災厄の根源
決意の眼差しのロイとサシャに、王は最後の言葉を告げる。
「機人・・・古くは災厄と深く交わる者と言われておる。シグの力により、無限の力と永遠の命を持つ、至高の者達。ロイ、サシャ、心してかかるのじゃぞ!」
二人が王に力強く返事をする。王は更に続ける。
「ジュードに追い着けば、進むべき道も見えよう。しかしながらあやつ、全てを自分一人で背負うつもりなのか、港町を最後に、完全に行方をくらましたのじゃ。力になってやれずすまない。今、密偵を派遣し、探らせておる。情報を得たら真っ先にお主らに伝えよう。それまでは城で過ごすが良い。」
ロイが王に言葉を返した。
「王様、それなら僕らは港町に行ってみます。世界に危機が訪れるかもしれないのに、じっとしてはいられません!」
ロイの目から、決意の固さをくみ取った王は、止めようとはしなかった。
「そうか、さすれば行くがよい。」
王はまた優しい目を見せ、みずから二人を謁見の間から送り出した。
外には召使いが待機しており、昨夜の部屋とは別の部屋へ二人を案内した。
「わぁ!すごーい!」
サシャが感嘆の声を上げる。
部屋には魔導士たちが集まり、魔法の訓練や、術式の研究に精を出していた。召使いが手を上げると、一人の魔導士が、一本の杖と腕輪を持って近づいて来た。
「ロイ殿、王様がご察しの通り、旅立つ決意をされたのですね!王よりサシャ殿にこれをお渡しするよう言われておりました。どうぞお持ちください。」
「ありがとうございます。あ!これ!」
サシャの受け取った杖は、神聖魔法の師匠エタの、若かりし頃に使っていた杖と腕輪だった。
わずかながら、癒しの力を増す事が出来る、特殊な杖と、物理攻撃を緩和する魔力の幕を作り出す腕輪。どちらもサシャにとって、形見の品と言えるものだった。
「大切に使わせて頂きます。」
サシャはとても嬉しそうに、しかしとても丁寧にお礼とおじぎをした。
部屋を出ると、そこにはリカが待っていた。
「やあ、やはり旅立つんだな、私からもせんべつがある、いっしょに来てくれ。」
召使いを下がらせ、リカが先頭を歩く。
たどり着いた部屋は武器庫だった。
あちらこちらに様々な武具が放り投げられている。
「片付いてなくてすまない、入って来てくれ。」
二人を通すと、リカはロイの腕や足を眺め、そして部屋の奥に入り、何かを手にとって持って来た。
胸、肩、肘、膝。ガシャガシャと着けさせたものは、立派な胸当てに肩当て、小手にすね当て。
「ピッタリだな、良かった。」
「うわすっげえ!」
喜ぶロイをサシャはニヤニヤ見て言う。
「格好だけは一人前になったわね。」
「君の剣技は身のこなしの速さから繰り出す鋭い剣撃が特徴と聞く。フルプレートの重い鎧よりこちらがいいだろう。使ってくれ。」
何故かリカも嬉しそう。
「ありがとう!大事にするよ!」
笑顔のロイにサシャのひじ鉄が入る。
「ちょっとぉ!目上の人でしょ!あんな立派な騎士の息子なのに、敬語ぐらい使ってよね!」
慌ててロイは繕う。
「あ、ありがとうございます。大切につ、つか、つかかせていただます・・・」
爆笑のリカとサシャ。拗ねるロイにリカがハッパをかける。
「さあ。旅立ちだぞ!」
リカはロイの背中をドーンと叩いた。
城の門。リカは見送りに来てくれた。
「本当は私も一緒に行ってやりたいが、城を、王様を置いては行けない。振り向くなよ、前だけ見て突き進むんだぞ!」
リカの言葉を心に留め、二人は城を後にした。




