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僕は自分の世界で無双する  作者: ウエンズディー・S・水田
行って帰りし物語りセカンドシーズン

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30/31

僕はクルウルウと対峙した

先輩救出に着手します。

 僕はファストトラベルで美崎の所に飛ぶ。

「食らえ! 対消滅ついしょうめつパーンチ!!」

 僕がイカタコモンスターを吹き飛ばそうとしたとき。

「だめー」

 美崎の声が響いてオプションモードになる。ゲーム中断。僕はストンと床に着地する。

 美崎は僕が発動中の各種ステータスを解除。僕は普段の修道士に戻る。

「え!?」

 僕は!? な感じ。


「助けに来てくれたんだ。ありがとう」

 美崎は僕に駆け寄り嬉しそう。僕は美崎の様子にホットした。どうやら無事そうだ。

「ごめんね。きもすぎて悲鳴あげちゃった」

 僕は改めてモンスターを見る。ヌラヌラした軟体動物の顔が生々しい。いかにも美崎が苦手なタイプだ。

「何だろこのモンスター、ほんとに気持ち悪い。先輩でもないし」

 僕は、この出所不明の、得体の知れないモンスターに薄気味悪さを感じていた。

「何しでかすかわからないから早く倒した方が良いいよ」

 しかし、僕の言葉に美崎は困った表情を浮かべた。

「でも先輩と関係ありそうなの。今はまだやっつけちゃだめよ。何も分からないまま……」

 美崎は何とか先輩の手掛かりをつかもうと必死な様子だった。


 その時。

「きやっ、動いた!!」

 突然美崎が驚いて叫んだ。

 僕は慌てて身構えた。

 オプションモードで動けるのは僕たちだけのはず。でも、まさかこいつもっ!!

 だが違った。

「ミサ、違うよ。良く見てみて。これ、ちらついてるんだよ」

 目の前のモンスターは一瞬、あたかも映像信号が乱れたかのように、ベキベキと四角いノイズの集まりに変わってっては元の姿に戻る。

 これを繰り返していた。


「あーっびっくりした。でも、これっていったい……」

 美崎はホットしながらも怪訝な表情。その瞬間だった。

「えっ!! 先輩!!」

 美崎が再び驚いて声を上げた。

 僕はモンスターに視線を戻すがそこに有るのは相変わらずモンスターのちらつき。

「どうしたの!?」

「いま、先輩の姿が……」

「えっ、まさか……」

 僕はモンスターに目を移すとモンスターのちらつきが一瞬人の姿に変わり、またちらついてモンスターに戻る。

「!?っ、今の先輩?」

「そうよ。ほら」

 再びちらつきが人に変わり、一瞬固まる。この瞬間僕ははっきりと分かった。この人は、黒光くろびかり先輩こと、黒出流くろいずる ひかり先輩。

 あの、黙っていれば真面目に見える美形男子なのに、ゲームにやたらとエロ要素を入れたがり、いつも僕たちからNGを出されている困った先輩だ。


「確かに黒光り先輩だ……」

 僕が呆気にとられて見ている間に姿がちらつき、先輩の姿は再びモンスターに変わった。

 わけが分からない。


 そこへインフィニティがチャットAIPと一緒にやって来た。

 あれっ! このチャットAIP、インフィニティの変身じゃない。世界の外側から参加してるAIなのに、ゲーム世界で実体化してる。こんな事出来るんだ。

 僕が驚いているとインフィニティが嬉しそう。

「パパ驚いたでしょ。これ簡単に出来たよ。変身と両方出来るよ」

 目をキラキラさせている。

「ママ、もう二十分たったよ。オプションモードじゃみんなここに来れないよ」

 インフィニティが美崎に言う。美崎はバーバリアンで戦うことを想定して、グラビスとかの兵団長達を待たせていたそうだ。二十分で片を付けると言うことで。実際には十五分もかからなかったとか。


「ごめんね。ママちょっと困ってて。フィニットちゃん、これ調べるの手伝って」

 するとインフィニティは美崎の言葉に、うんと、うなずいた。

「このチラチラした所にある人物について知りたいの」

 美崎がインフィニティにお願いする。

「この座標の人物データーを抜き出すね」

 オプション画面が開発画面に切り替わり、人物データーをはじめとする様々な情報が複数のウィンドーに現れる。

「ママ。この座標に人物データーが二人分有るよ」

 それだと一カ所に二人いる事になる。

「あっ、そう言う事ね。一つは先輩。もう一つは……、このおかしなモンスターのデーターだわ」

「そしてこれがデーターを動かすプログラムだよ」

 インフィニティが言うと、更に新たなウィンドーが開かれる。

 後から聞いた話しでは、これは人物データーを人間として動かすプログラム。キャラクターAIと言うそうだ。インフィニティはゲームの中で大量に走っているプログラムの中からこの一つだけを抜き出したらしい。

 我が子の計り知れない能力だ……。

 しかし美崎は困り顔。

「何このプログラム。ごちゃごちゃで読めないわ。!?……、これもまさか、二つのプログラムが混ざってるってこと……」

「そうです。美崎ちゃんの先輩にクルウルウが寄生しているプログラムと言えますよ」

 チャットAIPが補足する。


「あっ、そう言うことか」

 僕は何となく分かった。先輩がクルウルウとか言うモンスターに体を乗っ取られてると言うことか!!


「どうしよう。先輩を助けてあげたいけど、こんなごちっこごちゃなプログラムとても直せない」

 美崎が悩んでいると。

「ママ、大丈夫だよ。変更履歴が作成されてるよ。Bitハブラトリーにアクセスしてみて」

 変更履歴管理ソフト、Bitハブラトリーはプログラムに加えた変更を自動的に記録していて、その変更した部分を見せてくれたり、変更前のプログラムに戻してくれたりする便利なアプリ。

「ほんとに!! やった♪ これが有ればプログラムの変更をたどって元に戻せるわ」

 美崎は大喜び。でも更に凄い事をインフィニティがやってくれた。

「こうしてBitハブラトリーをキャラクターにするともっと便利だよ」

 インフィニティが言った途端、空中に羽の生えた男の子の妖精が現れた。

「ヤァ。僕はBitハブラトリー。ビットと呼んでくれ。プログラムの変更は全てお見通し。何がお望みだい?」

 我が子の能力凄すぎ……。

「え、えーと……。あの……お願いは……」

 美崎が面食らいながらも状況を妖精に話して聞かせた。

「オッケー」

 ビットが返事をすると、一つだったプログラムのウィンドーが二つに分かれた。

 片方のウィンドーのタイトルは『黒出流 光』。もう一つのウィンドーのタイトルは『集合無意識クルウルウ』と書かれている。

 ……!? 美崎は唖然とした表情で画面を見つめた。そしてつぶやくように口を開く。

「これってすごすぎ。ほんとすごいよ。やったー。分離出来たよ」

 美崎の表情が笑顔に変わる。


「よしっ、それじゃオプション画面を閉じるよ」

 僕は気合いを入れてみんなに声をかける。

 今まで融合していた先輩とモンスターは二つに分かれている。

 オプション画面を閉じると、目の前のちらつきは、先輩と密着している様なモンスターになるはず。

 やるべき事は、先輩とモンスターを引き剥がし、先輩を救出する事。


 モンスターのプログラムは先輩から分離された時点で不完全となっていて、先輩とモンスターを引き剥がしさえすれば、モンスターは存在する事が出来ず自然消滅するそうだ。


 よしっ。僕はオプション画面を閉じてゲームを再開した。

春海と美崎のある日の会話。


美崎:対消滅パンチなんてすごいね。

春海:とっさに出た言葉で自分でもよく分からない。

美崎:この世界に現実世界の法則が有るか分からないけどかなりの威力よ。

春海:そうなんだ。どのくらいの威力?

美崎:仮にクルウルウが100kgだとして、これを対消滅させると3.5Kmの立方体の水を蒸発させられるくらい。

春海:それってすごいの?

美崎:うん。とても。全てが消し飛んできっと何も残らないくらいに。

春海:……。怖い……

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