巫女
キサラを退け、ロイ達を乗せた船は、無事にグスク国の港に入港していた。。その港には、世界にその名を轟かせる海軍の軍艦が集結し、祭りのような賑わいを見せていた。
「うわぁ!すごい!これが軍艦かぁ!」
心躍らせるロイ。サシャは町人に話しかけていた。
「今日は何か特別な日なんですか?」
「ああ!今日は新しい王様の戴冠式でね!海軍のパレードがあるんだよ!様々な軍艦が港を周回するんだ!」
詳しく聞くと、現グスク王は近年、若くして重い病にかかり、身体の自由が日に日に効かなくなり、国政を担う事が困難となったため、政治を支える巫女の判断により、まだ幼い息子を新国王とし、巫女の神託を軸として国を動かす決断をしたらしい。
「あの巫女さんがついていれば、まだまだグスクは大丈夫だ!彼女の神託はこれまで一度も誤った試しがないのさ!」
町人がサシャに自慢げに語っていると、町人達の大きな歓声と兵士の声が聞こえてきた。
「王様の御成りだ!道を開けろ!」
町人達がいっせいに大通りの両脇に整列していく。その向こうから、派手な御輿に鎮座する現国王、そして脇を歩く巫女がやって来る。ロイ達も町人と整列して一行を見据える。やがて目の前に王と巫女が来た時、ロイとサシャに戦慄が走った。
「な!あれは!」
「銀色の・・・肌!」
ティーダの声。
「あの者・・・シグを取り込んでおる。」
不意に巫女がこちらを見た。ロイ、サシャ、そしてティーダに目をやった瞬間。
「きいやぁぁぁぁ!災いじゃ!あの剣士、災いを呼ぶ者じゃ!捕えよ!捕らえるのじゃ!」
巫女の叫びに、兵士も、町人も、二人にきつい眼差しを向ける。弁解が通用する空気ではなかった。
「逃げるぞサシャ!」
「分かってる!」
戦う選択肢もあった。しかし、町人を巻き添えには出来ない。
走り出す二人!兵士と町人が追ってくる!
路地を、空き家を巡り巡って追っ手を巻き続ける!
二人が港町の外れの納屋に身を潜めたその頃には、とっくに日は暮れていた。
「はぁ、はぁ・・・」
「またいつ見つかるか・・」
町のかなり端のせいか、追っ手は来ない。
呼吸を整える二人。しばしの沈黙。しかし・・・。
外から松明の灯り。納屋の扉が開く。
「兵長!いました!」
叫ぶ兵士を突き飛ばし逃げ出す。兵士達が追ってくる。兵長が指示を出す。
「作戦通り、大通りの十字路に誘導しろ!四方から一斉に突撃して捕らえる!」
待ち伏せの兵士達にも目や指で支持を送り、周囲の路地をうまくふさぐ。二人は否応無しに十字路へ。そして前後左右から兵士達がなだれ込む。
「うっそー!」
「もうダメか!」
二人が諦めかけたその時!突然二人の姿は、一瞬にして見えなくなった。
「な!何!消えた・・・」
一斉に立ち止まる兵士達、兵長が怒鳴る。
「諦めるな!探せ!絶対に見つけ出せ!」
兵士達は当てもなく、あちらこちらを松明で照らし、右往左往し始めた。




