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僕は自分の世界で無双する  作者: ウエンズディー・S・水田
行って帰りし物語りセカンドシーズン

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20/31

僕は洞窟探検で普通に戦った

普通にモンスターを一体倒すお話です。

 僕達は洞窟の出口を目指して更に進んで行く。天井は低く、僕は体の小さなミニリスと違って、軽くかがみながら進むしかない。

 洞窟の中は宵の入りほどの明るさが保たれていて、結構周囲が見える。これは、ゲームを楽しむための妥協点として、リアルを求める僕も譲った所だった。


 しばらく僕たちが進んで行くと……。


 シューシュー


 空気を吐き出すような大きな音が前方から聞こえてきた。


 僕達が警戒して立ち止まっていると、暗がりから、天井に届くほど大きなヘビの顔が三つ現れた。こちらに向かってやって来る。

 僕はオプション画面を開いてモンスターを確認する。


 モンスター名称『三つ首巨大大蛇』


 僕はため息をついてオプション画面を閉じた。


 三つ首巨大大蛇は僕達の目の前まで来ると、シュルッと舌を出した。

 匂いを嗅いでいるのだろう。

 洞窟の幅は十分に広いが、天井が低い。ミニリスは立っていられるから問題無いが、身をかがめている僕は動きに大きな制約がある。

 飛びかかられたらまずいな。何とかしなくては……。


「これはこれは。うまそうな肉がやって来てくれたぞ」

 真ん中の頭が言う。

 こいつしゃべれるのか……。僕は思った。

「兄じゃ。そこの小さいの柔らかそうでうまそうじゃ」

 そう言って右の頭がペロペロと舌を出す。僕の右に立つミニリスの事を言っているのだろう。

「兄じゃ。肉じゃ。ご馳走じゃ。早く食らおうぞ」

 左の頭も待ちきれない様子だ。

 左右のヘビから兄じゃと呼ばれている真ん中のヘビがリーダーだろう。


「お前たちヘビのくせにしゃべられるんだな。それにしても、変な名前だな。仲間には小さな大蛇なんてのもいるのか?」

 僕はしゃべられるモンスターがとてもユニークに感じられて、真ん中のヘビと少し会話をしてみることにした。


 シューシューシューシュー

 三つ首巨大大蛇の呼吸音がひときわ荒くなる。

「人間よ。お前は人間のくせにバカだな。小さな大蛇はただのヘビだ」

 あれ、僕、今ヘビにバカにされた!?

「人間。お前の言いたいことが分かったぞ。巨大大蛇とは、普通サイズの大蛇よりも大きな大蛇の事を言ってるんだ。決して重ね言葉ではない」

 こいつヘビのくせにへんな理屈っぽさを感じるぞ。誰か作ったんだっけ……。


「もうよい。さあ、弟どもよ食事だ。俺が小さいのを一飲みだ。おまえらはでかいのを、二つに引き裂いて、分けて食え」

 そう言うと、三つ首巨大大蛇は会話を止めて、僕達に攻撃を仕掛ける。


「ミニリス。こいつの動きを止めるぞ! 右側に大きく回り込んで右の頭を狙え」

「はい。ハル様」

 そして僕は左に転がるようにして大きく回り込む。

「おいっ弟よ、お前たちどこに行くんだ戻ってこい」

 真ん中の大蛇があせって左右の大蛇に叫ぶ。


 三つ首巨大大蛇は頭が三つで体が一つ。

 左右に分かれた僕達を左右の首がそれぞれ追う。その結果、一つしか無い胴体を左右からギュッーと引っ張ることになり、三つ首巨大大蛇の動きが止まる。どうだ、人間様は利口だろう。


 三秒で十分だ。

 僕はオプション画面を開いて、サブクラスからバーバリアンを三秒の時間制限付きでアクティブにして、画面を閉じた。

 たちまち憤怒に駆られた僕はレベル80の破壊力でパンチを目の前の大蛇の鼻面に叩き込む。  

 パンチが鼻にめり込み鼻が押しつぶされる。更に連打連打連打。大蛇の顔がミンチだ。

 反対側からはミニリスがシュパシュパと大蛇を切り刻む音が聞こえてくる。

 僕達は余裕で左右の頭を退治した。


「よくも弟達を」

 そう言って真ん中の大蛇が僕達に攻撃を仕掛けようとするが、頭がつかえる程の狭い洞窟で、左右に重たい肉の固まりと化したを大蛇をくっ付けていてはどうしようも動けない。しかも胴体はがら空きだ。

 僕はオリハルコンのスピアを取り出して三つ首巨大大蛇の胴体に突き入れる。反対側からはミニリスがシュパシュパと胴体に剣を振るう音が聞こえて来る。


 グハァァァ~


 僕達は三つ首巨大大蛇に楽勝した。

 大蛇の太い胴体の中からジャラジャラと魔石が大量にこぼれ出す。

 旅の資金が潤った。


 僕達が更に洞窟を進むと洞窟の空間が一気に広くなった。洞窟の広間だ。更に先の方には出口の光が見えている。遂に僕達は、この洞窟を抜けるとが出来るのだった。


 この洞窟にもう危険は無い。ここを駐屯地にしても良さそうだ。

 僕がそんな事を考えながら周りを見回すと、……あれ!? キャンプの跡を見つけた。

 まだ新しそうだ。僕がキャンプの跡に近づいてよく見てみると、小さな手帳が落ちていた。

 僕は手帳を拾い上げる。

「ハル様。これは何ですか?」

 ミニリスが僕の手にした物を不思議そうに見ていた。

「これは手帳だよ。僕達の学校で生徒に配られていた物だよ」

「ハル様の通われていた学校ですか」

 ミニリスは興味深そうに言った。

 僕は生徒の名前が書かれている手帳の裏表紙を開いてみる。そこに書かれていた名前は

 『坂田 龍王』

モンスター担当の後輩だ。

 そして見開いた反対のページに書かれていたのは

 『たすけて』

という走り書き!!


「キャー」

 その時美崎の悲鳴が聞こえた。美崎は悪徳領主と対峙中だ。

 僕はすぐに行動を起こした。

「ミニリス。ここでちょっと待ってて。ミサの所に行ってくる」

 そう言って僕は美崎の元にファストトラベルした。

春海の旅は南西ルート。人の行き来が復活したのは領主の町なども有る北西ルート。

春海が更に旅を進めれば、南西からも春海達の街に人々が訪れるようになります。

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