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壊れかけた世界で死神は抗う  作者: 黒い水
白髪の少女
23/28

1対2

遅くなりました。


契約違反による不利ではない、その返答に白石は質問で返す。

「2対1っていう状況は?契約違反による不利じゃないのかい?」

「それについては、私があなたの味方になりましょう」


突然真横から声が聞こえた。人間味のない声、だけどどこか人間味を感じる喋り方。


横には、誰もいなかったはずなのに

「びっくりさせないでくれるかな?」

「危害は加えるつもりはないので、安心して驚いてください」


背丈の小さい、少女がいた。

レインコートのような大きな白いフードつきのロングコートを着ている。

フードを深くかぶっているのか、顔は見えない。

「自己紹介がまだでしたね。私はKP、ゲームの管理を任されたものです。そして、あなたたちプレイヤーの監視をしています。」


 「...」

 その言葉に、反応せず。

白石は、怒りを込めた目で睨んだ。

そして

「っ!?」

彼の怒りを無視して、そっと、少女が白石の懐に飛び込んだ。

フードの中に隠れていた彼女の瞳が、彼の瞳の中に入り込む。


全ての光を飲み込むような、瞳(・)孔(・)が(・)開(・)い(・)た(・)真(・)っ(・)暗(・)な(・)瞳(・)が(・)。(・)


「な!?」

人らしくない、その目の異様さに生物としての嫌悪感が...

..いや、恐怖が、彼と彼女の距離を離そうとする。

足が後ろに進み、3歩下がった。

彼女は踏み込んだ場所で止まって。

「ふふ、面白い…あなた、かわいそうですね。狂いきれていませんねぇ あはは」

そんな、感想を述べた。

「…人に願いを叶えるって言ったらだいたいこうなるよ。特に僕みたいな人はね。…それが狙いだろ悪魔。」

そこで言葉を一区切りし、少し歩く。


「嫌ですね。私は悪魔ではありませんよ?」


木から生えた、木の枝の根元を掴み。


乱暴にへし折った。

バキリッと簡単に折れた木の枝の先は鋭く、ヤスリのようにギザギザだ。

それを、首元に持っていき…

ビシャリと鮮血が、地面に撒き散らされた。

首から、まるで消防車のホースから水を出すように、真っ赤な血液が吹き出していく。

しかし、それは数秒のことだ。

「これでいいか。」

あんなに吹き出した血は、ほとんどが地面に触れず。


長く鋭い紅い槍として、存在していた。

そして、木の枝の時と同じようにへし折る。


出来上がった血の槍を指先で回して、白いロングコートを着る少女に突きつけた。

「あとさ、人の心を勝手に読まないでくれないかな。殺すよ?」


「どうぞ?」

なんの躊躇いもなく、そんな返事が返ってきた。

そして手を広げ、無抵抗を示す。

「...」

「あなたが、これから行うことを私は止めません。その行動によっておこる結果に私は責任を持ちませんから。だから、どうぞ。」

「最悪だよ、本当」

血の槍の矛先を、彼女に向けるのをやめる。

そして…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

銃声が鳴り響く

響いて、響いて、響いて、響いて


高速で飛んできた、頭に狙いが定められた赤い斧が、目の前で何(・)か(・)に(・)ぶ(・)つ(・)か(・)り(・)高く跳ね上がった。



頭が割れるような激痛が叩き込まれる。

「がっ!?あああ!!」

左手で頭を押さえ、必死に耐える。

痛い苦しいつらい泣きたい。

「白井しぃぃ!!」

「そうだね、終わりにしよう」

右耳から、ささやき声が聞こえた。


体をとっさに右にひねる。

銃口を...


銃を持つ右手が下から切り上げられ、はじけ飛んだ。


生暖かい、自分の血を浴びながら

くるくると回転する、ひじから下の右腕を見た。


白石の左手には、斧がある。

斧の斬撃が、腹部一歩手前で何かにはじかれる。


「がふっ!」

激痛で、肺の空気が漏れ出る。痛い。

再生した右手で、斧をつかむ。

白石の、足払いが不自然に止まる。

痛い。

白石の腹にけりを叩き込む。


斧をつかんでいた白石が、吹き飛ぶ。

数メートル先の木に、激突して止まる

掴んだ斧には、ちぎれた白石の左手があった。


赤い夕立が、彼らの血を隠す。

小暮の影が背中側に伸びる。

背中側で、ライフルで白石を狙うあの子に心配をかけないように、痛みを耐えながら。

肩で息をしながら。


夕立ちでできた影のせいで、どんな顔をしているのか見えない、白石と向き合う

「...お前は!!お前はああ!!」

「うるさいな、なんだい?」


痛みで心拍が暴れ、息が上がる。

それでも、言わなければならない。問わなければならない。

「なんで!なぜッ!なんで!!人を殺すんだよ!」

「はぁ、今さら英雄気取りかい?」

落胆したように、溜息を吐き、ずれた眼鏡を直す。

まるで、馬鹿にしたように

「そんなの、決まっているじゃないか僕の娘を」


「噓(・)を(・)つ(・)い(・)て(・)ん(・)じ(・)ゃ(・)ね(・)え(・)よ(・)!(・)」


「...は?」


「生き返させる?そのためだったら、人(・)を(・)皆(・)殺(・)し(・)に(・)す(・)る(・)理(・)由(・)が(・)な(・)い(・)だ(・)ろ(・)う(・)が(・)!(・)」

KPは、言っていた。

これはゲームで神人と化け物と俺たち契約者がプレイヤーだと


無邪気の神は言っていた。

私を楽しませろと、弱い者いじめは面白くないと

じ(・)ゃ(・)あ(・)、(・)日(・)本(・)で(・)起(・)こ(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)無(・)力(・)な(・)一(・)般(・)人(・)の(・)虐(・)殺(・)は(・).(・).(・).(・)


「何が言いたいんだよ」


「お前は、イザベラを生き返らせたいんじゃない。八つ当たりしたいがために...!」


「不正解ですよ。」

そんな、無機質でどこか人間味を帯びた声が聞こえて..

赤(・)い(・)槍(・)の(・)矛(・)先(・)が(・)、(・)胸(・)か(・)ら(・)突(・)き(・)出(・)た(・)

心臓が、突き刺された。


「そこまで彼は、感情に振り回されることができないし、したくてもできません。それゆえに狂いきれないのです。」

白いコートが赤く染まる。


彼は間違えた。

殺す口実、罪悪感を感じないように

無(・)意(・)識(・)に(・)組(・)み(・)上(・)げ(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)、(・)歪(・)ん(・)だ(・)考(・)え(・)は(・)

その血で贖(あがな)われる。

次の話が出る日は未定です

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