悲劇
村にたどり着いたロイは、ただただ立ち尽くしていた。
破壊し尽くされた家々、横たわり物言わぬ人々。
我に帰り、我が家へと急ぐ。
「母さん!母さん!」
破壊された家の中を巡る。
地下の納屋に足を踏み入れたそこに、横たわり冷たくなった母エタと、幼なじみのサシャの姿があった。
「サシャ!いたのか!無事か!」
駆け寄るロイ。うずくまってうつむくサシャ。
「いったい、これは・・・」
溢れそうな涙をのみこむロイにサシャは語り始めた。
「機人・・・エタさんがそう言った。」
ロイは静かに隣に座る。サシャは続ける。
「エタさんと神聖魔法の修行していたら、あいつは突然村に現れて、ティーダを出せって・・・」
「そんな名前の人、村にはいないって村長さんが言ったら、力で引きずり出すって攻撃を始めて・・・」
一瞬言葉を詰まらせるサシャの背中にロイは手を置いた。
「銀色の肌で、凄まじい強さで、誰にもどうにも出来なくて、最後は私とエタさんだけになってしまって、エタさんが私を守ろうと、命を捨てて空間転移魔法を使ってあいつを消したの。」
サシャは上を向きなおす。目には一粒の光。
「私何にも出来なかった、だからもっと修行して、あいつに一矢報いたい!」
唇をかみしめるサシャにロイが言う。
「サシャ、俺も同じ気持ちだ!そいつを追おう!」
二人は静かに立ち上がった。そしてどちらが言うでもなく、エタと村人たちのとむらいを始めた。




