表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/37

27.なんでこれで薬が出来るの?

「自分は多分に皆さんにお世話になってる身ですし……」


「そういうのはいいから!子供なんだから素直に欲しい物でもなんでも言えばいいじゃない!私や師尊様相手にフリで同情稼ぐなんて無理なんだから」


でしょうねぇ。やっぱりこの毛師匠は他人の事よく見てるわ。


こうなると素直に今の望みを言う他あるまい。


「実は丹薬を作ってみたいんですよね」


「え?そうなの?やっぱり黄師姉の童僕だし、丹薬の道を行くのね」


「いやいやいや、まだタオとかいうのは決めてないんですけど、何か皆やってるし面白そうだから」


「……どちらかというとマイナーよ?」


「え?でも、修行に丹薬使うのって常道だって聞きましたけど」


「それは間違いないんだけど、錬丹には、まず才能って言うか適性?が必要だし、その他にも色々と不利な点は多いから」


「丹薬を作る事にそんなリスクが?」


「リスクは無いわよ。よっぽど無理な事さえしなければね。ただ丹薬の道を行くならいずれ特殊な素材や道具が必要になるんだけど、それを手に入れようと思ったら丹薬の腕だけで手に入れるのは非常に厳しいものになるわ」


才能って言えば王お姉さんもなんか言ってたわ。修行が進む人程作れるものが限られてるんだっけか?


〔安心しろお前は大概作れる。才能っていう点だけならな〕


おっと~急に出てきたなシステムよ。


「(それってつまり、修行は進みにくくなるって事なんじゃないの?)」


〔それはそうなんだが、その辺はおいおいだな。現状いきなり後れを取る程じゃないから、焦んな〕


システムは何でもお見通しの様だが、自分には何が何だか分からない。まぁ元々何も分からないんだし別にいいんだけどさ。


「とりあえず、自分に錬丹術の才能があるかどうかだけでも知りたいんです」


「好」


「師尊様の許可が出たから、私が教えてあげる!」


うん、鶴の一声とは正にこの事だろう。ハオと一言いえば何でも決定するんだ。


そのまま毛師姉に付いて行くと、庭先に一つのでっかい金属製の……何て言うんだろうこれ?


鼎にしては上がすぼまってるし、香炉にしては随分と大仰な感じがするし、でもなんか中国の城とかに飾ってありそうな金属の壺?って言っても横に穴空いてるし壺としては使えないよな?


「これ何ですか?」


「これが錬丹炉よ!私が一回お手本を見せてあげる」


「錬丹炉!ってなんか凄い貴重なんじゃ!」


「ふぇ?何言ってるの?錬丹士なら誰でも家に一つはあるわよ?」


「え?でも!これを巡って跡目争いが!」


「え?ふふふ、違うわよ!師尊様の錬丹炉は特別なの!これは錬丹士なら誰でも使ってる普通の品なの」


ああ~!そういう事か。


錬丹炉って凄い特殊な道具を指すのかと思ったら、師匠の錬丹炉が凄いだけで、錬丹炉自体はありふれてたのか。


それなら遠慮なく後で触らせてもらおう。


自分の納得した顔を見るなり、毛師姉は手近にあった漆塗り風の箱から何種類かの草花を取り出して、横の穴から別々に放り込んでいく。


そして、真気を巡らせ手から放出すると、真気が錬丹炉の中に吸い込まれて行き、明らかに熱を発し始める。


しかし、今まで自分はかなり至近距離でしか真気を操った事なかったけど、毛師姉は5歩くらい離れた位置から軽々と真気を操って送り込んでいる。修行が進めば自分にもできるようになるのだろうか?


「はい!ここ!」


言うが早いか、錬丹炉に近寄りてっぺんに付いていた蓋を外した。


すると中から出てきたのは、ホカホカの球体が三つ。


サイズ的には丁度ヨーグレットを完全に球形にしたくらいかな?何か懐かしくなってきた。


「これが丹薬なんですか?」


「そうよ。これは《真霊丹》ね。これが作れれば、まず食べるのに困る事は無いわ」


「そんなに貴重な丹薬なんですね?!」


「いえ、一品薬よ。霊力を補う一番基本的な丹薬なんだけど、結局これが一番需要あるのよ」


成程ね。基本にして一番人気と、そういう事は往々にしてあるよね。でもそれなら尚更ちょっとでも丹薬の才能があるなら、これ作って余裕もって修行した方がいいだろうに。


そんな事を考えていると、毛師姉の視線が突き刺さるので、自分もやってみる事にする。


さっき毛師姉が草花を取り出した箱を見ると、中がきれいに仕切られており、色んな種類の草があるって事だけは分かる。


とりあえず、基本にして一番の売れ筋なら《真霊丹》を作るが良かろうと、頭に思い浮かべると勝手に体が動き、必要な草花を取り上げてパッパと錬丹炉に投げ込んでいく。


更に袖に入れておいた銀の葉っぱも一枚投げ込むと、真気を送り込んでいく。


残念ながらまだ練気2級の自分では精々が半歩という所で、真気を送り込んでいるものの、これがまた暑い!


目の前に赤外線ストーブがあるような暑さなのだが、何とか我慢しつつ真気を流し続けていると、ふと変な手ごたえを感じた。


真気を止めて錬丹炉に近づき蓋を取ると、毛師姉に見せてもらったのと同じ球が1個ある。


「初めてだとこんなもんなんですかねぇ」


と、出来た一個を手渡すと毛師姉が目を剥く。


「ど、どうやったのこれ?」


「どうもこうも見た通りにやりましたけど?」


「いや、普通はあの量の薬効を一つにまとめるなんて出来ない筈なのに!師尊様!師尊様~~~」


何か薬持って駆け出しちゃったわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ