忍び寄る影
剣の導きでロイは外に出た。
日はすっかり傾き、辺りに赤みが差している。
「おっと!日が暮れる前に村に帰らなきゃ!」
広場を出ようとしたとき、それは現れた。
黒い球体。物質的ではなく、魔力や闘気のような、
エネルギーの塊。
「な・・・なんだ・・・」
立ち尽くすロイに、すぐさまそれは襲いかかって来た。無数の触手のような腕が伸びてくる。
とっさに、しかし機敏にかわすロイ。持ち直し身構える。
「なあ、あれはなんだ!おまえを狙ってるよな!あれが災厄か?」
触手の動きが剣に向いていたのをロイは見切っていた。
「災厄・・・そのほんの・・・一粒・・・」
「我を・・・振るえ!」
剣が言わずとも、ロイはすでに切っ先を球体に向けて臨戦態勢。
再び触手が襲う!的確に切り落とす!
しかしそれはすぐに再生し襲いくる!
「キリがない!どうすれば!」
臨界点のロイは、父に徹底的にすりこまれた戦闘の知識を絞る。
「きっと本体はあそこだ、触手はこいつを狙う、ならば!」
突然ロイは、球体に背を向け走り出す!
球体は触手をロイに集中し伸ばす!
「今だ!!」
今度は一気に反転し、触手を紙一重でかわし球体に突撃する!触手は急展開に反応出来ない!
「うおおおおおお!!」
一刀両断!球体を切り裂く!
不気味なうめきと共に、球体と触手は消えていった。
消え去る瞬間、球体は不吉な言葉を残した。
「・・・ムラ。」
はっとしてロイは村の方角を見た。
その空には、黒煙が立ち上っていた。
血相を変えて走るロイは、ただならぬ胸の高鳴りを抱えていた。




