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31.騒動の渦中にあの人

 日に日にお金の貯まる毎日、自分の持ってる金と銀の葉っぱにどれほどの価値があるかもよくは分かってないのだが、貰えるものは貰っておくそんな感じ。


とりあえず【厨術】にしても【錬丹術】にしても現状出来そうな事はほぼやりつくした。


沙さんのお店の料理に至っては、あまりにも何でも作れ過ぎるので、あれもこれもと注文されて樂樂がてんてこ舞いになったことを受け、その日に仕入れた素材で作れる定食2種類って感じで提供するようになった。


好師匠の所で作る丹薬についても作り慣れてきたお陰か、あれ以降ぶっ倒れる事も無くなったので、適当に作れそうな物をひたすら作ってたら、今後は好師匠の元に来た依頼で作れそうな物を自分が作るって話だ。


もしそれ以外に作りたかったら、材料費は差っ引くけど作っていいよみたいな感じ。かなり放任だが、それだけ信用されてるんだろう。


まぁ、薬って言っても例えば塗るタイプの止血薬とか、打ち身打撲に効く膏薬とかは、いい。


問題は《吐血丸》とかいう丸薬なんだけど、毒じゃないかと疑ったら、寧ろ毒を吐き出させるものらしい。血中に取り込まれた毒もある程度なら吐き出させられるらしいよ。荒っぽいけどさ。


他にも《明洙薬》ってのがあると思ったら、夜目が利くようになる薬とか、ちょっと訳分からん効果の物も多い。


とはいえ、元々《美顔丹》とかいう整形出来る薬が存在してる時点でだいぶおかしいんだけどさ。


そんなおかしい世界だからこそ何が起きるか分からないし、一通り好師匠の所の材料で作れるものは作って指輪の中に収めてある。


この指輪も10尺程度の空間って言ってたけど、真気を流すと確かに3m四方位の空間がイメージ出来て、その中から好きな物を取り出したり、仕舞えたりするんだよね。


ただ、今の所薬ばっかりだから、その内に薬箱みたいなの見繕って綺麗に片づけなきゃいけないかもしれないけど、あまり整理とか得意じゃないんだよねぇ。


そんなこんなぼんやり物思いに耽っていたが、今日は沙さんの店のバイトの日なので、とりあえず薬会までは黄師姉についてやってきた。


黄師姉がいつものブースに着いたら、さっさと店に行く気だったのだが、薬会に入るなり尋常じゃない喧噪に包まれていて、今すぐ逃げたい気持ちでいっぱいだ。


「《翠霊薬》が入荷されたって聞いたけど、何で無いんだい?」


「だから、それは既に売れてしまって、我々の手元には無いんですよ」


「売れてしまってって、どうせ大方、どこぞの有力者に先に話を持ってったんだろう!じゃなきゃオークションにでもかけられるのが普通だろ?」


「いえ、出所は李長老様ですので、オークションにはかけられませんし、別に有力者を優先した訳でもないんですよ。偶々近隣の羊雲城の名家のお子様が体調不良で必要とされてたので優先させていただいたとしか」


「やっぱり名家に売ってんじゃないか!そうやってあんたの利権の為に李長老の丹薬が利用されたっていうのかい!」


すげー剣幕で起こってるお姉さんがいるんだけど、何だかんだ野次馬達もお姉さんに味方してるっていうか、一々うなずいてるんだよなぁ。


問題は詰められてるのが金師兄だって事で、自分の隣から凄い殺気が放たれてるんよ。


「ちょっと貴女、目上に対して少々行き過ぎじゃないかしら?その態度」


やばー……黄師姉バチギレやん。下手したら人死に出るんじゃないか?コレ?


「誰だいあんた?」


「李長老の弟子で、黄靜です。貴女こそどちら様かしら?」


「うぐ……李長老の一番弟子かよ。楊です。楊洵美 」


うん、やっぱり何だかんだ内門長老の一番弟子って結構、位が高いんだな。


あのすぐ剣を抜く楊さんがタジタジじゃん。っていうか、あの人揉め事本当に好きだな。


「そもそも、李長老は水薬は作れない筈です。何がしかのきっかけで偶然手に入れた物を何故貴女が優先的に手に入れられると仰ってるんですか?」


何か無意味に丁寧なのが、逆に切れてるの分かりやすくて嫌。もう勝手に沙さんの店に行っちゃおうかな。


「そういう訳じゃないですけど、朝一で並んでもう無いって言われたら、それは流石に不正があったとしか思えないって言うか」


「そんな事は言い訳になりません。無い物は無い。それだけですので、それ以外に要件が無かったらお引き取り下さい」


しょぼんとした雰囲気で、肩を落として薬会から出て行く楊さんを無言で見送り、いつも通り黄師姉が例の個別の窓口に着くのを見届ける。


なんか、楊さんって人は、いっつも騒動の渦中に飛び込みながら結局しょぼんとしてるよな。


トラブルメーカーと知り合いにはなりたくないが、面白い人ではあるし、ちょっと興味はわいてしまう。


きっとそんな事を考えていたのがいけなかったのだろう。


楊さんが沙さんの店でやたら辛そうな真っ赤な何かをやけ食いしてる姿が目に入る。


「そういう食べ方してると、胃がやられますよ?」


「うるせー!ってこの前の子供じゃないか!そう言えばさっきも黄師姉の横に居たな?何だ?黄師姉の差し金か?」


「いや、黄師姉は金師兄が責められてたから怒っただけで、もう少しやりようがあったと思いますけど」


「うぅぅぅだって、だって!私だって《翠霊薬》が欲しかったんだ!その為にお金も貯めてきたのに!」


何とも、美人が台無しって言うか、随分と直情的なお姉さんだねぇ。

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