28.真気の使い過ぎ
「好」
はい!でました!ハオって言ってる。今回のハオはどんな意味なんだろうか?
「凄いわね!師尊様が相当な才能があると仰ってるわ!この分なら上手くすれば黄師姉に代わってあなたが跡目を継ぐことも可能かもしれない!」
「いやいやいや!それは流石に義理も何もないんでお断りしますけども」
「何でよ?私は小白の事、結構気に入ってるし推薦するわよ?」
「それで言ったら毛師姉自身が跡目継いだらいいじゃないですか」
「師尊様への忠誠なら負ける気はしないんだけど、どうしたって腕が一つ劣るのは否めないわ」
「そんな事言ったって自分だって今日が初めてですもん。偶々一回上手くいったくらいで才能とか言われても」
「最初だから凄いのに!その歳ですでに真気を操れて、初めての錬丹でここまでの成果を出すなんてそうはいないわ!精々が半分か四分の一でもできればいい方で、大抵は薬効が逃げて行っちゃってそれまでよ」
何やらべた褒めで悪い気はしないが、所詮はシステムに貰った力だしな。
あまり評価が上がり過ぎても黄師姉に悪いし、さりとて何も出来ないままでもそれはそれで今後自分が困る事になる。
〔安心しろ。まだ修為も低いんだから精々が一品丹薬しか作れん。まずはコツコツ基礎を積み上げるほかないだろ〕
「とりあえず、跡目とかの事は置いておいてですね。もうちょっと練習してもいいですか?」
「かまわないわよ!師尊様は既にあなたの事お気に入りみたいだし、好きなだけ修行すればいいわ」
って事なので、先ほどの錬丹炉の所に行く。
毛師姉はこれから好師匠とのんびり過ごす時間なので、お邪魔しないように無理のない程度に修行していきますか。
まずは、先ほどの漆塗り風の箱の中の植物を確認していく。
うん、何回見ても花か草か、後はキノコみたいなのが入ってるけど、これは何だ?
〔それは霊芝だな。年月を経る程に大量の霊気を貯め込むんで、丹薬士なら誰もが使う素材の一つだ〕
ふーん?まぁ確かに木の実や花じゃその季節限定なんだろうけど、キノコとかは生えたら生えっぱなしで、年数と共にどんどん大きくなってたりするもんな。
「ちなみに美顔丹のレシピに必要な素材ってないの?」
実はさっきから、頭の中の記憶に美顔丹についての検索を掛けてるんだが、今一つ結果が振るわない。無くは無いみたいなんだけどな。
〔あれは三品丹薬だって聞いてるだろ。今のお前じゃ実力に見合わないぞ〕
「それはそうなんだろうけどもさ。いずれ先の事も考えると手に入るなら入れたいじゃん?」
〔あれは鉱物系の素材が必要になるから、この場じゃ揃いそうもないな。先に聞いてる通り、やっぱりこの宗は植物系の天材地宝の多い地域みたいだ〕
まぁ、ない物は仕方がないか。他に目ぼしい物と言えば……陶器で出来た小さな入れ物がいっぱいあるな。
〔それは丹薬を保存する為の物だ。そのまま中に入れておくだけでも悪くなったり薬効が下がるのを遅らせてくれるが、もっと完璧に封じたいなら、修為が上がったら教えてやる〕
なるほどね。専用の保存容器ってのがある訳だ。
一つ一つ見ていくと、一番多いのはまん丸で大人の掌に収まりそうなサイズの白い小瓶。多分さっきの真霊丹でも三粒くらいは入りそう。
次が、もうちょっと縦長いイメージの瓶だがこれだったらさっきの薬でも7粒は入るかな?
適当に、チラチラ見ていると不思議な形の緑色の瓶があった。
首の部分が細すぎて絶対さっきの粒じゃ詰まっちゃいそうな瓶だが、色は中々に綺麗だ。
〔それは水薬用だな。正に霊根の種類が多くないと使えない代物だぞ〕
「霊根ってそう言えば何度かさらっと流してたけど、才能みたいなもんなんでしょ?種類が多いと修為が上がりにくくて、少ないと作れる丹薬の種類が減るとか」
〔まぁ、そんな所だ。お前は霊根の種類が多いから作れる丹薬の幅も広い、良かったな〕
「システムは出来るだけ早く修為が上がった方がいいって話じゃなかった?」
〔それはそうなんだが、その辺は後からどうとでもなる。それより気になるなら水薬を作ってみろよ〕
何かシステムがすすめてくるので、とりあえず水薬の瓶を手に取ると一気にレシピが流れ込んできた。
まずは、瓶を水で満たして丹薬の出来る口に入れておく。
それから、また錬丹炉の横から草を何種類かと銀の葉っぱを投げ込んで、真気を錬丹炉に流し込んでいく。
案の定暑いし、何故か今回は真霊丹の時より時間がかかってしょうがない。
腕が痺れてくるのは分かるとしても、何か頭がボーっとしてくるのは何でだ?
それでも、なんとかかんとか堪えていると、あっここだという所で真気を止める。
そしてそのままその場にひっくり返った。
空がぐるんぐるん回って、指一本動かせずにそのまま空を仰いでいると、
「何をしてるのかしら?」
毛師姉が様子を見に来てくれた。
「何か目が回っちゃって、世界がグルングルンです」
「あら、まだ慣れない内から随分と無理をしたのね。修行は大事だけどそんな若いうちから急がなくてもいいと思うけど」
そう言いながら、自分が作った薬を錬丹炉から取り出す毛師姉。
「え?何これ?」
「分かんないけど、水薬です」
「分かってるわよ!師尊様!師尊様~!!!」
倒れてる自分を放っておいて、また好師匠の所に行っちゃったよ。




