合わなきゃいけない時が来るし、出来るだけ早く決めておいた方が、修行も進むって事なのかね?


まぁ、急ぐように言われてる訳でもないし、頭の片隅には置いておくとしよう。


黄札を指輪にしまって、おばちゃんにお礼を言いつつ、隠れ家へと向かう。


道中小皿を一枚買って、隠れ家の机に置き、水を張る。


そこに銀の葉を一枚置いて真気を流せば、濃い赤い水が出来上がる。


そこにパッと思いついた図形を描きだすと、あっさりと一枚の符箓が出来た。これが自分の思う所の霊符なのか、呪符なのかは分からないが、まぁ何か中国の道士が作りそうなお札に仕上がった。


試しにその札に真気を流し込んでみると、


「あっっっつ!」


指先が燃えて、思わず大きな声で叫んでしまった。


〔そりゃ火符を指で持ったまま発動する奴なんていないだろ〕


確かに記憶を辿ると今自分が描いたのは火符らしいのだが、じゃあどうやって使えと?


〔対象に張り付けるか、投げる。もしくは他の術と合わせて使うとかだろうな〕


「紙なのに投げられるの?」


〔真気を込めて、一枚の刃物になったようなイメージで、投げてみろ〕


「嫌だよ。家も燃えちゃうじゃん!」


〔じゃあ火符以外にすればいいだろ〕


それもそうかと、別の符を頭の中から引っ張り出して、書き上げるとそれは風符だった。


さっき、システムに言われたように真気を流して札が刃物になったつもりで、人差し指と中指に挟んで投げてみる。


想定より真っ直ぐに飛び、壁にぶつかるなり、大風が家の中で舞って、吹っ飛ばされた。


「これ危ないよ!」


〔使い方が悪いだけだ。符は術の式みたいなもんなんだから、後はお前がどう使うかそれだけだろ。一応最初から五行符と風雷符、陰陽符、護符だけは使えるから、後はたくさん書いてたくさん使って体で覚えろ〕


なんちゅう投げやりだ。とりあえず危なくないように、頭から符の知識を引っ張り出せるだけ引っ張り出し、よく考えてその知識をまとめようとするのだが、頭が痛い。


物理じゃなくて、知識の方向性が科学世界にいた自分とはちょっと似ても似つかぬので、なんかよく分からんって言う意味で、頭がおかしくなりそう。


陰陽と五行が基本的な属性なんだなって言うのは分かった。そしてその交ぜ具合で色んな術が使えるってのも何となく理解した気がする。


問題は、例えば護符だと、あらかじめ自分に使っておくことで、多少のダメージは術が吸収してくれるんだってさ。意味分かんないじゃん?


更に、時間経過で劣化する物を箱とか瓶とかに詰めて護符を使うと、保存期間が大きく伸びるって言う。


ダメージと劣化を遅らせる効果が、何故か護符一枚で可能ってさ。もう護って言う符の解釈次第って感じじゃん?一貫性がない気がするんだけど、出来ちゃうんだよね。


何なら護符を張る事で、自分しか取り出せなくしたりとかさ?自分しか出入りできないフィールドを張ったりとかさ?


便利なんだけど、色々見失ってる。


〔そんなものは修行して感覚で捉えろ。術式ってのは多分に行使する者のイメージの影響を受けやすい〕


「じゃあ同じ式でも別の答えが出ちゃうじゃん」


〔そういうものだから、今お前は頭を抱えてるんだろ?とりあえず、好の錬丹師の所に行った方がいいんじゃないか?〕


言われてみれば、そろそろ午後だし、符ばかりにかまけてる訳にはいかないか。

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