悪徳領主は高笑いする
悪徳領主のセクハラが目にあまるお話です。
シレンティウムの体に刃の嵐が降り注ぐ。
超高速魔剣洋服ストリッパー。中身を切らず服だけを切るマジックアイテム。何なのこのアイデアは。
「あいやぁぁぁ」
シレンティウムの服がはだけて行く。
「きゃあ。み、見るな、あるよ~」
体を隠すように地面にうずくまるシレンティウム。
「はい、チェックメイト」
ガツン!
サーベルの柄で後頭部を殴られ、シレンティウムは意識を失う。
悪徳領主はサーベルの刀身がぬれている事をいぶかりながらもサッと一振り。サーベルを鞘に収めた。
「ふう~ん。これもちびっこい女ね。好みがいまいち。いっそのことさっきのと、二人まとめて楽しんでみようかしら。……小さな女二人まとめて。……。二人一緒に……。デヘッ、二人。……デヘッ、デヘッ……、デヘテイデヘデヘ。良いわ。良いじゃな~い。良いわよ、二人いっぺんに。これは楽しめるわ。デヘデヘデヘデヘ。さあ、従者A運びなさい」
「ウス」
従者Aは気絶しているシレンティウムをもう片方の肩に担ぎ上げる。
「おいお前たち。二人に何をする気だ」
そこに、赤い髪をなびかせながら、重装備に身を包んだ女性が駆けつけた。
「まあ、威勢の良い女だこと。あんた誰よ」
「おれは重装兵団長グラビスをまねてる者。グラビスモドキだ」
「ふーん。あんたの鎧、ずいぶんと胸板が厚いわね。大きな胸を収めるためかしら。中身を覗くのが楽しみね」
「黙れ、変態やろう。二人を返せ!」
グラビスモドキがグレートソードを抜いて突進する。
「従者B。盾の力を見せておやり」
「アイアイサー」
従者Bが進み出た。
「おりゃー」
グラビスモドキがグレートソードを振り下ろす。
「バッシュアタック」
従者Bがつぶやいた。光の壁がグレートソードを防いだ瞬間、激しく押し返す。
カッキーン!
「なにっ!!」
グレートソードがグラビスモドキの手を離れ宙に飛ばされる。
「バッシュアタック。それ、バッシュ! バッシュ! バッシュ」
更に追撃。光の壁が高速で次々とグラビスモドキのボディーに叩き込まれる。
「ぐはぁぁぁ」
バキーン! グラビスモドキの鎧が破壊され弾け飛ぶ。
「はぁはぁ。お、おのれ」
倒れたグラビスモドキは荒い息で地面から半身を起こして悪徳領主を睨みつけた。
「まあ、気の強い女だこと。でもそのからだ私好みよ。とってもグラマラス。ウフッ」
「く、口を閉じろ。その汚い口を」
グラビスモドキは片ひざをついて、ふらふらと立ち上がる。
「おやおや、その勝ち気な性格。何とかしないとね。ぜんぜん私好みじゃないわ」
そう言うと悪徳領主は懐から小さな鏡を取り出して、グラビスモドキの顔に向ける。
鏡から光が放たれグラビスモドキの顔を照らす。
マジックアイテム。服従の鏡。鏡に顔を映された者は鏡の持ち主の言いなりになってしまう。とても良くないアイテム。
グラビスモドキの顔から表情が消え、悪徳領主をぼーっと見つめる。
「お呼びですかご主人様。何でもご用を申しつけ下さいませ」
グラビスモドキは腰を低くした。
「ホッホッホッ。上出来だわ。そうねえ、命令ならば夜、私の寝室でたっぷりしてあげる。でもここじゃダメ。だって恥ずかしいもの。オーッホッホッホッ」
悪徳領主は高笑い。これじゃ悪徳領主じゃなくセクハラオヤジ。だれかの力でキャラ変させられちゃってる。
そこへ、ライトアーマーを装備した女性が駆けつけた。
「グラビスモドキになにをした!」
悪徳領主は露出度の高いライトアーマーに目を走らせる。
「オーッホッホッホッ。これよ。これ! 私が求めていた物は。私の好みにどはまりよ。あんた誰なの」
そう言うと、悪徳領主は服従の鏡を向ける。たちまちアイテムの効果が発揮された。
「ぼ、ぼくは軽装兵団長レビスのふりをしている者です。名前はニセレビス。ご主人様。何でもご用を申しつけ下さいませ」
ニセレビスは腰を低くした。
「オーッホッホッホッ。良い、良いわよ。すごく良いわ。オーッホッホッホッ。私の要求をたっぷりとかなえてもらいましょう」
悪徳領主はニセレビスの頬に指を這わす。
「でもその前にぃ。あのお方の要求をかなえて差し上げないと恐ろしい事になるわ」
ブルブル
悪徳領主は体をふるわせた。
「さあ、女神の所に案内なさい」
「はい。ご案内致します。ご主人様」
ニセレビスが歩き出す。
「女神が隠れて見ている事などお見通し。私にはわかるのよ。
女神の名前はミサだったわよね。今頃、私の力を目の当たりにして、青くなってふるえているわよ。待ってなさい。オーッホッホッホッ」
悪徳領主は声高らかに歩き出した。
以前出てきた半被姿の町人たちは中身のないゴム人形。魔力で動いている。無限増殖可能でどんどん増えます。




