始まり
少年はいつも、この場所で剣の修行に明け暮れていた。村から少し離れた、古代から残る不思議な建造物のある広場。
少年の名はロイ。世界に名を馳せる騎士で、数年前に姿を消した父を探すため、父の残した剣術を磨いていた。
「父さん、必ず追いつく!」
ロイはその熱い思いを、剣に乗せて振るっていた。
疲れて座り込んだその時、ロイはとある声を聴いた。聴いたというより、直接頭に届くような感じだ。
「我を・・・取れ・・・」
面食らうロイ。慌てて辺りを見回す。
「な、な、なんだぁ!誰だ?」
「我を・・・」
再び声が響いたその瞬間、ロイは自然と、広場の建造物へと歩き始めた。
入り口をくぐったが、中はがらんとしており、床にうっすらと、不思議な幾何学模様が描かれている。無意識にその中心に立つと、その模様は突然強く輝いた!
「うっ!」
ロイの意識が一気に遠のく!
どのくらいの時間がたっただろうか。頬にしたたる水滴の感覚で目覚めた。広い部屋。床にはあの模様。
「我を・・・」
たったひとつの通路の向こう。ロイは声の主の存在をすでに感じ始めていた。
通路の突き当たり、装飾された台座から、その存在は語りかけてきた。
「我をとれ。時は来たれり。」
「なんてこった・・・」
あまりの自体をそう簡単には飲み込めなかった。ロイに語りかけてきたのは、見たこともない金属で出来た、一振りの剣だった。台座に突き立てられた剣は語る。
「早く我をとれ。時は来たれり。」
「いきなり何なんだよ!時ってどういう事だ!」
疑問と不安を拭い去れないロイに、剣は更に語る。
「災厄が目覚めた、そなたの父も動いた。」
「父さんが!」
「我と共にあれ、父と共に災厄を抑える。」
剣の言葉に、ロイは決意を固める。
「災厄とか分からないけど、お前といれば父さんの居場所も分かりそうだね、分かった!」
しっかりとつかを握り、一気に引き抜く!
「行くぞ・・・」
「ああ!」
父を追う少年と人語を解する謎の剣。運命のは歯車はかみ合い、ゆっくりと回り始めた。




