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39.トラブルメーカー

 「いや、もう修行に来たなら黄師姉の家でお茶でも飲んでた方が霊気の吸収にいいんじゃないの?」


「ふーん、師姉の前じゃないとそんな感じなのね」


「そうだよ。嫌ならもうちょっと常識あって丁寧な人指名してよ」


「別に、そのままでかまわないわよ」


結局、沈紅羽と一緒に風塵宗を周る事になった。


言葉使いに関しては、家を三歩出た時点でこの状態に戻し、あえて怒らせてみようと思ったんだが、全く効果なし。


身分をかさに着た偉そうな小娘なら、何か難癖でもつけてくると思ったのに見込み違いだった。


あー修行したいなー!こんなに修行モチベ高い事なんて滅多にないのになー!


〔そりゃただ邪魔されたから、何となくそんな気分なだけだろ〕


「(分かってるよ!変なつっこみしないでもさ!)」


〔気分がクサクサしてるみたいだったから、ちょっと言ってみただけだろ〕


全く変な所で気をまわしてくるシステムだよ。


「それで、今日は何をする予定だったの?」


「そりゃ色々だよ」


「色々って?」


「手伝いしてお小遣い貰ったりとか、そういうの」


「あっそう。てっきりどこかに遊びに行くのかと思ったのに」


「秦師姉も言ってたけど、この宗じゃ自分以外に子供なんて見かけた事ないし、遊ぼうたって何するのさ」


「私の方こそ、それを聞きたかったのよ。修行する為に来たのは分かってるけど、それだけじゃつまらないじゃない」


「じゃあ、わざわざ修行場なんて来なければいいのに。ここには何も楽しい事なんてないよ」


「そんな事無いわ!どんな所にいたって、楽しみは見つけられる物よ」


そう言って、急に外苑のへと駆け出していく。


身長差の所為か、はたまた自分が走る練習を全くしていない所為か、追い付くのに大層苦労したが、何とか付いて行き、外苑へと出る。


「急に駆け出してどうしたのさ」


「あら?足は遅いけど、体力はあるのね。実はここに来た時面白そうな場所だなって思ったのよ」


まぁ、確かに色んな風体の人が、そこら中に店だったり露店だったり構えてる鸚鵡緑苑外苑は確かに、面白そうな場所の代表かもしれない。


「それで?お金はあるの?」


「ええ!羊雲城の城主様からたんまりお小遣いは貰ってきているわ。修行場でも苦労しないようにって!後、付き合いのある場所だからくれぐれも低く見られないように、ちゃんとした生活するようにって」


「いや、別に修行場だし、比較的質素に暮らしてるんじゃないの?誰でもさ」


「そんな事無いわよ。百草霜閣なんかだと、各地の名門の方なんかがいるそうじゃない。きっと煌びやかに違いないわ」


「自分そんな場所知らないし」


「あら?この宗の弟子なのに何も知らないのね?」


「まぁね。出歩ける範囲だって限られてるし、宗内に詳しい人が必要なら別の人を指名して……」


「その手には乗らないわ。それよりあなたの分も一緒に買ってあげるから、好きな物見繕いなさいよ」


「いや、自分もお小遣いは稼いでるから別にいらないかな」


「ふーん、変な子供」


「変で結構。本当に案内できる場所なんて限られてるんだからさ。自分じゃなくてもよくない?」


「何で、さっきから嫌がるのよ」


「なんか面倒くさそうな雰囲気漂わしてくるから」


「どういう所が?」


「何か、羊雲城とか秦師姉の後ろ盾で、偉そうにしてトラブル招いたりとかさ」


「ずいぶんはっきり言うのね。後ろ盾を利用して何が悪いの?寧ろ私が堂々としてなかったら、後ろ盾になってくれてる方達に申し訳ないじゃない」


「だからって、自分から後ろ盾の名前出して回るのは、自分の趣味とあわないもん」


「ふーん、結構自分の実力に自信あるタイプなのね」


「ないよ。ただの子供だもん。でも自分でどうにもならないトラブルを自分から探して回るような真似はしないの」


「私だってしないわよ」


「本当かなぁ?」


「あら、あそこ服売ってるじゃない!見ていきましょ!」


絶対嫌なんだよな。女子の服選びって、やたら長いじゃん。



「ねぇ?これどう思う?」


「いいんじゃない?」


「さっきもそう言ったじゃない!」


「さっきのその前もそう言ったよ」


「分かってるんじゃないの!なんか気の利いたことの一つも言えないの?」


「好きなの選んで買えば?」


「本当に最低な子供ね!子供じゃなかったら許してないわ!」


「許さないとどうなるの?」


「そりゃあ、そんな最低な男とは別れるわね」


「じゃあ許さないでいいから、帰らせてよ」


「嫌よ!この店の服は気に入らなかったから次に行きましょ!」


「お嬢さんそれはないでしょう。一体何着試しに着たと思ってるんですか?」


流石にお店の人も黙っちゃいられないようだ。


「何よ。じゃあその中の一着でも汚したり、傷つけたりしたって言うの?」


「そうじゃないですけど、見れば大体自分に合うかどうかなんて分かるものでしょ?それを人の手を煩わせておいて、いらないなんて、そんなのは通じませんよ」


まぁ、そりゃあそうだ。さすがに我儘が過ぎるし、何ならこの店の服もそう高い物じゃない。


沈紅羽が買わないなら、自分用に何か一着買おうかと言いたいところだが、大変残念な事に女性物なんだよねこの店。


「うるさいわね!文句があるなら羊雲城の城主様に……」


「ああ!そら出た!そう言うの本当に嫌。気に入った物が無いならいいや。自分が知り合いの為に一着見繕って買うよ」


「こちらの坊ちゃまは道理をよくご存じのようで、それでお相手様のサイズは?」


「それは分かんない」


「過去にお買い物に来てくださってる方なら、記録がありますけども」


「じゃあ、秦師姉か黄師姉か毛師姉か王師姉か、もしなかったら……」


「もしかして李長老様のお弟子様でらっしゃる?」


「自分は、黄師姉の童僕なので……」


「最近、花のお庭で有名な!こ、これは失礼しました!無理を言ってしまいおこちらこそ申し訳ございません!」


「いや、別にそんなそういうんじゃないですけど」


〔お前の方が思いっきり他人の名前使ってるじゃん〕


余計な事つっこむなシステム!

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