34.後ろ盾という名の生存戦略
と、まぁ楊姉さんには利に聡い子供という印象を抱かせておいてだ。
本音はこの楊姉さんとツナギをつけておくのもいいかなって言う判断なんだよね。
何だかんだ現状の取り分には不満はないし、生活環境も寧ろいいでしょ?
何かしてるようで、大したこともせずにちゃんと生活保障されてるとかさ。
問題は、その生活環境が何かのきっかけであっさり破綻する可能性があるって事だ。
まず一つ目に黄師姉だが、この人はあくまで自分の向こう側の秦師姉の事を見てる訳で、邪魔になればあっさり自分を切るだろうと思われる事。
役に立ってるから大事にしようとか言うタイプじゃ無さそうなんだよ。何しろ大抵の事は自分でできるっぽいしさ。
こう言うと悪い人の様だけど、別にそういう訳でもない。
単純に自分より目下に頼る必要がない人って感じ?ちゃんと段取りつけて、目下に指示出す仕事出来る系なんだけど、同時に冷たさというか、淡泊さも持ち合わせてるみたいな?
対して、力のある人や権力のある人とは積極的に関わっていこうって言う上昇志向もあるから、ちょっと傍目から見ると印象悪くなりがちかもしれん。
別に嫌ってはいないが、積極的に好きになって尽くすタイプでもないなって言うのが、今の自分の感想。童僕の癖にって話だけどね。
そして、この黄師姉に相対するは毛師姉だ。
毛師姉は分かりやすく好師匠こと李長老基準の人だから、李長老の役に立ってる内は、多分味方だろう。
問題は全部が全部好師匠基準って事だ。
何しろ好師匠ときたらハオとしか言わないし、今自分の印象がどの程度かも測りようがない。
ある時突然、黙って首を横に振ったら、あっという間に毛師姉からの評価はがた落ちになる未来しか見えない。
つまり毛師姉を頼るのも自分にとってリスキーである事は間違いないし、下手に口車に乗って独立でもすれば、頼る辺を無くすのは目に見えてるので、程よい距離間で付き合うべき人だ。
決して近づきすぎず、敵対もしないそんな距離感を求められる毛師姉は、あくまで取引相手位に見ておくべきだろう。
さて、この二人より上位で、謎に自分と関わりのある人がいる。秦師姉だ。
この人は全くの謎、聖子とかいう重要な地位の候補者だって言うんだから実力は折り紙付きだろうし、後ろ盾としても抜群に違いない。
じゃあ、自分の後ろ盾になってくれるものか?分かる訳がない。
だって謎なんだもん、よく分からない理由で自分を拾ってきて黄師姉に任せると思いきや、秦師姉自身で引き取ろうとしたり、偉いはずなのになんか飄々とした我が道を行く雰囲気がある。
あれ以来会ってないけど、今頃どうしてるのか?会ったらよく人となりを知るべく色々話してみるつもりではあるが、今頼るにはちょっと遠すぎる人だ。
さてそんな中、利害関係なく優しくしてくれる人が二人いる。
言わずと知れた王お姉さんと白おばさんだ。
くどいようだが、この二人は兎にも角にも単純に優しい。
子供という存在を当たり前に慈しんでるようなそんな雰囲気すら感じる方々に、自分も何かお返しせねばと常々考えてしまう程だ。
問題はこの二人の実力がいまいちわからないって事。
王お姉さんは黄師姉より一枚劣るんだろうなって事は分かるんだが、白おばさんは何にも分からん。
何しろ雰囲気タダの店番のおばちゃんなんだもの。
いや、でもオーラはあるんだよな。なんかこう……若い頃は女優やってましたみたいな?
分からないけどもさ。絶対ただの店番のおばちゃんじゃない気がするんだけど、自分が行くといつも優しく迎えてくれるし、いつの間にか油断させられてるのは、やっぱりただ者じゃない気がする。
まぁねぇ、問題は現状実力の足りなさすぎる自分なんだけどね。
一旦それは置いておくとして、先ずは生き延びることを念頭に置いた時、必要なのはやっぱり金とコネ。
随分とこの世界に染まっちまったなとは思うけど、実際そこなのよ。
お金の事を考えればまず好師匠だけど、いまいちよく分かんないとなれば、自分で錬丹炉を手に入れて、薬捌くしかあるまい?
そしてその錬丹炉なんだけど、普通に蔵書閣に売ってたって言うね。
兎にも角にも一日でも長く平穏な日々を続けて、稼いだポイントで錬丹炉を手に入れれば、後は自分で薬作って捌くだけってな!
そう、そんな時に必要になるのが目の前の楊師姉って訳!
明らかに直情型で深くものを考えない性質でありながら、それなりに腕も立つって言うのがいい。
このタイプは故無き裏切りはしない筈だ。多分だけど。
若干アホっぽいから不安な要素はあるけども、積極的に裏切らないなら、こっちもある程度の事は何とかせねばなるまい。
正直、頼る辺としてはかなり頼りないが、限定的に腕前だけ借りるならこれ以上ない逸材の様に思える。
それであれば、今の内からちょっとでも恩を売って、こちら側に引き寄せる必要があるだろう。
それなら、無料で〔翠霊薬〕上げればって?
それは違う。共犯者だからこそ連帯が生まれ、秘密を共有するから特別な関係になりえるんだ。
別に道侶だかの邪魔をする気はない。ここぞという時に剣をふるってくれる共犯者でいてくれればそれでいい。




