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僕は自分の世界で無双する  作者: ウエンズディー・S・水田
行って帰りし物語りセカンドシーズン

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17/31

僕はバレーボールで盗作未遂に無双する

戦いの中に楽しさを発見するお話です。

 駐屯地を頻繁に作りながら、慎重に旅を進めた僕達は遂に台地の上に立った。

 高台から後ろを見下ろすと、駐屯地が転々と遙か彼方まで続いていた。

 作りすぎたかも。その分更に体を鍛えられたから、まあいいか。


 そして僕たちが台地を進んでゆくと、視線の先に黒い渦が見えてきた。

「ハル様。あれはもしかして……」

「竜巻だっ!!」

 竜巻はどんどんこっちの方に近付いてくる。それと共におかしな様相を呈してきた。竜巻の中に黒っぽい固まりが沢山巻き上げられているようだ。

 さらに近づくにつれてそれは魚影の群れに見えてきた。

「ハル様。竜巻の中に魚のようなものが大量に浮いています」

「これはまずいだろっ!!」

 僕は思わず叫んだ。

 見た事はないがネタで聞いた事がある。竜巻に巻き上げられた、大量の凶暴な肉食性軟骨魚類が人間を襲うやつ。

 こんなのを出したら、何処からかお叱りを受けてしまう。

「うおぉぉ」

 ミニリスは背中のグレートソードを抜くと、竜巻に挑みかかって行く。

「あっ、待ってミニリス」

 僕は急いでオプション画面を開く。時間が止まった。

 モンスター情報を確認するとそこには、『クジラトルネード』と書かれていた。圧倒的な質量で全てを押しつぶすとの事だ。

 なんだこれ。軟骨魚類を哺乳類に変えたからって良い訳ないだろう!!

 リスペクトだの着想を得てだの、そんなの全部詭弁だ。アイデアそのまんまのほぼ盗作だろう! これはっ!!

「ミサっ、大変だ。ここにバグがある」

 僕は美崎に声をかけた。

「はあいっ。ごめんねハル。最近は、悪徳領主のお迎えの仕込みでハルの冒険をあまり見てなくて」

 今回美崎は声のみの参加だ。

「あれねバグは」

「そうなんだよ。また物理的にあり得る状態に修正して」

「はい。直したわよ。それじゃね。チュッ」

 そう言い残して声が消えた。今、最後にチュッって言った。わーい。僕は心の中で喜びながらオプション画面を閉じた。


 ゲームが再び動き出す。クジラトルネードはつむじ風に吹き上げられる巨大風船と化した。

「うおぉぉ」

 ミニリスがふわふわと落下してきた最初のクジラ風船にグレートソードを振り下ろす。


 ボーォォン


 太いくてにぶい破裂音が静かな台地に響き渡る。

 よしっ、僕も。

 僕は身体強化と加速を自分にかけた神速で、大量に落ちて来るクジラ風船の下に走り込むと拳を突き上げた。はじけろ盗作めっ、証拠隠滅だ。


 ボムンッ


 しかしクジラは空に打ち上がるだけだった。

 ミニリスは高速移動で次の落ちてくるクジラに剣を降る。

 ボーォォン


 僕は更に力を込めて拳を突き上げる。

 ボムッ!!!

 更に高く空に打ち上がる。


「えいっ」

 ミニリスが剣を降って、ボーォォン

 僕が拳で打ち上げて、ボムンッ

 ボーォォン ボムンッ ボーォォン ボムンッ

 なんだか、楽しくなって来た。

 いつからから、この戦いは落としたら負けゲームになっていた。

 僕が落ちてくる巨大な風船をすかさず打ち上げ、ミニリスが空中で割る。

 沢山の風船達だ。絶対地面に落としてなるものか。


 遂にクジラ風船は最後の一つ。ミニリスも剣をしまい、鉄拳で突き上げる。

 僕は力と方向を加減してミニリスに打ち返す。

「落とすなよミニリス」

「もちろんです。ハル様」

 ミニリスも上手に打ち返してくる。

 そしてミニリスがひときわ高く打ち上げたクジラ風船。

「これでどうだ!」

 身体強化した僕はハイジャンプしてスパイクをミニリスめがけて打ち込む。

「ソレッ」

 ミニリスは鉄の両腕を胸の前に揃えてレシーブの構えで打ち返す。

「やるな。ミニリス」

 僕は帰ってきた巨大風船を両手でミニリスにトスで返す。

「さあ、来い! ミニリス」

「ハル様。お覚悟!!」

 ミニリスも上手にスパイクを打ち込んで来る。

「そらっ」 ボムッ

「それっ」 ボムッ

風船となってしまったクジラが僕達の間を行き来する。


 そして、

「えいっ!」

 ひときわ強くミニリスが鉄の腕を振り抜いた時、ボーォォン 風船が割れて僕達の間にボトリと落ちた。


 黙って最後の風船を見つめる二人。

「ははっ。あいこですね。ハル様」

「そうだな。ははは」

「ははは」

「あはははは」

「あっ、あははははははははは」

「あはははははははははははははははは」

 僕達は地面に寝転んで大笑いした。


 さんざん笑って落ち着くと、ミニリスが僕に話しかけてきた。

「ハル様。僕、今まで戦いとは苦しいものだと思っていました」

「僕もだよ」

「でも、こんなに楽しい事が起きるなんて。僕はハル様と旅が出来てしあわせです」

「そうだね。一緒に楽しい冒険にしよう」

「はい。ハル様」


 クジラトルネードを攻略した僕達は更に西に進んで、渓谷地帯にやって来た。

 そして、目の前には深い谷。そこには一本の吊り橋が掛かっていた。

「冒険に吊り橋。冒険に吊り橋……、か……」

 僕は冒険に出て来る吊り橋には必ず定番のイベントが発生する気がしてならなかった。

 次回は吊り橋効果でハルとミニリスがドキドキな関係になるお話しです。

 わたしの大好きなエピソードです。

                  美崎 談

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